北カリフォルニア紀行
ワイフを連れてWink本社に出張した。American AirlinesのMileageの一部が12月末に切れてしまうので、最後の瞬間に有効活用した次第。私の方は、取締役会(出資者東芝を代表してAD-I山本英孝氏は役員)への報告と多くの宿題の解決と、まだ顔つなぎがあり、また12/7-8の週末を挟んで来週には我々の商売では大事なWestern Cable Showがある。
私が会社に居る間、奥さんは一体何をしているんだと皆が気にしてれくれるが、「知るものか、大人なんだから自分で考えるだろう」と答えていた。その実ワイフは泊まっているOaklandから毎日BARTでSan Franciscoに通い勝手に歩き回っていた。来週のShowはAnaheimであるので、ワイフは勿論Disneylandに行くつもりでいる。
昨日今日の土日をどう過ごすかが問題であった。私もワイフもこの辺りは大抵の所には行ってしまったので困っていたのだが、ワイフがまだ行っていないNapa Valley / SonomaのWeb頁を私が調べているうちに、太平洋岸のBodega Bayという頁に出会った。面白そうだと思って昨日は Napaと両方を230 milesドライブしてきた。仲々よかった。
周知のようにCaliforniaはGolden Gate Bridgeの南北で様子が一変し、北は全くの田舎である。しかし出発点がOaklandなのでGolden Gate BridgeではなくRichmond-San Rafael Bridgeを渡ってRoute 101からPetalumaという町に下りた。Petaluma川を溯った横輪船の内陸の港町として昔栄えた町の雰囲気が建物のたたずまいから伝わってくる。町から北西に太平洋岸に向かう。この30 milesは行けども行けどもなだらかな丘陵の羊と牛の牧場の連続である。Californiaは夏は雨が降らないので草は枯れていて、12月に雨期に入ると草が緑になる。新緑の草と、紅葉の木々と、桜の花やモクレンの花まで咲いていて季節感がゴチャゴチャになる。
メキシコのBodega氏が開発したというBodega Bayは、太平洋に突き出した2つの岬で囲まれた天然の良港で、昔は漁村、今は別荘地・避暑地である。岬の太平洋側では鯨が見られるというので目を凝らしたが見えなかった。太平洋の荒波が岩に砕け、強風で飛んでくる。後で唇を舐めたら塩の味がした。しかし景色を満喫し、土産店では鯨型の指輪を買った。
Russian Riverという川を溯って再び内陸に入る。少し北にはFort Rossというロシア人の砦があるという。Alaskaを領有していたロシア人が野菜栽培と狩猟のためにここまで南下してメキシコと対峙していたが、オットセイを採り尽くしてうまみが無くなり30年後には引き上げてしまったという。Russian Riverは奥多摩川を思わせる景色であった。
Sonoma山脈を越え、Route 101を越えて更に東に進んだ所でワイフが今Petrified Forestという看板を見たという。それはArizonaだろうと半信半疑でいたら、本当にあった。木の化石の森である。生憎の雨の中を傘をさして一周し、カメラを車から持ってきてもう一周した。近くの火山で3百万年前に噴火があり、周辺の木をなぎ倒して火山灰で埋め尽くしたのが木化石になったという。ArizonaのPetrified Forestは草一本無い赤茶けた荒れ地に赤く美しい木化石が転がっているが、ここでは草木豊かな森の中に火山灰そのままの灰色の木化石が点在する。直径2.5 m長さ30 mほどの大木が樹皮の形のままで化石化しているから迫力がある。
更に東行してNapa Valleyの北端Callistogaに着いた。後で資料を見るとここにはOld Faithful Geyserという間欠泉があったのだが、見落とした。Yellowstoneの世界的に有名な間欠泉と同名のこの間欠泉は幻滅であったのか別の魅力であったのかは別の機会のお楽しみとなってしま った。
Napa Valleyを貫くRoute 29で見渡す限り続く紅葉の葡萄畑の中をひたすら40 miles南下しつつ、Openの看板が出ているWinery二三個所に入る。中の様子は甲府盆地のものとさして変わらない。ただ残念なのはまだ時差が残る私としてはここでワインを飲むと慣れない道と慣れない車で眠くなるのが恐くて、ついに一滴も口にしなかったことである。瓶を買っても持ち運びに困るし。1870年創立のWineryが今はShopping ComplexになっているVintage 1870という所と、クリスマス一色のNapaの中心街も歩いた。
北Californiaの思わぬ野趣に恵まれた一日であった。 以上