うつせみ
1999年12月18日

            新型Portal Site

 海溝は一体どのくらいの深さなのかとか、インカ帝国は何時滅びたのかとかを調べたい時にあなたならどうします? 本あるいはCD-ROMの百科事典を引くでしょうが、沢山書いてあって所要の情報を見つけ出すのは結構大変ですよね。Webならどうしますか? YahooでOcean TrenchとかIncaとかを引くとこれまた沢山の項目が出てきて、そのどれに所要の情報があるかは勘と経験で選択することになる。

 ところが世の中変わって来た。百科事典のBritannicaがWeb上で無料公開になった。www.britannica.comを開き、最近まで結構な年会費納入者に限って使わせていたオンライン百科事典に When did Incan Empire perish ? と入力すると、(1)Britannicaの関連項目、(2)関連Web Site、(3)関連雑誌記事、(4)関連書籍(Barnes & Noblesと提携)の一覧が表示され、CD-ROM版より遥かに使いやすい。1998年版で米国で $ 125、日本で\ 25 k(前年は\ 50 k)していたCD-ROM百科事典の商売が台無しになるが、発想の転換をして本やCD-ROMを売るなどという古めかしい商売はあっさり諦め、Portal Siteになって広告費で商売しようと決心したらしいのである。もしあなたが社長だったら、パソコンメーカが無料パソコン事業を始めるようなこの決心が出来ますか? 正直言って私は怪しい。

 もう一つある。AskJeevesという会社が持つ www.askjeeves.comまたはwww.ask.comで同様な自然文による質問が出来る。Jeevesとは人名で、英国の文豪(だそうだ)Hodehouse卿が小説でこの名の執事を描いて以来、Jeevesと言えば執事・家僕というのが英語社会の常識だそうだ。執事に尋ねてごらん、何でもお答えしますから、という命名である。この頁で質問すると、(1)AskJeevesが用意したQ&A集(但し他人の頁が生で出てくることも多い)の中で関係しそうなQを数個列挙するので、その中から自分の知りたいQ(が幸いあれば)を選択するとAが出てくる。(2)Yahooは無いがExciteなど数種のPortal Siteを調べて何個関連項目があるか、及び代表的な内容の一部を見出し風に表示するのでそこを深堀りすればよい。最初私はFrustrationを起こした。或る質問をした時に全く関係ないQが並んで、「お前の尋ねたいのはこの内どれ?」と言われてムッとしたのである。例えば"How many times ...?"と質問すると「新聞について尋ねたいのか?」と来る(ここで笑えた人は相当英語圏に強い人だ)。しかしこの批判に対してAskJeevesの創業者は次のように答えた。「見当違いのQしか出せない場合は、そもそも深堀りしても答えが得られない場合である。Yahooで調べて調べて結局見付からなかった経験があるだろう。AskJeevesは最初から自らを限定することで答えが無いことを明示しているのだから、サービス向上と考えて欲しい」 フム!

 なお同社は技術を他社の質問コーナに提供している。例えばソフト会社Adaptecの頁を開くとA.S.Kのロゴが出て、Q&Aの頁に跳べる。

 BritannicaもAskJeevesも自然文処理はまだ無きも同然で、質問文を入力するより単語を入力した方が打率がよい位だ。Notre Dameと入力するより写真が見たければ Pictures of Notre Dameと入力した方が打率がよくなる程度の自然文処理である。

 しかし見逃してはならぬ本質がここにある。Yahooが代表する従来型のPortal Siteは、「あなたの興味に関連する可能性のある頁を細大漏らさず列挙しますから、後はあなたがその中から掘り出して下さい」という思想である。Web頁の世界的総量が大きくなり過ぎるとこの方式には限界があるかも知れない。これに対してBritannica, AskJeeversの対応は「もしあなたの興味がこういうことならここに答えがありますよ」と1回スクリーニングしてくれるから、肩透かしもあるが掘り出す苦労が少なくて済む。つまりAssembler CodingとCompiler Codingの違いに似て、何でも出来る自由度を失う代わりに作業が楽になる「インテリジェント化」の1ステップであると位置づけられる。そうならこれはトレンドになる。

 ともあれBritannicaとAskJeevesはBookmarkしておいて損はない。なおAskJeevesは日本でのパートナを見つけたがっている。     以上