食べ物を入れようと思って作った蓋物ですが、使うかたの発想は
作り手の想像を超えています。
「こんなもの入れました」というお話を伺うのはとても楽しいです。
〜2015年冬号・蓋物のページ〜 陶居房ね
忘年会や新年会、クリスマスに正月と人の集まるこの季節、楽しく食べて飲んだあとに、お皿や鉢に料理が残っています。
たったあと一口、あと一切れですが、残っています。
これを「遠慮のかたまり」と呼びます。残飯ではありません。
優しさの証です
宴の最中に、まだ食べていない人のために取っておこうと思う優しい気持ちのかたまりです。
だれも食べなかったら食べようと思っているうちに、宴はデザートに進み、もうお腹がいっぱいになってしまい、遠慮のかたまりが誕生します。
おいしいものほど、最後の一つを食べるのに遠慮が生まれるものです。
明日のご馳走になれます
宴の片づけが始まると、お皿にポツンと残された餃子がソワソワしています。
「ぼくたち、食べてもらえなかったね」
「捨てられちゃうのかな」
つくねやナスの漬物のつぶやきも聞こえてくるようです。あっ、目が合っちゃった。
大丈夫、捨てたりしません。あなたたちは、明日のご馳走になれます。
宴会のあとのお楽しみ
こんな時には、蓋物が活躍します。
遠慮のかたまりを小ぶりな蓋物に入れて、冷蔵庫で一晩を過ごせば、明日は、ご馳走になります。
冷たいままや、電子レンジで温めて、一口ずつのおいしいものが並んだ、旅館の食事になりました。
楽しい話を思い出していただく遠慮のかたまりは、宴の翌日の楽しみです。
これが残ればラッキー
遠慮のかたまりの目玉は、お刺身です。
お刺身だけは、デザートの後には食べる気にならないので、遠慮のかたまりになりやすいです。
でも、これが残ればラッキー。醤油でヅケ(漬け)にして、食べる時にわさびを載せます。
暖かいご飯にのせていただけば、幸せの一口。
誰かの遠慮にご馳走様でした。
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