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− 今日の読書 −

宮沢賢治
「雨ニモマケズ」
1997年10月10日

   この作品は宮沢賢治が自分で発表したものでもまた発表を予定していたものでもなく、 彼の手帳に書き記されていたのを死後発見されたのだという。 この作品を賢治はどんな気持ちで書いたのであろうか。
「自分を犠牲にしても他人のために尽くせるような立派な人になりたい」
そんな気持ちが本心としてあって、それをそのまま表現したのであろうか。

 僕は違うと思う。
「雨ニモマケズ」を読んでみるとすぐに分かるのだが、 そこにはとても出来そうもないことが一杯に書き連ねてあって、 しかも「慾ハナク」という言葉までがさりげなく並べてある。

冗談じゃあない。

こんなに沢山のことを実現したいなんて、いくらなんでも欲が深すぎる。


良いお爺さんは雀のお宿から帰るとき、小さいつづらを選んで宝物を一杯手に入れた。 その真似をした悪いお爺さんは欲を出して大きいつづらを選んで失敗した。 このお話の教えるところは「欲を出すな」だ。 欲を出すとろくなことはない。 欲を出さなければ大きな欲が満たされる。

スポーツの世界でも「無欲」ということがよく強調される。 特にアマチュアスポーツの世界では「チームワーク」とともに美徳とされ、 時に「無欲の勝利」などと賞賛される。


冗談じゃあない!

欲を持て!
どうせなら大きな欲を持て!
欲しければ二兎でも三兎でも追え!
変な妥協はしない。自分を偽らない。
(その結果が妖怪に追われることになっても、屈辱の敗戦に終わることになっても、それはそれで仕方ないじゃあないか。)

ソウイウモノニ
ワタシハナリタイ

慾ハ イワナイ


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