テクノうつせみ
1999年 2月 6日

            インターネット犯罪

 インターネットを利用して毒薬を配送したり、女性をひどい目に会わせることに30万円の懸賞を掛けたり、他人のプライバシーを無断公開したり、様々な犯罪行為が行われていて真に怪しからぬという論調が盛んである。インターネットには毎日公私ともにお世話になっている私ではあるが、このニュースにはおやと思った。もし私が青酸カリを秘密裏に販売しようとしたらどうしたらよいのか、皆目判らなかったからである。

 www.yahoo.co.jpのホーム頁から掘るとmessages .yahoo.co.jp/list.htmlの「掲示板ナビゲータ」に達する。Yahooが阪神から広末涼子まであらゆる題目に関して掲示板を用意しており、CGI = Common Gateway Interfaceと呼ぶ規約上に作成された入力画面で、問題提起し、あるいは他人の掲示にリアルタイムで意見を入力出来る。同様にwww2s.biglobe.ne.jp/~miocomなどもある。学会にSIG = Special/Specific Interest Groupというのがあるが、あれだ。また討議よりも無料ホーム頁掲示を主体のシステムとしては、地球の旅がやっている www.geocities.co.jpなどがある。但し少なくとも私にとって面白い有用な情報はほとんど無い。

 これらが無料で経済的に成り立つ所以は、サービスコストの低下と広告収入の確立である。しかしこういう公共の場で悪いことをするには2つの関門がある。一つは自分のe-mail番地の登録が最低必要なことと、オペレータが監視していて怪しいものは消してしまうことである。だから大手の掲示板では悪事はほとんど不可能なのではないか。

 問題が起こるのは、こういう表通りの掲示板ではなく、裏通りにあるらしい。CGIソフトは各種出回っており私でも自分のホーム頁上に掲示板を開設できる。しかし自分の名誉が傷つくだけでなくInfopepperが黙っていまい。では自宅のパソコンをサーバにしたらどうか。今やサーバソフトは店頭で売っているが、この方式では私のサーバの在処が判ってしまう。もっと頭の良い人はハッカーとして他人のサーバに入り込んで勝手に私的サーバを開設してしまうのだそうだ。一方参加者がe-mail番地を知られてしまう問題については、「この内容のメールをここに送ってくれ」と依頼できるメール転送サービスもあり、無料メールサービスに登録して悪事を働き危なくなったら直ぐ脱会という手もある。

 かってインターネット上のポルノが怪しからぬという議論が米国で持ち上がった時に、PlayboyやHustlerが堂々と論陣を張って規制を撤回させたことを思い出す。論拠は(1)望まない人に予期せざる当惑を与えないように予告後に意志をもって選んだ人にだけ見せている、(2)世の中に充満しているものの一部がインターネットにあるに過ぎない、(3)他人に迷惑をかけずに個人が自己責任で見たいものを見る権利を規制すると歯止めが効かなくなり政治的意図に使われ兼ねない。建国の精神に反する。ということだった。Playboyから建国の精神を聞かされて仰天しつつも、規制を本能的に嫌う米国人の自由指向を思い知った。翻って日本では何か問題が起こると直ぐ「政府の責任だ、規制すべきだ」という声が巻き起こる。経済を極限にまで自由化して繁栄している反面日常生活は徹底的に規制するSingaporeでは、インターネットプロバイダは国営検閲機関を経由して国外に接続しなければならぬ。戒律に厳しいSaudi Arabiaも同様な機関を置いたというニュースが最近あった。

 インターネット上の犯罪も、郵便・広告・電話の中のアングラ情報、盛り場のビラ、匿名郵便、匿名の電話/Fax、などと同様に、多くの真面目で有用な使用の中の九牛の一毛である。自分の自由にならぬ領域に問題が起こると、坊主憎けりゃ袈裟まででその領域を鬼子のように幻想するのは人間の常である。脅迫郵便があっても郵便制度や信書の秘密を怪しからんとは言わぬ理由はそこにある。今インターネットを悪くいう人はインターネットを使ったことが無い遅れた人と思って間違いない。やっと警視庁に20人ほどの「ハイテク捜査課」が新設されたそうだが、少なくとも今までは警官からインターネットは連想し難かった。暗がりを作らぬことは大事だが、しかし規制はインターネットに似合わない。      以上