らんだむ書籍館 |
![]() |
表 紙 |
![]() |
扉 |
目 次
新撰年表序 (藤田 彪) 題言 (清宮 秀堅) 皇統略図 将軍世系 漢土歴代伝統図 西洋各国分立図 和蘭小譜 合衆国統領次第 日曜 輿図 年号索引 新撰年表 〔本文〕 跋 (塩谷 世弘) |
藤田東湖の序 |
神代、邈(はるかに遠い)たり。 敢て輒く述べず。 橿原に都を奠めしは、今を距ること実に二千五百十有五年。 皇統綿綿として、窮極有る罔し。 嗚呼、盛んなるかな。 漢土は、人文夙に開けしも、運祚(天子の位)屡( 遷) ( り、年を卜すること甚だ永からず。 洋夷は、各国の興亡一ならず、一千八百余年を自称すと雖) ( も、唯其の教祖始生の年紀に依るのみ。 豈) ( に神皇相承け、万世不易の域と年を同じうして語る可) ( けんや。)
下総の清宮子栗「新撰年表」を著すに、画( して三欄と為し、上に神州(神国たる日本)を掲げ、中に漢土を紀) ( し、下に洋夷を列す。 是) ( に於て、異邦の興廃・存亡、歴歴として検す可) ( く、然る後、皇朝の宇内に冠絶する所以も一目瞭然、復) ( た言を待たざるなり。)
抑( 蟹文(横文字)の夷は、往往富強にして、火技(火薬を使う兵器の技術)・艦製(造船技術)、愈) ( 新にして、愈奇なり。 其の禍心(悪いたくらみ)を包蔵するは、啻) ( に封豕長蛇(豚のように貪欲で蛇のように残忍)ならず(どころではない)。 治に乱を忘れずとは古) ( の善教にして、文を脩) ( め武を奮) ( ふは実に今の急務なり。 上に在る君子、蓋) ( ぞ此を見る有りて、拮据綢繆(しっかりと備えをする)せざる。 一にて足らざれば、則ち此の書の若) ( く、亦必ず攷) ( る所在り。 我が藩の豊田天功(1805~1864、東湖と並称された水戸学者)、嘗て「靖海全書」を著し、附するに観世年表を以てす。 体裁は斯) ( の書と大同小異なるも、未だ精麤詳略(詳細なのか、簡略なのか)の如何を知らず。 姑) ( く書し、以て他日の参考を俟) ( つと云ふ。 (「靖海全書」は刊行に至らぬままほとんど散逸し、付篇の「観世年表」も現存しないようである。))
安政乙卯(安政2年、1855年) 春分前一日 水戸・藤田彪 撰す。
塩谷宕蔭の跋 |
史の年を表( (明)むるは、猶) ( 天の度を紀) ( すがごときか。 周天百七万一千里、其の茫茫たるに任す。 何ぞ以て之を測らん。 智者思ひを創) ( して度を紀す。 数は乃ち歩す可し。 一元十二万九千六百年、終りて復) ( 始り、窮極有る罔) ( し。 中間の各国に王有り。 王、其の事を異にす。 其の要を提) ( るに非) ( ざれば、何を以てか諸) ( を一目に瞭) ( めん。 故に、年を表し、以て考索に便にするは、智者の次なり。)
我が年表の附すに漢暦を以てするは、世に其の書多し。 更に西洋を附すは、蓋( し此の書自) ( り始る。 試みに問ふ、世の之を看) ( る者、将に如何に観) ( んとするやと。 譬) ( へば、不亀手方(ひび・あかぎれ予防薬の処方)の如きか。 小) ( く之を用ゐれば、則ち絖) ( を埤) ( ふに過ぎず。 大いに之を用ゐれば、則ち三軍を済) ( ふ(ひび・あかぎれの予防薬を用いて水軍による戦いに勝利したという「荘子・逊遥遊」中の故事)に足る。 或は大、或は小、唯) ( 其の人の用ゐる所に在るのみ。)
嘉永甲寅(嘉永7年、1854年) 暑月(夏) 塩谷世弘、鵶林巷(烏森。現在のJR・新橋駅付近)の九里香園に于( て跋) ( す。)
「輿図」(世界地図) |
近日 輿図 日に精、月に詳。 然れども、或は精詳に過て 却て 大体を見るに迷ふに至る。 今 つとめて大綱を挙げて、読史者 指南の一助とす。
年表本文の一部 (その1) |
年表本文の一部 (その2) |
年表本文の一部 (その3) |
![]() |
「富士川家蔵本」の印。 |
本書の旧蔵者 |
終