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表紙カバー |
「修訂 人物論叢」 目次
1 聖徳太子 * 2 伝教大師と其時代 * 3 菅原道真 4 平清盛論 5 源頼朝について * 6 明恵上人 * 7 歴史上より観たる親鸞 * 8 日蓮の元寇予言について * 9 花園天皇 * 10 一休和尚 * 11 大久保忠隣の改易 12 片桐且元論 * 13 柳沢吉保の一面 * 14 竹内式部と其時代 |
本書は、さきに大正十四年、阿母喜寿の記念の為め出版し、ついで版を重ねたのであったが、昭和十六年、故あつて絶版の厄に遭つた。 今や時局転換し、こゝに版を新にせんとするに当り、内容に多少の添刪を加へ、題して修訂 人物論叢といふ。
… 十九歳で叡山に上り、一の庵を結び修業を始めた。 この間に、起信論疏、華厳五教章等を披閲するに、此等の章疏、皆天台を以て指南として居ることを知つた。 是に於て、台教の書籍を渇望し、後に天台法文の所在を知る人に値(会)つて、法華玄義、法華文句疏等を写した。 是れは鑑真の唐より将来した本である。 此等の書を得て大に喜び、研鑽怠らかつた。 此等の書は、当時甚乏しかつたもので、延暦の末年にも尚稀であつたと見え、菅野真道が勅を奉じて之を東大寺に請求した文書が、今東大寺に現存して居る。 この天台の書を求めたのが、大師の目のつけ所の敏い所である。 奈良の旧仏教に対して、何か新しいものをと志したのである。 従来誰も考へつかなかつたもの、鑑真和尚の新に将来したものに向つて、研究の歩を進めたのが、他日の大を成した所以である。ここでの記述は簡略であるが、著者の専門とする分野であり、具体的な研究成果を総括したものであることが窺われる。
終