ビタミンについて


ハードトレーニングを行うパワーリフターは一般人よりも多量のビタミンを必要とします。 ビタミン補給の参考となるように,ビタミンごとの効能と毒性についてまとめてみました。





ビタミン剤の基礎知識 ビタミンA
ビタミンB1 ビタミンB2
ビタミンB6 ビタミンB12
ビタミンB13 ビタミンB15
ビタミンB17 ビオチン(ビタミンH)
ビタミンC パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)
コリン ビタミンD
ビタミンE ビタミンF
葉酸 イノシトール
ビタミンK(メナジオン) ナイアシン(ビタミンB3)



ビタミン剤の基礎知識
@合成ビタミンと天然ビタミンの差異
 どちらも有機物であることに変わりはない。しかし、天然のビタミンには 合成ビタミンにないプラスアルファな物質が付加されている。例えば,バラ の実からとれる天然ビタミンCはビタミンPを含み効果が大きい。
Aサプリメントの摂取タイミング
 他の食品と同時に取った方が吸収が良いため毎食後が良い。もし、1日に 1回しか摂取できない場合にはもっとも多く食べる食事の後が良い(例えば 夕食後)。
ビタミンA
<概説>
  • 脂溶性。消化管からの吸収にはミネラルと脂肪が必要。
  • 体内に貯蓄できるので毎日摂取する必要はない。
  • 成人男子は5000IU/DAY,成人女子は4000IU/DAYの摂取が必要。
  • 体内でビタミンAに変わるカロチンの形で摂取することが望ましい。 (過剰症にならなくてすむため)
<効果>
  • 視力低下,その他目の障害の治療を助ける。
  • 呼吸系の感染に対する抵抗力をつける。
  • 免疫系が機能するのを助ける。
  • 成長を促進し,強い骨,健康な皮膚を作る。など
<含有率の高い食品> 魚の肝油,レバー,人参,黄緑色野菜,卵,乳製品など
<毒性> 成人の場合,50000IU/DAY以上を数ヶ月摂取すると過剰症が現れる。 髪が抜ける,嘔吐,下痢,皮膚がうろこのようにはげ落ちる, 生理不順など
ビタミンB1(チアミン)
<概説>
  • 水溶性。余分なものはすぐ排泄されるので毎日の摂取が必要。
  • B1、B2、B6は全て等量摂取したときに最も効果的に働く。
  • ストレス下で消費量が増える『精神的ビタミン』でもある。 精神状態・神経系に良い影響をもたらす。
  • 軽い利尿効果がある。
  • 加熱調理,カフェイン,アルコール,たばこで簡単に破壊される。
  • 一般的な摂取量は100〜300mg/DAY
<効果>
  • 成長を促進する。
  • 炭水化物の消化を助ける。
  • 神経系,筋肉,心臓の機能を正常に保つ。
  • 精神状態を改善する。乗り物酔いを防ぐ。など
<含有率の高い食品> ビール酵母,無精製の穀物,ピーナッツ,豚肉,ほとんどの野菜など
ビタミンB2(リボフラビン)
<概説>
  • 水溶性。排泄時にタンパク質の損失をともなう。毎日の摂取が必要。
  • ビタミンGとも呼ばれる。
  • ビタミンB1と異なり加熱,酸化,酸に強い。紫外線とアルカリに弱い。
  • ストレス下では必要量が増す。
  • 一般的な摂取量は100〜300mg/DAY
<効果>
  • 成長と生殖を助ける。
  • 健康な皮膚,爪,髪を保つ。
  • 口内炎の炎症を和らげる。
  • 視力を増進させ,目の疲労を軽減する。
  • 炭水化物,タンパク質,脂肪の代謝に関わる。
<含有率が高い食品> ミルク,レバー,酵母,チーズ,緑色野菜など
ビタミンB6(ピリドキシン)
<概説>
  • 水溶性である。毎日摂取する必要がある。
  • タンパク質を多量に取った場合には必要量が増す。
  • 抗体,赤血球の産出に不可欠。
  • 適切な吸収のためにはビタミンB12が必要。
<効果>
  • タンパク質と脂肪の適切な吸収。
  • 嘔吐を緩和する。(つわりに対して処方されることが多い)
  • 神経と皮膚の様々な障害の予防。など
<毒性>
  • 2000〜10000mg/DAYの摂取で神経系の障害を引き起こす可能性あり。 安眠できなくなり、夢をはっきりと思い出したりする。
  • 500mg/DAY以上の摂取は勧められない。
<含有率の高い食品> ビール酵母,小麦胚芽,レバー,大豆,キャベツ,卵など
ビタミンB12(コバラミン)
<概説>
  • 水溶性。極少量の摂取でも効果がある。
  • 欠乏症は体がビタミンB12を使い果たして5年以上経ってから 現れる。
<効果>
  • 赤血球を形成,再生し、貧血を防ぐ。
  • 成長を促進し,エネルギーを増大する。
  • 神経系の健康を維持する。
  • 炭水化物,タンパク質,脂肪が適切に使われるようにする。
  • 集中力,記憶力を高め,精神を安定させる。
<含有率の高い食品> レバー,牛肉,豚肉,卵,ミルク,チーズなど
ビタミンB13(オロチン酸)
<概説>
  • 葉酸とビタミンB12を代謝する。
  • サプリメントでは手に入らない。まだ十分な研究がなされていない。
<効果>
  • 肝臓障害,老化を予防する。など
<含有率の高い食品> 根菜,乳清など
ビタミンB15(パンガム酸)
<概説>
  • 水溶性。抗酸化物としいてビタミンEに似た働きをする。
  • 体に必須ということがまだ証明されていない。
  • アスリートや都会に住んでいる人には重要。
  • 一般的な摂取量は50〜150mg/DAY。日光,水に弱い。
<効果>
  • 細胞の寿命を伸ばす。
  • 疲労の回復を早める。
  • 血中コレステロールを減らす。
  • タンパク質の合成を助ける。
  • 環境汚染物質から体を守る。など
<含有率の高い食品> ビール酵母,玄米,未精製の穀物など
ビタミンB17(レートリル)
<概説>
  • アンズの種から取れる。ビール酵母には含まれない。
  • 一般的な摂取量は0.25〜1mg/DAY
  • アンズの種を5〜30個/DAY食べても効果がある。
<効果>
  • 制ガンとガン予防の効果があると主張されている。
<毒性>
  • 多量の摂取は危険。1日1g以上摂取してはいけない。
<含有率の高い食品> アンズ,リンゴ,チェリーなど種に少量含まれる。
ビオチン(補酵素R,ビタミンH)
<概説>
  • 水溶性。硫黄を含む。ビタミンB群の一つ
  • 脂肪とタンパク質が正常に代謝されるのに不可欠
  • 一般的な摂取量は25〜300μg/DAY
<効果>
  • 禿の予防。
  • 筋肉痛を和らげる。など
<含有率の高い食品> 牛レバー,卵黄,大豆,ビール酵母など ビタミンBコンプレックス,マルチビタミンのほとんどに含まれる
ビタミンC
<概説>
  • 水溶性。
  • コラーゲンの生成,鉄の吸収に役立つ。
  • ストレス化では多く消費される。
  • 一般的な摂取量は500〜4000mg/DAY
  • 水,加熱,たばこに弱い。
  • バイオフラボノイド類,カルシウム,マグネシウムと一緒のとき 最も良い働きをする。
<効果>
  • 傷などからの出血を止める。
  • 手術後の傷の治りを早める。
  • 免疫系の機能を高める。
  • アレルギーを起こす多くの物質の作用を弱める。など
<含有率の高い食品> 柑橘類,緑色葉野菜,トマト,カリフラワー,じゃがいもなど
<毒性> 多量に取りすぎると尿酸結石(腎臓結石など)の原因となることがある。
パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)
<概説>
  • 水溶性。ビタミンB群の一つ。
  • 細胞の構築,正常な成長,神経中枢系の発達を助ける。
  • 脂肪と糖のエネルギーへの変換に不可欠。
  • 腸内細菌で作られうる。
  • 一般的な摂取量は10〜300mg/DAY
  • 熱,カフェインなどに弱い。
<効果>
  • 傷の治りを良くする。
  • 免疫系の機能を高める。
  • 疲労を防ぎストレスに耐える力を与える。など
<含有率の高い食品> 肉,無精製の穀物,レバー,緑色野菜,ビール酵母など
コリン
<概説>
  • ビタミンB群の一つで脂肪肝防止性を有する。
  • イノシトール(ビタミンB群の1つ)とともに働き,脂肪と コレステロールを体が使えるようにする。
  • 他のビタミンB群と一緒に摂取すべきである。
  • 一般的な摂取量は500〜1000mg/DAY
  • 水,アルコールなどに弱い。
<効果>
  • コレステロールがたまらないようにするのを助ける。
  • 記憶形成を助ける。
  • 肝臓の解毒作用を助ける(アルコールの分解など)。など
<含有率の高い食品> 卵黄,緑色葉野菜,レバー,酵母,レシチンなど 普通のビタミンBコンプレックスサプリメントにイノシトールと ともに含まれる。
ビタミンD
<概説>
  • 脂溶性。太陽光線と食事から得られる。 太陽光線の紫外線が皮膚の脂肪に作用して作り出す。
  • 経口のビタミンDは小腸から脂肪と一緒に吸収される。
  • 完全に日焼けするとビタミンDの生成は行われない。
  • 一般的な摂取量は400〜1000IU/DAY
<効果>
  • 丈夫な骨と歯に必要なカルシウムとリンを体が使えるように する。など
<含有率の高い食品> 魚の肝油,いわし、にしん、鮭,まぐろ,乳製品など
<毒性> 成人が20000IU/DAY以上摂取すると,異常なのどの渇き,目の痛み, 皮膚のかゆみ,吐き気,下痢の症状がでることがある。
ビタミンE(トコフェロール)
<概説>
  • 脂溶性。強力な抗酸化物質である。
  • 他の脂溶性ビタミンと異なり,ビタミンB群に似て体内の貯蔵 時間は比較的短時間である。
  • ビタミンAの活性を高める。
  • 一般的な摂取量は200〜1200IU/DAY
  • 熱,氷点下の温度に弱い。
<効果>
  • 酸化を防ぎ細胞の老化を遅らせる。
  • 体に多くの酸素を供給するので耐久力が増す。
  • ビタミンAと協同して環境汚染物質から体を守る。
  • 疲労を和らげる。など
<含有率の高い食品> 小麦胚芽,大豆,植物油,ナッツ,葉野菜,卵など
ビタミンF(リノーリ酸,アルファ・リノレン酸など)
<概説>
  • 脂溶性。必須多価不飽和脂肪酸のこと。
  • 不飽和脂肪酸:飽和脂肪酸=2:1で摂取された場合,不飽和脂肪酸 は飽和脂肪酸の燃焼を助ける。
  • 一日の摂取カロリーの1%程度は取るべきといわれている。
<効果>
  • 血管へのコレステロール沈着を防ぐ。
  • 健康な皮膚と髪にする。
  • 細胞のカルシウム取り込みを助け,細胞の成長を促進し体を健康に保つ。
  • 飽和脂肪酸の燃焼させ体重減少を助ける。など
<含有率の高い食品> 植物油,ピーナッツ,小麦胚芽,くるみ,大豆など
葉酸(ホオラシン)
<概説>
  • 水溶性。ビタミンB群の一種。ビタミンMともいわれる。
  • 赤血球の生産,細胞分裂に不可欠。
  • タンパク質の代謝を助ける。
  • 一般的な摂取量は400μ〜5mg/DAY
  • 室温で長時間おくと壊れてしまう。
<効果>
  • 貧血を防ぐ。
  • 健康状態の悪いときに食欲を増進させる。
  • 健康的な皮膚にする。など
<含有率の高い食品> 濃緑色野菜,人参,レバー,卵黄,かぼちゃなど
イノシトール
<概説>
  • 水溶性。脂肪肝防止性。
  • コリンと結合してレシチンを作る。
  • 脂肪とコレステロールの代謝を助ける。
  • 一般的な摂取量は250〜500mg/DAY
  • コリンとともにビタミンEの力を最大限引き出す。
<効果>
  • コレステロールを下げる。
  • コリンとともに脳細胞に栄養を与える助けとなる。
  • 髪の抜け毛を防ぐ。など
<含有率の高い食品> レバー,ビール酵母,小麦胚芽など
ビタミンK(メナジオン)
<概説>
  • 脂溶性。K1,K2は大腸で作られる。K3は人工的に合成 されたもの。
  • 自然の食品に十分含まれており,サプリメントは不要である。
  • 血液凝固に不可欠である。
<効果>
  • 内出血などの体内出血を予防する。
  • 適切な血液凝固を助ける。など
<含有率の高い食品> 緑色葉野菜,ヨーグルト,卵黄,など
<欠乏症> お腹の病気(下痢など),大腸炎
<毒性> 合成ビタミンKを500μg以上摂取した場合,赤血球を破壊して貧血 の原因となることがある。
ナイアシン(ビタミンB3)
<概説>
  • 水溶性。ビタミンB群の一種。加熱等でも破壊されない。
  • 不足するとネガティブな人格変化が起きる。
  • 神経系の健康と脳の機能のために必要。
  • ナイアシン,またはナイアシンアミドの形でサプリメントとなっている。 ナイアシン(ニコチン酸)     ⇒ 皮膚の潮紅,かゆみを引き起こす ナイシンアミド(ニコチン酸アミド)⇒ 上記の心配がない
<効果>
  • 消化系の健康を促進し,胃腸障害を緩和する。
  • 偏頭痛の予防,痛みの軽減。
  • 血圧を下げ,コレステロールや中性脂肪を減らす。
  • 口内炎を緩和し,口臭を消す。など
<含有率の高い食品> レバー,赤身肉,ビール酵母,魚,鶏肉,卵など
<欠乏症> ひどい皮膚炎など
<毒性> 100mg以上摂取した場合,皮膚のかゆみが起きる場合がある。