食べ物を入れようと思って作った蓋物ですが、使うかたの発想は
作り手の想像を超えています。
「こんなもの入れました」というお話を伺うのはとても楽しいです。
〜2016年秋号・蓋物のページ〜 陶居房ね
蓋物は、冷蔵庫や電子レンジに出し入れをすることが多いので、持ちやすいように蓋物に取っ手を付けました。 注ぎ口の飾りを付けたポット型と、取っ手だけのカップ型の蓋物です。ポット型でも口に穴は開けていないので、 入れたものが乾くことはありません。
取っ手の無い蓋物には、持った時に滑らないよう、側面に凹凸をつけています。
蓋物には、蓋と本体を合わせる位置がわかるように、合印(あいじるし)をついているものがあります。
蓋と本体の合わせ目が正円ならば、どこでも蓋を閉めることができますが、合印は、「ここで合わせてください」という小さなメッセージです。
ポット型やカップ型の蓋物の蓋には、取っ手側に小さな突起の合印をつけています。
合印がなくても、形から閉める位置がすぐにわかるものもあります。
栗はとがった頭を合わせないと重なりませんし、ナスも歪んだ楕円なので、合わせ目はひとつしありませんので、合印は付けていません。
いろいろな楽しい合印の工夫をしました。
小さな突起と、柄が合印です。
(左)模様と皺が合印です (右)花弁の合印です
(左)六瓢の蔓が合印です (右)巾着袋の垂れた紐が合印です
このあたりは、おとなしい合印でした。
ここからは、合印のために形があるような、存在感のある合印です。
まずは、蛸足の三段重です。蛸の吸盤を合印にしちゃいました。合印とは言えない大きさなので、迷わずに重ねることができます。
キャンディー型の蓋物は、包み紙のねじった部分が大きな合印です。
でも、この合印は、合わせずに、印が反対になるように置くとキャンディーになる、ちょっと変わった「合わせない合印」です。
本来、合印は、蓋と本体の合わせ目をお知らせする小さなメッセージですが、合印とは呼べないくらいに、自己主張が強くなってしまったのが、クワガタのハサミです。
合わせざるを得ない強引な合印です。
最後に、しいたけの蓋物です。
正円なので、どこでも閉まるのですが、実は合印があります。よ〜く見ると、縁の厚みが均一ではなく、縁の薄い方に、しいたけの軸の曲りが向くように作っています。
写真ではよくわからないですか?
それでは、どうぞ作品展にお出かけください。
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