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− 光陰矢の如し −

1997年10月10日

 「光」は日、「陰」は月で、光陰とは月日のことである。 つまり月日のたつのは矢のように速いという喩えであると一般に説明されている。 この説明の前半は天体としての日と月、後半は時間としての月と日で、 若干の飛躍があるのが気になるが、この程度ならまあよしとしよう。
 一方、光とそれによってできる陰とはほとんど時を移さずできる。 すなわち光の速さの速いことの喩えと解釈することも可能かもしれない。 もっとも、光は矢などとは比較にならないくらい速いので、この譬えは光に対して失礼ではあるが。
 さて、この諺に相当する英語の表現に、
Time flies like an arrow.

というのがあるのはご存知と思う。 ある雑誌によれば、ある大学の生物学教室の壁に、上の英語と並べて、
Vinegar flies like bananas.

という言葉が掲げてあったそうである。 Vinegarは「酢」であるから、直訳すれば、「酢はバナナのように飛ぶ」ということになるが、 どう解釈すればよいであろうか?  この教室では酢酸を大変多く使うということであろうか? 
 ヒントは、この教室では遺伝の研究のために、ある動物を飼っていたということである。 モルモットではなく、ハツカネズミでもなく――そう、ショウジョウバエのことを Vinegar fly というのだそうである。 すると、最初の方は、「トキバエは矢がお好き」となる??

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