食べ物を入れようと思って作った蓋物ですが、使うかたの発想は
作り手の想像を超えています。
「こんなもの入れました」というお話を伺うのはとても楽しいです。
〜2021年秋号・蓋物のページ〜 陶居房ね
蓋物は、冷蔵庫や電子レンジに出し入れをすることが多いので、持ちやすいように蓋物に取っ手を付けました。 注ぎ口の飾りを付けたポット型と、取っ手だけのカップ型の蓋物です。ポット型でも口に穴は開けていないので、 入れたものが乾くことはありません。
取っ手の無い蓋物には、持った時に滑らないよう、側面に凹凸をつけています。
栗が店頭に並ぶと、本格的な秋の到来にワクワクします。縄文人もきっと秋の恵みを楽しみにしていたはず。食料の乏しくなる冬を前に、栄養価の高い木の実を沢山集めて蓄えていたその遺伝子が今も流れているようです。秋になるとナッツがおいしく感じられます。
木の実のなかでも栗はとりわけ大きくて、脂肪分が少ないので、沢山食べても罪悪感のないのが嬉しいです。
栗はお菓子に加工されて一年を通して味わうことができますが、生栗が手に入るこの季節は、栗ご飯だけでなく、栗と鶏を一緒に炊いたものも美味しいです。
栗もナッツの仲間ですが、ナッツというと、脂肪分の多い木の実のイメージです。胡桃やアーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、新顔はピスタチオ等々、今はいつでもロースト済みが手に入ります。ナッツは美味しくてついポリポリと食べ過ぎてしまうのですが、毎日少しずつ食べるのが健康には良いそうですから、蓋物に入れて手軽につまみましょう。
そのままでも、キャラメルやチョコレート、黒糖などをまぶしたナッツも美味しいですね。
栗とともに胡桃は昔から日本人に愛されている木の実です。山の胡桃と、海の小女子が出会った胡桃小女子をご存じですか。米によく合う甘じょっぱい味と、カルシウムとビタミンDが同時に摂取できる完璧な食べ物です。これを組み合わせた人は栄養のことまで考えていなかったかもしれませんが、いい仕事してくださいました。
触感はナッツらしくありませんが、銀杏もナッツの仲間です。秋の早朝、強烈な臭いをものともせずに、銀杏を袋一杯に集めている方々は、とても幸せそうです。食べられる木の実を集めるという縄文人の血が騒ぐのですね。
椰子の実とも呼ばれるココナッツも固い種の中を食べるナッツの仲間です。大きくて丸ごとポイっと口に入れることはできませんが、種の中を削ったものには独特の触感と風味があります。それを存分に楽しめるのが月餅です。月餅というと、黒糖風味の餡が詰まったものが多く出回っていますが、実はナッツやドライフルーツがぎっしり詰まったものが沢山あります。なかでも、ココナッツがたっぷりの椰子月餅がお薦めです。こんなにココナッツをほおばることができるお菓子はほかにはないと思います。
月餅は大きなものを切り分けて幸を分かち合う食べ物ですから、切り分けて蓋物に盛りつけました。いろいろな味を召し上がれ。
昨年漬けた梅酒を夏の間に飲み尽くし、残った梅は実を食べて、種は?実は、梅酒の梅の実や梅干しの種の中にも、ちゃんとナッツが入っています。金槌かペンチで固い種を割ると、子供の小指の爪ほどの小さな塊が現れます。天神様といいます。小さいながらもちゃんとナッツの触感と味です。
金槌で梅の種を割るときに、力を入れすぎると粉々になってしまいます。周りの堅い殻だけを上手く割るには、ちょうどよい力を加減する必要があります。昔は、胡桃も殻付きで売っていて、食べるときに割っていたものです。縄文人もクルミを割るのに工夫したかなと思うと、種を割るときに自分の中に縄文人を感じます。
秋、木の実にときめいたら、きっとそれは縄文人の遺伝子ですよ。
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