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国債と金利のはなし

※スマホに対応しています。

日常的に、国債とか金利の言葉を耳にするのですが、知らないでは済まされないと思いちょっと調べてみました。
政府は財源不足を補うべく国債を大増発しており、「一般個人でも容易に買える、安全?」と言うフレコミで人気が沸騰していますが、
国債だけに資産を偏重させていいものでしょうか?

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  ● 1.国債と金利のはなし   値下げをすれば金利は上昇する、裏腹の関係
  ● 2.必ず戻ってくる?
  ● 3.金融機関のいう旨い話・メリット  鵜呑みにしていいの?

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 1.価格が下がれば、売るためには金利を上げないと売れない よって金利が上昇する 裏腹の関係

繰り返しになりますが、国債が大量に発行され続けばいずれ人気がなくなる、または、投資家たちが国債を売却しはじめるなどで
需要・供給のバランスが崩れるときがくるやもしれず、そうなったら国債が売れなくなる事態が起きるでしょう。
心情的には想像したくもありません。

が、そもそもが危うい仕組みの上で動いているものであり、
かつ、絶対的なモノで担保されていないので、あらかじめそういう事態も想定しておかなければなりません。
万が一、そんな事態に陥り、国債が売れなくなれば、「値下げ」して売ることになります。
そうなれば、定価では売れなくなり、価格を下げないと誰も買ってくれなくなります。
それを見ていて、買い控えをしていた人は「安くなったので買おう!」と心が動くかもしれません。
  (この人のようにリスクを覚悟の上で一儲けしようと、スケベ根性を出した人が買うこともあるかもしれない)
このように、政府がどうしてもお金がほしい場合は値下げざるを得なくなります。

国債には「額面」が決まっています。
ところが、価格は金融機関の入札で決まってきます。
どういうことかといえば、国の信用が高いうちは「額面」ぎりぎりの高い値段でも買ってくれるので利率が低くくても売れるのですが、
信用が下がってくると安い値段でしか買ってくれなくなります。
すなわち金利を高くしないと、買ってくれないということになります。

国債の値下げをすること = 国債の利回りが上がること

下の図はこの関係が少しでもわかりやすいようになればと、私が考えたイメージ図です。
もちろんこれで厳密に表現できているかという自信はありませんが、理解の助けになれば幸いです。
国債の価格と金利の関係を模式にした図です。
これで価格が下がることと、金利が上がることの関係が視覚的につかめるのではないでしょうか。
また、国 債の利回りは長期金利の指標になっている ので、
もし、国債の価格が下がり利回りが上がったら長期金利もつられて上がることになります。
さらに長期金利の上昇は、当然に、短期金利の上昇のつながります。

いまのところ国債の市場は需給バランスを保っていて、価格の大きな動きはないです。
が、どんな要因でこのバランスがくずれるかもしれず、国債を持っている人ならば他人事ではすまされないと思います。

【参考】長期国債利回り推移(過去3年)のなどのデータが日本相互証券株式会社のページに載っています。
      http://www.bb.jbts.co.jp/data/index_kinri.html


おせっかいな格付け会社 S&P が日本の長期国債格付けをダブルAからダブルAマイナスへ引き下げたり、
また同様なおせっかいな格付け会社ムーディーズがダブル Aマイナスに下げたりしていますので、関心を持ってみていく必要があります。

kokusaikinri_s.gif
kokusaikinri.gif

例題として、
満期が10年固定利付2%の国債を定価100万円で購入した場合の利回りの計算をしてみます。

利払いは100万円×2%=2万円 (1年あたり)
元本100万円は、10年後にはそのまま支払われます。(何事もなければ、ですが)
この場合の利回りは「 使ったお金に対する儲かったお金の割合 」のことなので
2万円÷100万円=2% となります。

ここからは仮定の話になります。
この国債が売れ残ってしまいました。が、政府はどうしてもおカネがほしいので、価格を90万円にして売り出しました。
それを 友達の B さんが購入したとします。
100万円+2万円−90万円=12万円
  すなわち価格が下がるのを待って買った B さんは、12万円儲けたことになります。
このときの利回りは
12万円÷90万円=13% となり、定価の時の2%に比べれば、大幅に大きくなります。

このような事態になって、
この先が心配になった友達の Cさんが、すでに持っていた国債を売りたくなりました。
が、 もはや元本では売れなくなり、結局、損に目をつぶらざるを得ないことになります。

このように国債の価格が下がれば国債の利回りが上がる仕組みがここにあります。

yougo.gif
● 利回り とは、
          儲けたお金÷使ったお金= で計算され、
     国債の場合の実際の計算式は、
            年平均利回り={ 利率+( 額面−時価 ) / 残存年数 }÷時価×100

● 利息利子 は同じものです。(利息の息は息子の息で、利子の子は子供の子で、ともにこどもと引っ掛けて理解すればいいです)
● 利率 は、元金に対して何%の利子がつくかをあらわしたもの。一般的に1年当たりの割合を示しています。日歩○銭とあらわすこともあります。


 2.必ず戻ってくる? 平成20年度末、公債残高553兆円に上る (さらに増えた)

平成20年度版
<-- 図をクリックすると拡大し、さらにクリックすると原寸になります。
縮まってかすれたように見える場合、Firefox では画像の上でクリックする、IE では右下に出てくる小さな四角いアイコン「通常のサイズに伸ばす」をクリックして元の大きさでご覧ください。

「金貸してくれっ!とゆっても、なにも担保に差し出せる物はないんだけど、国だからってことで信用してちょ」
と、盛んに金融機関などが国債の宣伝をしています。
左の図をみると国がサラ金の多重債務者のようになっています。
借金を返すのにまた別の借金をして返済しています。いまは毎年発行する国債の半分くらいが借金の返済に当てられている自転車操業の状況です。
ですから、山は高くなる一方です。

預金や貯金のように返してくれる担保(1000万円まで)がある「預けるおカネ」と違い、
国債はあくまでも第三者に担保も差し出してもらえず、政府に「貸すおカネ」です。
そしてその借金の証として国が国民に渡す証文にすぎない紙切れなわけです。
  (平成15年1月27日以降発行の国債はペーパレスになり「取引残高報告書」で確認することになり、紙の証券は廃止された。
   コンピュータ上のデジタルデータだけになった)

何が起きるかわかりません。
かつての戦時国債のごとく踏み倒され、まさに紙くずになった事例があるように
「いつまでもあると思うな、親と金」と心得えて、
担保もないですから、「戻ってこないかもしれない」のつもりで貸すぐらいでちょうどいいのではないでしょうか。

上図は財務省が発表している「 公債残高の累増 」のグラフ・数値データをそのまま使っています。
余談ですが、
このデータ http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014/sy014d.htm  は表玄関から鋭意探しておりましたがやっとルートが判明しました。逆から戻ることは不可能でしたが、わかりました。
トップページから「予算・決算」と書いてある小さな絵柄 → 「 日本の財政を考える(パンフレット)」 → 「3.公債残高の累増」 と辿りつけました。

たまたまこのページを見つけた人もこのページからはどこにもリンクが張ってないことに愕然とするはずです。途中のディレクトリはすべて「Forbidden You don't have permission to access ・・・・・・ on this server.」とつめたい仕打ちで迎えてくれます。
ようするに財務省のトップページにしか戻れません。
ほんとうに広く見てほしければ、どんな奥深いところにあっても、どこからでもリンクを辿って見やすくするものですが。

● 平成19年度末の公債残高は547兆円に上ると見込まれている。

● 平成18年度末の公債残高は 542兆円 程度にも上ると見込まれている。

1.公債残高は各年度の3月末現在額。ただし、17、18年度は見込み。
2.特例公債残高は、国鉄長期債務、国有林野累積債務等の一般会計承継による借換国債を含む。
3.平成18年度末見込みの残高は、財政融資資金特別会計の金利変動準備金からの繰入(12兆円)を見込んだ額。
4.17、18年度の翌年度借換のための前倒債限度額を除いた見込額はそれぞれ、506兆円程度、517兆円程度。

 3.金融機関のいう旨い話・メリットを鵜呑みにしていいの?

で、国債のメリット(いわゆる宣伝文句)とその対極にあるデメリットをきちんと明らかにしているか
いくつかの金融機関のホームページで拾ってみるます。(順不同、独断と偏見の評価欄 )
 独断と偏見のコメントは青文字です
金融機関 宣伝文句 デメリットのわかりやすさ
財務省
もちろん、従来の国債と同様、日本国政府が発行する非常に安全性の高い金融商品です。
-->ここ ・・・リンクが切れた
   
↑ のリンクは切れましたが、「非常に安全性の高い・・・」とはよ〜く考えられている作文です。
「副詞+抽象名詞+形容詞+・・・」と、なにひとつ確約とか断定している用語を使ってないところが、さすが優秀な従業員を抱えている財務省です。
安全性が高いことと支払ってくることとはなんの関係もありませんね。

政府が保証して支払うとでも書いてあればまだしも、そうかといって紙切れのお札では意味がなくちゃんと担保になりうる世界で普遍的な価値がある金塊でその金額分をもっていればいいですが、しかし他の先進国と違い多くの金塊を持つことはアメリカの指示で許されていないのでどうすることもできません。

これを見て、安全?-->必ず払ってもらえる! と国民が勝手に思い込んでくれることを期待しているのか、しかしこれでは思い込んでしまう人が一人や二人ではないはずで、こういう無責任な作文は即刻削除すべきです。

財務省としてはとにかく新規買い手を見つけ続けてゆかないことにはその先破綻が待っていることは重々理解しているので、このような誘惑に満ち満ちたことでも書かざるを得ないところまできているということでしょう。少なくとも2003.3の時点では存在しなかったのでこのページ(リンク切れ)の新設とともに登場したのでしょうか

これが書いてあったからといって、たとえ不幸なことが起きたとしても財務省がこれを根拠に訴えられることもありませんし、とにかくうまい書き方をするものです。恐れ入りました。
また、よ〜く探してみると「利子は半年に一回、元本は償還時に確実に支払われます。」と苦労して作文をしている箇所もあります。
契約にこんな副詞が登場するのはみたことがありません。「確実に・・・・」もクソもない、「払うなら払う」、ただそれだけです。それを補強したければ「支払いを国が保証する」と書くだけです。
これをみると、チョット見には払ってくれるんだなぁ・・と思い込むかもしれませんが、保証するという用語が使えない、なんとも涙ぐましい努力の跡が見てとれます。

2009,6 「見直すとあんしん」って、 安心のこと?
クリック↓で原寸大
mof200906_s.jpg

×「とてもじゃないが、発行元がそんなあからさまなこと書けない!!」ということか?



※※
リスクの注意書きをどうしても見つけられない。
これはマズイ。
大和證券 個人向け国債は、元本と利子の支払いを日本国政府が行うため、安全性の高い金融商品ですが、発行体である日本国の信用状況の悪化等により、元本や利子の支払いが滞ったり、支払不能が生じるリスクがあります。 はっきり明記されている
りそな銀行 個人向け国債は、元本と利子の支払いを日本国政府が行うため、安全性の高い金融商品ですが、発行体である日本国の信用状況の悪化等により、元本や利子の支払いが滞ったり、支払不能が生じるリスクがあります。 はっきり明記されている
三井住友銀行 発行体である国の財政難等により利払いや償還が遅延したり、不能になるリスク(デフォルト・リスク)、繰上償還や買入消却が行われ、当初の満期償還日まで運用することができなくなるリスクがあります。 はっきり明記されている
○○銀行 満期日の元本の償還や、半年ごとの利子のお支払いは、国が責任を持って行いますので安心です。 ×
○○○○証券 日本国政府が責任をもって行いますので非常に安全性が高い債券です。 △ でも、「非常に安全性が高い・・」は誇張しすぎでは!?
○○○○証券 なし ×
○○信金 日本国政府が責任を持って発行しており、満期時には元本(額面金額)をお返しいたします。 ×
○○銀行 なし  
ゆうちょ 確実な財産づくりに。国債は、国が発行する債券です。
最近はちょっと怪しくなってきた。注意書きもあるにはあるが・・
   ↓
国債の商品性に関する事柄
* 国債は、預金保険制度の対象外となっております。
* 国債は、元本と利子の支払いを日本国政府が行うため、安全性の高い金融商品ですが、日本国の信用状況の悪化等により、損失が生ずる恐れもありますのでご注意ください。
クリック↓で原寸大
yuchoKokusaiLogos.gif

  安心・手軽に資産運用したい方に国債

と、さりげなく「安心」の2文字が書かれている。
ところが、この「安心」という2文字はこの絵の中に書いてあるだけであって、公式サイトのソースの中にはどこにも出てこない。ここが重要なポイントだが、大きな問題である。

  どういうことかといえば、Google などの検索ロボットにはこの「安心」の二文字が引っかからず、データベースに保存されないということである。

明らかな意図があると言わざるを得ない。
ということは、後になって「安心だと書いてあったじゃないか」と問題になったときに、この絵だけを削除すれば、Googleの検索サイトのデータベースには「安心」の二文字は記録されてないので、裁判になったときにも「そんなことは書いてない」と逃げられる、それを意図しているのは間違いない。
ほんとに安心と考えているなら文字としてページに書けばいいだけのことだから。

   民営化されたら、郵貯も他行なみにこのように劣化するということか

クリック↓で原寸大
安心・手軽に資産運用したい方に。利付国債・個人向け国債を取扱い

上の↑Google の検索結果から明らかだが、

     「安心・手軽に資産運用したい方に。 利付国債・ 個人向け国債を取扱い。」

と、ホームページにも書いてない一文を、Googleに有料広告を依頼したときに表示されるように添えている。検索すれば否応なしにこれが目に入るが、公式サイトにはその文言はない。
赤字で目立つところに明記されて完璧
が、書き方が変った。

他の銀行並に、「安全性の高い・・」と書き方を変えてきた。

が、どうして高いといえる理屈になるのかな?
野村證券 日本国政府が利子と償還金をお支払いする債券で・・・
商品券(JCBギフトカード)をプレゼントいたします。

クリック↓で原寸大
安全、安心。「日本国政府」の発行だから安全性が高い。
安全、安心。「日本国政府」の発行だから安全性が高い。

おそらく誰も気にかけないだろう、最下行に次のように明記はしているのだが・・・。

「個人向け国債は、元本と利子の支払いを日本国政府が行うため、安全性の高い債券ですが、発行体である日本国の信用状況の悪化等により、元本や利子の支払 いが滞ったり、支払不能が生じるリスクがあります。詳しくは、当サイトの「手数料等およびリスク・ご注意事項」、契約締結前交付書面をよくお読みください。」
△ → ×
○○○○証券 個人の方ならどなたでもご購入できます。

とてもすべては調べれきれませんが、デメリットを明確に表記している「ゆうちょ」は特筆で、その他はちゃんと書いてあるところのほうが少ない傾向が見受けられました。(改善されてきたもよう2009.6)。
宣伝文句も書かれてないならまだ許されますが、派手に「国が責任をもつ」とか「安心です」とかをうたっているページも目立ち、いかがなものかと思います。これらの金融機関にはきちんと答えてもらいたいものです。

     どう責任をとるんですか?
    何が起きても、最後は国が責任をとるんですか?
    その責任の担保はあるんですか?
    安心って何を根拠にゆってるんですか?


確かに、満期まで売らずに持ち続けていれば、 元本が還ってきて、途中の利息も手に入るかもしれないです。
しかし、この前提としては「なにもかもうまくいっている」ということが必須です。
もし、ある日投資家たちが日本の逼迫した財政状況をにらんで「この先国債をもっていても、利息はおろか元本すら返ってこないかもしれない!?」と判断し、つぎつぎに売却を始めたらその売られた国債に新たな買い手がつかず、国債の需要が低下します。その結果、国債の価格が暴落するというシナリオも、考えられます。
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    ■ 耐震偽装はこちらです --> まとめページをアップ   2006.10.20