サプリメントの効果について


現在,様々なサプリメントが出回っています。ここでは、ドーピングと無関係でありながら 効果があると思われる各種サプリメントについてまとめてあります。



OKG BCAA
カルニチン カフェイン
クレアチン プロテイン
アミノ酸剤





OKG
<概説>
  • オルニチン・アルファ・ケトグルタル酸のこと
  • 遊離オルニチンと遊離アルファケトグルタル酸が2:1で含まれている
  • オルニチン:インシュリン、グルカゴン、インシュリン様成長因子(IFG-I)、成長ホルモン(GH) の分泌の引き金となる。これらは糖質コルチコイドの異化信号を打消し、アミノ酸 の合成とタンパク質の合成を引き起こす。グルカゴンは脂肪燃焼作用がある
  • アルファケトグルタレイト:クレブス回路の中間生成物。インシュリンのレベルを変えない 糖質系エネルギー
  • 各成分がイオン塩(Ca、Mg)では効果がない
  • 吸湿性が高いので液体の方がよい
<効果>
  • アンモニアの除去:アンモニアは筋収縮・回復の妨げになる。
  • アルギニンの生成:筋肉疲労時に必要。これをBCAAに変換もする。
  • 筋肉内のグルタミンレベルを上げる:グルタミンのサプリメントを経口で取っても 体内で分解されてしまう。グルタミンは免疫システムを強化し、筋発達を促す。
  • BCAAの細胞内貯蔵を正常化する(BCAAを摂取するより効果あり)
<取り方>
  • 2〜4g、1日5回、食事と一緒に取る
  • トレーニングの30分前に飲むと良い
  • 摂取1H後にインシュリン、グルカゴン(アナボリックホルモン)が25〜30%増加する
BCAA
<概説>
  • ブランチド・チェーン・アミノ・アシッド(分岐鎖アミノ酸)のこと。 バリン,ロイシン,イソロイシンで構成されている。
  • 筋肉成分の15〜20%はBCAAである。
  • 筋肉の基本的なカロリー源であり、筋肉の辺縁で燃焼する。
  • 激しい運動は早いスピードで窒素排泄物を作り出し,それが筋肉の タンパク質合成を低下させる原因となるが,BCAAは窒素排泄物の除去作業 をスムーズに行うため,タンパク質合成能力の低下を抑えることができる。 したがって、トレーニングによる異化作用を防ぎ,アナボリックな状態を作り出す。
  • 吸収されたBCAAの50%は1時間以内に筋肉で使われうるようになる。 また、2時間以内に100%筋肉で使用可能になる。
  • 有酸素運動はコルチゾール(カタボリックホルモン)レベルを増大させ、テストステロンレベルを低下させることがわかっている。BCAAとプラシボを摂取したグループで、ランニング終了後のホルモン状態を測定した研究結果がある。(月刊アイアンマン1998年6月号53ページ)これによると、BCAAを摂取したグループでは、ランニング終了後1時間以内にコルチゾールレベルが低下しテストステロンレベルが上昇したが、プラシボグループではランニング終了後もコルチゾールレベルが高い状態が続いたとのことである。
<取り方>
  • トレーニング前後に取ると効果的。
  • コンテスト直前に摂取カロリーを制限したり、有酸素運動を多く行う時期に摂取すると有益と考えられる。
カルニチン
<概説>
  • 脂肪燃焼、筋タンパク質の異化防止。
  • 脂肪はケトン体に変換後,筋肉内で酸化利用される。 カルニチンは遊離脂肪酸をミトコンドリアへ運び入れ触媒となってこれを酸化して ケトン体にする。
  • 減量中は血糖値が低下し、エピネフリン、グルカゴン、成長ホルモンが血糖値を 上げるために蓄積脂肪酸を分解する。 カルニチンは遊離脂肪酸の利用を 高めるため筋肉の分解消耗を防ぐことができる。
  • 医学的に効果がはっきりしているため,厚生省は昭和58年4月の薬務 局長通達で『カルニチンは医薬品に相当する物質であり、食品とは見なせない』 と告知しています。したがって、日本国内では食品に使ったり,粉末・錠 剤として販売できません。ご注意下さい。
カフェイン
<概説>
  • 中枢神経を覚醒させ,集中力を高める
  • 筋の収縮力が高まる
  • 脂肪酸の利用を高める
  • 基礎代謝を高める
  • 注意:カフェインによる不整脈・神経過敏は低血糖により悪化する
<取り方>
  • 運動の30分前に200mgをとる
  • 330mg(体重70kgの人の場合)以下はドーピングにならない
  • 15〜45分で最大濃度、ハーフライフは3〜10H
  • 耐性ができないように週2回以下にする
  • カフェイン量の目安
    • コーヒー 100〜125mg@カップ1杯
    • 茶    50〜70mg @カップ1杯
    • コーラ  45〜65mg @コップ1杯
クレアチン
<概説>
  • 1992年バルセロナオリンピックでイギリスの リンフォード・クリスティが陸上100mでクレアチン により飛躍的に記録を伸ばしたことで有名になった。
  • リン酸と結びついてこれを安定して保存する。 リン酸はATPの分解によって発生する。
  • 疲労物質として乳酸が考えられているが、乳酸の もたらす反応はワークアウト直後には起こらない。 ATP→ADP+リン酸+エネルギー の反応でリン酸が蓄積されると 筋中が酸性になり収縮タンパクが機能しなくなる。 その結果、疲労状態に陥る。
  • クレアチン+リン酸→クレアチンリン酸(CP) 酸を吸収して中和し、 安定した状態を維持(酸の中和)
  • CPはADPにリン酸のみ渡して、ATPを再合成する(エネルギー生産) リン酸 20%⇒ATP再合成 80%⇒CPの形で保存
  • セルボリューマイジング⇒クレアチンが細胞内に蓄えられる と水分も取り入れられ細胞が膨らんで大きくなる。
<取り方>
  • クレアチンを買うときの注意
    @クレアチン・フォスフェイト ⇒クレアチンリン酸のこと
    Aクレアチン・モノハイドレイト⇒クレアチン+水1分子、同重量でも@より 60%クレアチン量が多く、吸収が確実で早い
  • 筋肉中のクレアチンは安定した状態で保存されるのでワークアウト で大幅に減少しない限り補給不要である。 (少なくとも2〜3日は保存される) よって、ワークアウト後に取れば良い。
  • コンテストの1週間前からクレアチンローディングをすると良い ⇒1日9g、年3〜4回に制限すること
  • 月刊アイアンマン(1997/6)によると以下の使用方法が良いよう です。
    *ローディング期間:20g/DAY(1回摂取量4〜5g),5日間
    *その後は2〜3g/DAYで効果を維持できる。ただし、短期間で  も摂取を中止した場合,再びローディング期間が必要である。
  • 月刊ボディビル(1997/12)によると以下の使用方法が良いよう です。
    *ローディング期間:20〜30g/DAY(1回摂取量4〜5g),1週間
    *その後は5〜15g/DAYで効果を維持できる。ローディング期間をたまに 設けてサイクルすると良い。
    *炭水化物と一緒に摂取すると効果的。比率は,
      クレアチン:炭水化物=1:7
     が良いようです。
  • クレアチンは水と結びつく性質があるため、過度な水分制限をしている人(減量期の人など)は脱水症の危険があるため使用してはいけません(月刊アイアンマン1998年6月号55ページ)。発汗を促すトレーニングをする場合には、かならず十分な水分を摂取するようにすることです。
プロテイン
○プロテインの種類
  1. 大豆タンパクプロテインパウダー
    • アミノ酸スコア100%,BCAAの割合は約6%です。
    • 最高級品では消化吸収率97%であり、肉類と 同等である。
    • 大豆タンパク質はその構造上,空気を取り込み やすく,満腹感が得やすい特徴があります。した がって、減量中の食事代わりに使用したり、就寝 前に摂取するのに適します。
  2. エッグプロテイン
    • アミノ酸スコア100%,BCAAの割合は約18%です。
    • 卵白だけを濃縮,粉末乾燥したものです。黄 身は捨てるのではなく,ビタミン剤や医薬品に使用さ れるようです。
  3. ホエイプロテイン
    • アミノ酸スコア100%,BCAAの割合は約24%で,プロテイン の中ではNO.1です。
    • CFM(ハイテクフィルターでホエイタンパクを分離する方法)で 製造されたものがタンパク質の変性もなく優れています。
    • 比較的高価であり,BCAAを多く含むことから, トレーニングの前後に使用するのが効果的なようです。
○タンパク質をたくさんとる理由
  • ボディビルダが率先してタンパク質を摂るのは、体内の窒素滞留が 筋肉のタンパク同化をもたらす作用があるからである。 すなわち、筋肉を作り上げるには一定量のアミノ酸が必要である。
  • ステロイドによる筋肉増加はアンチカタボリック効果によるものであり、 筋肉の異化作用を押さえることにタンパク質の同化作用を促すよ りも重点を置くべきである。
○カタボリックホルモンに関する実験結果
  • ストレスホルモンについて
    1. エピネフリン
       副腎髄質にある。情報伝達やホルモンとして働く。
    2. コルチゾール
       糖質副腎皮質ホルモン、タンパク質から糖新生を促進し異化を行う。
    3. グルカゴン
       肝臓のグリコーゲンを分解して血糖を上昇させる。拮抗するインシュリンより強い
  • ストレスホルモンにより筋肉の同化に必要なアミノ酸は減らされ、アラニン(非必須アミノ酸) を増加ささ、アラニンは 肝臓でグリコーゲンに転換される。
  • ストレスホルモンを注射した後に、グルタミンまたは体内でグルタミンに変換されるアミノ酸を 注射すると、異化された筋肉が修復されることがわかった。
○鍵を握るグルタミン
  • 経経故グルタミンはほととど吸収されない。よって・体内でグルタミンに変換さ れるアミノ酸を摂取した方が確実に筋肉の修復を促す。プロテインでタンパク質を大量 に摂取することでグルタミン酸の増大が期待できる。
  • 月刊ボディビル(1997/6)によると、最近の研究でグルタミンは経口でも吸収 されることがわかってきたそうです。ただし、摂取量の定説はまだないよう ですので、サプリメントの瓶に書かれた処方箋に従うのがベストのようです。
アミノ酸剤
  • インバランス現象⇒特定のアミノ酸を多量に摂取すると他のアミノ酸 の吸収と利用が妨げられるもの。
  • したがって、数種類のアミノ酸のみ摂取することはあまり効果 がないと言われています。
  • 単体アミノ酸(フリーフォームアミノ酸)よりも、ペプチドアミノ酸(数個の アミノ酸が結合したもの)の方が消化吸収が2倍早いという研究 報告があります。したがって、高価なフリーフォームアミノ酸を摂取する 必要はないようです。