++ ADSL工事をおこなっても全くつながらない場合に限って工事費を請求しない --NTT ++
2008.8.30 2002.8.21初版

ADSL工事をおこなっても全くつながらない場合に限って
    工事費を請求しない --NTT

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    1.ADSLを申し込んでちゃんと使えるだろうか?という不安
    2.ギャンブルをせずに、申し込み前で、わかる方法はないのか?
    3.本当につながらない人が果たして何人いるのだろうか?
    4.勝手に結論
    5.ちょっと計算してみましょう。
    6.現行の2800円の根拠は? これすら高過ぎやしないか?

「つながらなかったなら工事費を請求しない」のは当然のことだが、ちょっとまった!
新聞報道で、ADSLの工事をやったが全くつながらない場合に限って?工事費を請求しないことに変更するようだが、これをそのまま鵜呑みでいいでしょうか?

そもそもADSLの恩恵を受けられる人は電話加入者のなかでも少なく、ちゃんとした満足が得られる人は電話局からせいぜい2km以内であり、一方電話局の守備範囲は7kmとされています。この2km以内というのはISDNノイズ、その他の外部ノイズを受けない理想的な条件下で満足な通信ができる距離数です。
ここで登場する2kmとか7kmというのは電話局からの直線距離ではなく実際の電話線の長さですが、ここでは話を簡単にするためにあえて直線距離とみなしています。
もっとも2kmを越えたらとたんにだめになるかということではなく、条件がよければ3km、4kmでも我慢すればつかえる場合もあるようですが、多くのケースでは満足につかえないのが現実でしょう。

地図を開いて最寄の電話局を中心にコンパスで2kmと7kmの円を描いてみるとお宅の家がどの円の中にあるかがわかります。
もし2km円の中にあれば、ADSLがちゃんとできる可能性があることがわかります。これはあくまで机上のはなしで、先に述べたように現実にはさまざまな要因(ISDNの影響、外部ノイズなどなど)でどんどん速度(満足度)が落ちてゆくのが実情で、かならずしも電話局に近いからなんの問題もないということは絶対にありません。

ノイズといえば、ADSLで使う電気の周波数がほぼAM(中波)ラジオの周波数と同じなので、近くにラジオ放送局の送信所があるとかなり強力な妨害要因になります。
名古屋ではNHK第一、NHK第2、CBCラジオがその周波数で、東海ラジオはちょっと外れます。

  ■ 『Tips / Cycle of 5th』さんの ADSLがリンクしない(接続しない)場合の対処方法 ・・・詳しい対処法が書かれています


   1.ADSLを申し込んでちゃんと使えるだろうか?という不安

これはすべての人に共通の問題です。すでに使っている人、工事をしたがだめでキャンセルした人は全員「電話線に2800円をかけてギャンブルをした人たち」です。それからこれから申し込みをしようとする人たちもそうです。

実際はお金だけではなく、これにかかわる事柄で費やした貴重な時間もギャンブルの対象です。
例に漏れず、私も1年ちょっとの間で2回やりました。第1回目は初めて申し込んだときで、まだもよりの電話局でサービスが開始されてないときでした。
第2回目は引越しをしたときです。
ちゃんとつながるかは工事をやってみないと誰にもわからないという現実があり、仕方ないので「つながることを祈って」賭けてみました。
結果的には紆余曲折はあったが、まぁ満足のいくADSL環境にいます。

   2.ギャンブルをせずに、申し込み前で、わかる方法はないのか?

さきにのべたように実際につないでやってみないとわからず、もしやればタダではすまず、工事をやったからには結果にかかわらず「払ってよ!」というのがこれまでのNTTのやりかたでした。
このことが、ADSL申し込みの弊害になっているという批判があり、今回の見直しとなりました。
その批判をかわす意味でNTTは「だめならチャラにする」を前面に打ち出し、一方ちゃっかり値上げを企んだNTTのしたたかさが垣間見れるできごとです。

9月からNTTは申し込みに応じて工事をおこない「うまくつながらない場合に限って、チャラにする」方針に変えるようだが、幸運?にもチャラにしてもらえる人が6%いるとのことだがこの数字は「うぅ〜ん・・・」だいぶ大きいように思います。

というのはつながらない線引きをどうするかで、この数字は大きくかわってくるからです。この線引きは明らかになっていないが、運用上線引きをかなり低めに設定してこのチャラはできるだけ少なくしようとするのが予想されるからです。

ということは、公には、「チャラにする」という好印象をあたえておいて、いっぽうで工事費をちゃっかり3050円に値上げをするという見え透いたことをやろうとしているということになります。

実際に工事をやってみて、申し込み者は「こんなの使える状態とはいわないっ!」と不満たらたらでも、NTTは「速度は遅いがつながっています」という不毛の戦いが起きてくるのがいまから目に浮かびます。


   3.本当につながらない人が果たして何人いるのだろうか?

先に述べたようにNTTは6%あるといっているが、3kmも4kmもはなれている人は、はなから申し込みをあきらめているだろうし、近い人で「つながらない」というのは相当な原因がある場合で6%の数字は眉つばものと思っています。
この6%のなかには「つながるけどとても満足できずに解約したひと」が相当数含まれていると見るのが自然でしょう。線引きが非常に重要な意味をもってきて第3者でもわかる線引きを公表して説明する責任が発生してきます。


   4.勝手に結論:

9月から値上げを実施するなら、値上げの前提となる「本当につながらない人が何人いて、そのキャンセル料をキャンセル者を除いた申込者全員で割った金額が一人あたり250円になるのか?」、ちゃんとした説明がされなければ申し込み者も納得しないでしょう。
それから線引きもだれにもわかるように公表しなければなりません。


   5.ちょっと計算してみましょう。

現在の契約者数は360万人。
これまで契約解除された数が6%というと360万人を0.94で割ると、もともとの全契約者は383万人となります。
そうすると解約した人の数が23万人となります。
ところで、本当に23万にもの人が泣く々2800円を払って静かに退場していったのでしょうか?
常識的に考えて、こんなことがあればすでに大きな社会問題になっていて当然だが、こんなに多くの人が不利益をこうむっていることは報道もされておらず、6%の数字の信憑性が疑われます。

一部の人で、このような不利益があったのは間違いのないところだろうとは思いますが、6%の人全員がつながらずに解約した人というのはうそっぽいといわざるをえません。
6%のなかの多くのひとは、加入申し込みをしたが「つながるが、速度がでない!」などの理由で満足できずに解約した人だろうと推測しています。

ここで値上げ幅を試算してみると、
23万人に2800円をかけるとキャンセルしたときのNTTが被るであろうお金が計算され、6億4400万円になります。
この金額を360万人でわれば、値上げ金額はNTTがいうところの250円になるはずですが・・・?
答えは約179円。 おっと違うぞ!?

幻のひとの分を生身の人におっかぶせるという経営方針も理解できませんが・・ちゃんとして経営している会社なら、ここは企業努力で吸収して値上げなどにはもっていかないのが通常ではないでしょうか。

NTTがいう6%の数字が正しいと信じてもこの値上げの上げすぎがはっきりしました。
先ほどらいの説明でこの6%の数字にごまかしがあると考えているので、これはもはや「だめなら工事費をとらない!」というちょっと考えるともっともらしい理由を前面に出しておいて、蔭では、「この際ちゃっかり値上げをしよう」という魂胆が明らかになったといえるのではないでしょうか?

そもそも今回の変更は「加入者が入るのに障害となっている条件をなくそう」、「入りやすくしよう」というのが表向きの口実で、これまでに検証してしたようにほとんどその「チャラという恩恵」を受ける人がいないだろうとすれば、その幻の人以外はすべて値上げになるわけで、これでは本来の趣旨から外れて「入りやすくなるどころか、むしろ逆行する」のではないでしょうか?
これまでに加入した人と、これから加入するひととの間に根拠のない格差が生じて好ましいこととはいえないとおもいます。
 
新聞記事の主旨を要約したものです。

    ADSL導入問題点を解消 9月から行う予定 日経2002.8.21より 
    工事費と電話番号の規定の2点を変更する
    その主旨は、
    利用者の利便性を高め、ADSLの普及促進を目指した変更である。
    1.NTT東西地域会社は2002.9月から、ADSL導入時で回線がうまくつながらなかった場合に工事費を無料にする。
    2.ISDNからアナログ回線に切り替えても同じ電話番号を変更することなく使えるようにする。
      この2点はNTT自身もADSL業者としてやっている「フレッツADSL」だけでなく、イー・アクセスなど他のADSL事業者のサービスにもそのまま適用される。
      ADSLを申し込むと、NTTの電話交換局の設備変更費として2800円の工事費がかかりNTT東西から請求される。
      しかし工事をしたが利用者宅の通信環境、そのたの外部要因などにより全くつながらない場合が申し込み契約金体の約6%になるとされている。
    このような場合でもこれまではNTT東西は「既に工事済み」との理由で工事費を請求していたので、申込者がためらう原因の一つになっていた。
    そこで、NTT東西は9月からは、全くつながらない場合は工事をしてもその工事費を請求しないように変更する。
    一方でNTTが被るこの損失をほかの加入者に負担してもらうべく工事費全体に上乗せして、工事費を2800円から250円上乗せして3050円にするべく検討している。

      2番めの件は、これまでISDN回線で契約していた人がADSLを使うためにアナログ回線に戻す必要がありそのときに電話番号を変えなければならなかったが、9月からはそのままの電話番号使えるようになり、これまでのように電話番号が変わってしまう不利益がなくなる。
      ADSLの普及状況は7月の末で360万件で毎月30万件の増加で推移している。


   6.現行の2800円の根拠は? これすら高過ぎやしないか?

「なぜ日本だけ変われないのか」ダイヤモンド社 東洋大教授・松原聡 からの引用です。
NTTは、企業分割を避けるべく、政治家から労働組合まで動員してきた。しかしいま、NTTは10万人ものリストラを進めている。NTTのこの間の抵抗は、10万人もの余剰人員を抱えるためだったのか。そうなると、私たちは10万人分の余分の給料を10年以上にわたって電話料金に上乗せされて払わされてきたことになる。
関連の情報としてはここが詳しい
これまでもNTTがリストラを進めていたことは知っていたのだが、10万人とは驚きの人数です。NTT東西グループ全員で22万人でその約半数にあたるわけですから・・・。

このようなお家事情があるわけで、NTTとしてはなんとしても収入源を確保したい切羽詰った背景があり、百歩譲って工事手数料は認めるにしても2800円自体が高いとおもいます。
というのはこのADSL工事は数年前にかけらすらなく、今般新たに仲間入りした仕事です。この仕事をやるために新規に従業員を採用したわけでもなく、現在在籍している従業員がこの仕事をやることになったに過ぎないからです。

ということは新たに経費をかけずに収益だけを上げられる仕事をゲットしたことになります。私も技術的な仕事でNTT局舎にはいったことがありますが、第一印象は「人が多いなぁ。この人たちは普段どういう仕事をやっているのだろうか?」というものでした。

たしかに、事故、災害で電話回線が被害にあったときの回復の速さは「さすがNTT」と思うこともあり、そのための人員を平常時から確保しておかなければならない側面はあるにせよ、災害発生件数に対応する適正人数は割り出せるはずで、NTTが10万人リストラを打ち出しているからにはそういう人たちを考慮してもまだ10万人多いのだろうことは推測できます。

NTTの工事は局舎工事のことで、ADSLを申し込んだり、解約したり、転居したりしたときに発生しますが、NTTの人があくまでも働きなれた自分の局舎内で作業するわけで、加入申し込み者の自宅へ行き工事をするわけではありません。
工事作業といっても局舎内で加入電話線を2本はずしてスプリッターというちっぽけな箱につなげてその箱からべつの2本の線を交換機につなぎ、さらにもう1本別の線をスプリッターから集合モデムにつなぐだけの作業をして、電気的な試験をすれば完了です。
その電気的な試験もあくまでも局舎内でやった工事の試験だけで、本来やってほしい加入申し込み者宅のADSLモデムまでを含めて「本当に使えるかのテスト」などははいっておりません。・・ここまでテストをして2800円なら妥当かなぁという気がします。
1件あたり30分もかからないでしょう。それと依頼元のADSL業者へ作業完了の事務作業も含めても1時間で十分おつりがくると推測されます。
そうすれば1日に処理できる件数は10件、いやもっと多く20件ぐらいできるかもしれません。
この荒っぽい計算でも、1件あたり2800円は高いとおもいますがNTTのひとにたずねてみたいところです。

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