うつせみ
1998年12月13日

            カーナビ

 カーナビを買ってしまったが仲々具合が良い。不可欠ではないが、不案内な道、渋滞情報、方向音痴のワイフ用には便利と考えていた。

 カーナビの位置検出には次の4手段があることを知った。
1.GPS = Global Positioning Systemは少なくとも3つの衛星からの電波の時間差で位置を決める。米国国防省がColorado Springs空軍基地から制御する24個の衛星が地球の経度で120度離れた3つの南北軌道の各々に8個ずつ等間隔で飛んでいる。時間パルスは衛星搭載の原子時計から出ている。その位置と時間は正確にモニタされて較正用のデータも衛星が送り出している。位置特定に2種類あり、SPS = Standard Positioning Systemは絶対誤差100m、PPS = Precise PSは絶対誤差20mで、共に相対誤差(分解能)はその10分の1以下に達する。PPSの暗号信号は軍事専用で我々は利用出来ない。イラクの砂漠のトーチカ群を正確に攻撃したアレである。しかし例えSPSでも無料で公開しているのだからさすが米軍ではないか。
2.車速パルス:車の距離計を回すパルスで移動距離を計っている。
3.自立航法:ジャイロセンサで加速度を計る。加速度を2回積分すると移動距離が求まるが、GPSで補正しないと大きな累積誤差が出る。
4.D-GPS = Differential GPSは、GPS衛星の電波を再送信するFM放送を受けその時間遅れから放送局からの距離を求め位置精度を一桁上げる。

 市場のカーナビでGPSの無いものはない。ポータブル型以外は車速パルスを接続する。自立航法も併用されることが多い。少し高いものはFM受信機を内蔵またはオプション追加してD-GPSを可能にしている。

 VICS = Vehicle Information Communication SystemはVICS推進協議会が建設省・郵政省・警察庁の後押しを得て交通渋滞や規制の情報を車に届けてくれる。出自の違いから通信手段に次の3種類がある。
(1)FM放送(全般情報)(2)光ビーム(主要国道)(3)電波ビーム(高速道)。VICSを使わない人も多いが渋滞情報を得るには必須である。(1)が最も一般的で、加えて高価な(2)+(3)のオプションを付ける人も居る。

 この他にインターネットや各自動車会社が推進するインターネットを基本とした情報クラブへのアクセスがあるが、概して高価なので諦めた。

 最初は自分で取り付けようと思ったが、車速パルスの引き込みが分からないので諦めた。取り付けを頼むと1万円から5万円掛かるという。そこで持ち運び可能なポータブル型を考えた。しかし取り付け不要と言ってもどこかに置く必要があるし、車速パルスが入らない分精度が劣る。結局私の達した結論は、取り付け型を買って電気配線は専門家にやってもらい、液晶表示装置の機械的取り付けだけは自分で勝手にやることだった。

 八王子にラブラブという店がある。その自動車部門はPITを持っているので聞いてみたら、当店で買ったものなら\15 kで取り付けるという。

 トップメーカPioneerのAVIC-510「楽ナビ」は、エンジンを掛けると「どちらまで?」と聞いてきて「帝国ホテル」と応えれば不特定多数音声認識をして案内してくれるという。ワイフ向きだと気に入ったが、常識で考えてこの程度の値段で音声認識がうまく行くはずがないことに気付きやめとした。結局在庫一掃のキャンペーン中だった三菱のCU5920-TV FMというモデルが7インチ液晶、ジャイロ、FM-VICS、テレビチューナ付きで\138 kという馬鹿安だったので、車も三菱だし良いかと考えて購入した。液晶部分はブラブラさせておいてくれと取り付け担当に頼み、その足でアルミ板などを買いに行って最も便利な所に据え付ける金具を作った。

 快調である。トンネルに入ると困ってしまうようだが出たところで自車表示がワープして本来の位置に移る。渋滞情報もFM放送(東京ではNHK 82.5MHzの副搬送波)で入り地図上に表示される。唯一の不満は表街道ばかりを指示し裏道を教えても覚えない。しかし私が勝手に裏道に入ってしまうと仕方なくその位置からのルートを改めて考えてくれる。CD-ROMだから100mスケールの地図が日本全国で3枚になってしまうが、栃木県から兵庫県までは1枚で済むから殆ど交換することはないだろう。

 これでドライブのストレスが激減する。ドライブ量が増えそうだ。以上