うつせみ 
2002年 5月12日
           点描

 74日間世界一周旅行で立寄った32ヶ所の点描である。*印は世界遺産。

 Nagasaki:鎖国の日本から世界に開いた美港。

 Shanghai:揚子江の濁流に棹差す努力が実りつつある街。皆が懸命に働き一歩ずつの成功を謳歌していた。「香港はもう要らない」と言った。

 Hong Kong:繁栄の残照に輝く中国人の過密都市。

 Hong Gai*:山水画から造られた幻想の湾。松島を大規模にしたような浸蝕地形の奇岩の島々が数百、靄でかすんで遠くまで重なっていた。

 Hanoi:豊かさへの道を見出した努力の街。戦乱からの復興中でまだ貧しいが、向上への手がかりを得て懸命に努力中と見えた。

 Da Nang:つわものの血と涙の跡。ベトナム戦争の基地跡があった。

 Hue*:夢と費えた古都。ベトナムの華麗な王都にテト攻勢のベトナム軍が立てこもり、それを米軍が絨毯爆撃でフラットに打ちのめした。

 Ho Chi Minh City:自活を強いられた令嬢:特権階級の都Saigonが北ベトナム人に占領され、改名させられ、つつましい生活の街になった。

 Bangkok:南国の平和な王都。タイは豊かで平和な国だ。

 Angkor Wat*:崩壊したクメール人の昔日の力を思い出させる古都。これほどの建造物を造ったクメール人のエネルギーは今いずこ?と感じた。

 Singapore:効率と合理性を極めた中国人の多民族都市国家。一見多民族共存だが中国人が枢要を占めている。効率追求を極めた感じ。

 Phuket:海浜とカシューナッツと象の島。

 Cochin:16世紀ポルトガル時代で時計が止まった町。英植民地時代に忘れ去られ、時代から取り残されたポルトガル植民地の主要都市。

 Victoria, Seychelles:緑豊かなGondwana大陸の小片。花崗岩の山がそそり立ち、白浜と繁茂する木々が特徴の田舎町。

 Zululand:動物のペースで時間が流れる野生保護区。ライオン、チータ、象などが君臨する世界を人間が遠慮がちに覗く。

 Mossel Bay:石灰岩の山脈が緑の楽園と駝鳥の国を分ける。

 Cape Town:アフリカにある欧州の町。Table Mountain北麓の近代的都市の背後にはアフリカのNapa Valley(ワインの盆地)があった。

 Luderitz:ダイヤモンド亡者の執念が渦巻くゴーストタウン。常に強風で砂が飛ぶ荒涼たる砂漠でダイヤモンドを採取したドイツ人の町。

 Namib Desert:熔岩の岩盤が露出し砂丘がそびえる砂漠。しかし地下水脈に沿って植物の珍種Welwitschia Mirabilisがあった。

 Swakopmund:独語が幅を利かせるリゾート都市。ドイツ植民地だったから白人は独語を話す。海と砂漠の珍しい取り合わせに観光客が来る。

 St. Helena:流刑になれば寿命が伸びそうな絶壁の島。周りは絶壁だが内陸は緑。Napoleonは鬱々として寿命を縮めたというが、凡人は....

 Rio de Janeiro:白浜と花崗岩と宝石とサンバと太目の美人の街。

 Iguacu Falls*:個々の滝を頭の中で合算すれば理解できる壮大な滝。

 Salvador de Bahia*:ポルトガル植民地時代の建物が残る貧しい黒人の街。元奴隷輸入港でBrazilの最初の都は、今は貧しく黒人の多い街。

 Fortaleza:何も観光リソースはないが、海だけは美しい街。

 Barbados:砂糖黍農場の奴隷の子孫がマッチ箱のような家に住む島。

 San Juan, Purto Rico*:城と城壁に守られた石畳の旧市街とはみ出た新市街。木灰を焼き固めた船のバラストの青い敷石が美しい旧市街。

 Ft. Lauderdale:豪華客船が常に数隻、個人ボ−トが無数にいる港町。ダウンタウンは普通だが、海岸沿いに高級ホテルと別荘地帯。

 Everglades National Park*:陸だか川だか海だか分からない鰐の居る真っ平らな湿草原。他とは違って美観ではなく生態保護の国立公園。

 Key West:忙しい人がのんびり骨休めに来る米南端の海のリゾ−ト都市。クルーズ、レストラン、博物館などが充実して退屈させない。

 Honolulu:日本人が100%日本語で過ごす街。

 Hawaii*:南は熔岩が流れ、北は絶壁に高い滝が落ちる熔岩の島。

 色々な所を回って日本に帰り、やはり日本が一番いいと思った。以上