うつせみ 
2002年 4月25日
             美食

 旅行記にもう少し料理のことも書けとご注文があった。食事はエネルギー源だから宇宙食を以って理想とする私にとってはきついご注文だ。

 まず船の中の食事はすべて無料だ。日によってCasual, Informal, Formalの3種類の夜の服装指定があり、私はCasualは色シャツ、Informalは背広にネクタイ、FormalはTuxedoだ。ワイフはFormalには和服を着ている。数百人が2-10人ずつのテーブルに収容できるレストランに指定の服装で行って、2人だけで食べたいとか、6人の相席になる"Company Table"が良いとか言うと、責任者が何番テーブルと指定して、係が案内してくれる。私達は原則としてCompany Tableで色々な人と知り合いになることを狙っている。大体はカプルなので3組が男女男女の順番で揃った所でメニューから注文をとる。メニューに無い料理を注文するのも自由だが、私がやったのは、「何も味付けしないパスタとサラダオイル」「この料理からピーマンを抜いて」「前菜メニューの貝柱料理の量を多くして主食にして」といった注文だから程度は知れている。毎日異なる赤白のワインが飲み放題で提供されるが、気に入らない人は別途有料で注文してもよい。食事の後にはデザートのメニューが配られて同様に注文をとる。

 食事のメニューは3頁から成る。第1頁が日替わりメニュー、第2頁が或るテーマで用意した一品メニュー、第3頁がダイエット、ビジタリアン、小食の各4品x3の特別メニューだ。通常は日替わりメニューから選ぶが、変化や好物を求めて他から選ぶこともある。日替わりメニューには、アペタイザ、スープ、サラダ、パスタ、メインコースの5つのセクションがある。中辞典にない単語は英語でご勘弁頂くと、今日のメニューは、
 アペタイザには(1)ペパーソースのGambas、(2)茸を微塵切りにしたTimbale、(3)冷やしたグレープフルーツ、の3種類、
 スープは(1)クラムチャウダ、(2)アボガドを潰して冷やしたスープ、の2種類、
 サラダには(1)茸、ラディシュ、レタスのサラダ、(2)リンゴ、インゲン、Jicamaのサラダ、の2種類、
 パスタディナは、子牛のグレイヴィで味付けしたパスタに茸とカレーを掛けたもの、
 メインコースは(1)ハタの切り身をクスクスに乗せたもの、(2)キジの胸肉に茸とガチョウのレバーを詰めて油で炒めたもの、(3)Tボーンステーキにリンゴのチリソースを掛けたもの、という3種類、
というレパートリだった。

 一品メニューは今日は南米がテーマだ。(1)上記アペタイザ(1)と同じ、(2)キャベツとカボチャのアマゾン風スープ、(3)レモングラスの香をつけたチキンの串焼きにブラジルコーヒーで光沢を出したもの、(4)Chazaのシャーベット、(5)焼いた子羊肉を煮込んでRagoutにしたものに米飯添え、(6)ココア、コーヒー、シナモンのPastel、の6種類が記載されていた。

 今日は白ワインしか飲まなかった。南米がテーマなので、チリーの2000年産のシャドネが注がれた。やや甘口の色の濃い美味しいワインだった。赤ワインもチリー1998年産メルロットが提供された。  今日私は次の料理をとった。スープは一品メニューから(2)にした。ドロッとしたスープに細いネギの細切れがあって美味しかった。サラダは安全に(1)をとった。酢と油で薄く味付けしてあった。メインは(3)にした。15cm四方はあるかと思う8mmほどの厚さのミィデアムのステーキが出てきて全部食べられるか心配したが、骨の部分もあり牛肉の味が良かったので食べてしまった。デザートにはチェリーアイスクリームを貰った。

 ワイフはスープの(1)をとった。貝の味がよく出ていたという。サラダは私と同じ(1)だった。メインは第3頁の小食の部からサケの切り身をとった。grill, poach, broil, pan-friedの選択肢の中からフライパンに油を敷いて焼いたPan-friedをとり、塩味にレモンをかけて食べた。デザートにはフルーツの盛り合わせをとった。

 こんな食事をしていると命が幾つあっても足りないと思う。  以上