うつせみ
1999年 7月17日

            デジカメ時代

 消費者向けの世界初のディジタルカメラはCasioのQV-10だと思うが、それを今でも使っている。その後継機も含めて320 x 240画素という小さな画面をしばらくは貫いてコストを抑えたCasioは立派だと思う。Web頁に掲載するには多くの場合これで充分だし、画像を大きくして値上げしたら売れなかったと思う。もし私が商品企画担当だったら、そういう商売的観点を貫けたか、それとも「技術者の良心」に押され、あるいは「これじゃカッタルイと客先から言われ、売上は深刻」という営業からの恫喝に遭って、より高級指向への判断をしてしまっただろうかと考える。

 Web頁制作に私は光学カメラも使っている。ネガ・スキャナは高価なので、東芝情報のお客様だった富士写真フィルム朝霞の接写用ビデオカメラを買った。ネガ・ポジ・フィルム、プリントなどを読み取れる。

 Web頁にはこれで充分だが、印刷して鑑賞に耐える画質には勿論ならない。段々進んだデジカメが出てきたが、まだ高すぎるという印象を拭えなかった。大体デジカメは光学カメラと比べて欠点が目立っていた。 (1)割高、(2)重くて大きい、(3)概して光学系が貧弱、(4)プリントが高価な上に自分で印刷すると時間が掛かって仕方が無い、など。そもそもデジカメは何のために買われているのかと店で聞いてみると、(a)モノズキ人種の需要、(b)個人はWeb / Mail及び自分でコメントや枠を操作できる創作の楽しみ、(c)企業はポラロイドカメラ需要、だそうだ。これが判らない。WebやMailに100 kB以上の写真を載せる時はよほどの必然性が無ければなるまい。写真をキラキラのハートマークに収めて似合う人は世の中にそう多くはない。工事記録などに使うには最も信用出来ないのがデジカメではないか。サハラ砂漠に植林した写真などすぐ出来てしまう。

 ところが最近上記欠点が緩和されてきた。(1)Mega-Pixel競争の結果、100余万画素のデジカメは在庫処分モードに入り、半値で店頭に出ている。ハガキサイズまでなら100万画素で充分だ。(2)重さ大きさはまだ解決されていない。足立謙典氏によれば、重い原因のトップは電池で、次いで液晶を初めとする回路部品、ガランドウの光学カメラと違って中身の詰まったデジカメは機構部品も重いとのこと。百戦錬磨でスリム化した光学カメラに比してまだ贅肉がある面も否定できない。(3)光学系も良くなってきた。CCDの一部だけを読み出すDigital Zoomで誤魔化してきたが、光学 Zoom、それにマクロやフラッシュを積んだデジカメが増えてきた。

 (4)のプリントコストだが、デジカメ用プリンタを買うと数万円する。非パソコン人口を狙う目的で、デジカメとプリンタを直結して画像修正から編集までプリンタで出来るようにし、「創作の楽しみ」を提供するから高価になる。プリンタのメカはパソコン用と同じなので、パソコン人口ならパソコンで編集しパソコンプリンタで印刷すればよい。昇華型プリンタはドットの濃さが調整できるので中間色がスムースに出せるが、対抗してインクジェットも最近のものは大小2種のインク滴を組み合わせるものや、赤青黄の他に薄い赤青黄のインクを持つもの、などが出荷されている。昔のインクジェットはDither技術でドットの密度だけで中間色を表わすが、それでも300dpi(dots per inch)以上なら、虫眼鏡で見ない限りドットが気になることはない。

 最近はデジカメメーカがプリントサービスをやっている。Olympusは神田小川町のラボにメディアを持って行くとDPEを引き受けてくれる。富士写真フィルムは、InternetでDPEを依頼するか、店頭の銀行端末のような無人Upload端末でデータを送り、プリントは後日店で受け取るというサービスをしている。いずれもカメラメーカに関わらずプリントサービスをしてくれ、名刺判が1枚20円、L判が40 - 50円である。

 海外旅行にフィルムを鉛の袋に入れて持ち歩くのは面倒だ。デジカメに32 MBのメディアを使えばVGAで数百枚の撮影が出来る。そのためにはもっと軽くて小型のデジカメが欲しい。私の仕様は、100万画素、液晶、光学Zoom、マクロ、フラッシュ、32 MB以上、VGA/SVGA、軽薄短小、カメラ的形状、5万円である。そういう時代がそろそろやってきたか。  以上