催眠の基礎


これを皮切りに催眠について、紹介していきます。



 催眠療法と聞くと、催眠術という言葉を思いだし、テレビでやっている催眠ショウと混同する人が多い。
 同じ術という言葉がついていても、手術と言うと医学として受け取られるが、催眠術と言うと、人の心を翻弄するまやかしと受け取る人もいる。
 ところが、ミルトン・エリクソンの功績により催眠は、1959年に治療法として米国の医学協会に認められている。
 人々の認識が、未だ追いついていないため誤解しているだけなのである。


 催眠状態に入ると、自分の意識が全くなくなってしまうと勘違いしている人が多い。
 また、催眠状態では、自分の意識をコントロールされ、いやな事をさせられたり、しゃべらされたりすると思っている。
 実際には、催眠療法士に注意を向けていなければ、催眠状態に入る事はできない。

 催眠療法では、催眠状態で患者との会話をする必要があるので不必要に深い催眠はかけない。
 催眠状態に入っても意識がはっきりしているので、最初は催眠状態に入っている事を信じられない人も多いくらいで、嫌なことは拒否できる。


 また、かけた催眠が解けなくなると、後遺症になると誤解している人もいる。
 催眠療法では、暗示文は、患者との話し合いで作るため極端な文章はつくれない。
 また、変な暗示をかけられていると思えば、そこで、療法士に止めさせることもできる。

 療法士が、きちんとした催眠療法のセミナーを受けていれば、問題は発生することはないし、万が一の事故にも対応することができる。 

 催眠療法は、潜在意識との情報交換をするのに非常に有効な手段である。



[1]催眠療法の概要



 ヒプノセラピー(催眠療法)は、治療の最先端。

催眠(ヒプノシス)とは



1、催眠は眠りではない


 催眠は覚醒状態に近い。しかし、誘導時には、リラックスのために眠くなると言っている。
 催眠には、リラックスさせない誘導法もある。
 パニック状態も催眠状態に近い。
 セラピストとして催眠をかけるときには、リラックスさせる。
 催眠は、半覚醒の状態である。

 催眠は、日常的に起きている。 
 例えば、ベッドに入った時、完全に眠る前には催眠状態を通っている。
 目覚めるときも催眠状態を通過している。
 電車に乗っての居眠り時の白昼夢状態で、どこの駅か分かる時も催眠状態である。
 テレビに熱中しているときも催眠状態である。

 分かりやすく言うと、通常の意識と違うときが催眠状態である。
 注意を集中しているときや、瞑想時も催眠状態である。
 変性意識状態を使うヒーリングも催眠である。

 催眠は術という言葉を使っているので誤解されやすい。
 催眠状態は、自分の本質に近づいた状態である。

2 催眠は、マインドコントロールではない。


 催眠にかかっている人に、その人が普段やりたがらないことをさせる事はできない。
 但し、お酒を飲んでほろ酔い状態の時のように抑制ははずれている。
 催眠にかかっても自由意識は失っていない。
 催眠は潜在意識に働きかける。

 クライアントは、セラピストを頼ってきているので、セラピストは自分を律する必要がある。
 我々のする事すべてが、カルマの法則により自分に返ってくる。

3 催眠はマジックではない。


 催眠は本質に近づく働きかけなので、びっくりすることが起こる場合がある。
 透視等の力は、我々に本来備わっている力である。ただ殆どの人は、表面意識ができないと信じているだけ。
 催眠にかかった状態は、人により異なる。

 

催眠の歴史


 @Mesmer(メスマー)(仏)  動物磁気説
 ABraid(ブレイド)(英) ヒプノスから命名 変性意識状態の研究
 BEsdale(エズディル) 催眠と磁気を麻酔に応用手術による死亡率を5%にした。
  治癒力向上の暗示を受け入れ易くした。
  手術の時は痛いのが当たり前という当時の常識を覆した。
  3年後にはエーテル麻酔が始まった、このため、催眠があまり使われなくなっていった。。
 CCoue(エミール・クーエ)(仏) 自己暗示等の暗示の研究
   催眠中には暗示の力が高まる事を見出した。

  AMA(米国医師会)が催眠を受け入れた年
  1958年  麻酔として
  1959年  治療法として

催眠のレベル


1、Light
 軽くリラックスした状態。
 瞼がピクピクし、体がだるくなる。
 浅いので、催眠とは思わない。しかし、セラピストが与える暗示には従う。
 更に深く入っていくときには、つばを飲み込む現象が起こる。
 寒がったり暑がったりする。

2、Midium (Catalepsy)
 重たく、だるい感じ。腕が重たくなり持ち上げられなくなる。

3、Deep  (Sonanbolic)
 体が軽くなる。幽体離脱した感じ。
 退行催眠は、深いレベルでなくてもできる。
 催眠は深ければよいと思っている人は多いが、クラズナ博士によると、トランスや深さは関係なく、指示の言葉が人を変えるという。
 つまり、深く入ることより暗示の方が重要である。
 我々は気がつかないうちに自分との対話をしている。
 例えば、自分で考えることがそのひとつ。そのときに暗示が自分に大きく影響する。
 よって、普段から否定的な言葉でなく、肯定的な言葉を使おう。
 子どもにダメな奴というと、そう思ってしまう。

4、Lethergic
 体が重い感じ。 あまりに深いので口がきけなくなる。

5、Esdail Coma
 麻酔にかかったような状態。
 麻酔薬を使わなくても手術ができる。
 アレルギーや宗教的な理由により、麻酔薬が使えない場合に有効である。



現象の説明

 Hypnotic Phenomena (催眠における現象)
 
 1,light 時に発生する。

 Eyelids Flatter (瞼がピクピクする)
 Eyelids Catalepsy (瞼が硬直する)
  Light Hypnotic Maskといって、 表情で催眠状態が分かる。顔色が青白くなり、涙がでたり、つばを飲み込んだり、瞼がぴくぴくしたり、睡眠時のように目が動いたりする。
そして、まぶたが重くなるので、開けられなくなる。すると、催眠に入ったようだと自覚できるので、より深い催眠に入れる。

 2, Medium  時に発生する。

 Medium Lim Catalepsy (腕の硬直)
 腕が重たくなったり、椅子を二つおいて人を横たえられるようになる。但し、これは催眠でなくても人間の自己防衛反応として生じる。
 腕や足を硬直させる事で、両方の腕や足の長さが違う人の治療ができる。
 
 Glove Anaesthesia (手袋状態の麻酔)
 麻酔は、手から始めて体全体に広げる事ができる。皮膚の感覚を無くさせる事もできる。
 部分的記憶喪失は、ある数や名前を忘れさせる事。
 潜在意識の記憶は永久に無くす事はできないが、一時的に忘れさせたり和らげたりする事ができる。

 Personality Change (人格変化)
 人格変化は、人がガチョウや犬の様に鳴くようにできる。これは、人前でのあがりや内気の克服や人格の中の自分に変化を出せる。

 Post Hipnotic Suggestion(後催眠暗示)
 後催眠暗示は、催眠状態からでてもその効果が続く状態。
 先生になって話す事もできる。
   潜在意識には情報は入っているが、自信がないので表現できない。
   ところが、催眠状態では、きちんと出す事ができるので、正確に表現できる。

  Positive Hallucinations (VAK)(無いものが有るという幻覚)
   V; visual A; audio K; kinesthetic(運動感覚)
  五感をすべて導入したイメージができる。例えば、花が無いのに花の匂いがしてくる、水がお酒の味がする等。

 3, Deep  時に発生する。

 Negative Hallucinations (有るものが無いという幻覚)
 有るものを無く感じさせるのは更に深い催眠となる。臨床的には何かの味や臭いに嫌悪感を持っているのを取り除く事ができる。

 Hypermnesia (退行催眠などの記憶の拡大化) 
  記憶の拡大化は、記憶が膨らんで大きくなる事。だから過去の事が思い出せる。
  そこで、記憶の拡大化を使って、なくした物を見つけだす事ができる。



[2]ステージ催眠


 催眠をステージショウで使ったため催眠を悪く考える人が出た。
 最初に行う事は、催眠にかかり易い人を見つける事。後倒暗示や前倒暗示のかかり易さから見つけだすとよい。
 催眠は、参加者が楽しもう、積極的に参加しようと言う意識か高いほどかかりやすい。また、切実な問題意識を持った人もかかりやすい。
 参加者の回りを、時計回りに回りながら催眠をかけると、かけやすくなる。

 暗示は、ピラミッドのように築き上げる。覚醒しているときに、指示を与えてから動かすと、相手は催眠にかかり易くなる。
Rapport(ラポール)は、催眠誘導には不可欠である。

[3]退行催眠


 子供は6才までに性格の土台ができる。また、最初の1年の間にできるという説もある。
 生まれる前や生まれる瞬間の体験がどのように影響しているかを探れる。子供の頃の体験が人格に作用している。
子供は自分の行動にまわりがどのように反応しているかで学ぶ。大人がにっこりするか、顔をしかめるかで判断する。
世界が自分のまわりで回っていると思っていて、自分の体験する全てが大脳皮質に蓄えられる。
そこに入っている情報が行動に読み変えられる。

 反復パターンで行動が決まる。パブロフの犬を使った研究があった。条件反射でこれが行動心理学の始まり。
心理学の見地は行動心理学。催眠療法は条件反射のプログラムを変えていく。心理学の中で、ヒプノポテンシャルがそれにあたる。

 我々には癖があるが、ヒプノセラピーによって、それを変えていける。例えば、お腹が空いていなくてもご飯を食べる。何かが食べることを知らせる。何かのストレスに反応するときも、ベルが鳴る。タバコも同じ。

 昔の音楽を聴くと突然悲しくなったり、楽しくなったりする。具体的に、何があったかは思い出せないが、どこかでベルを鳴らしている。何らかの恐怖症とにおいての関係もある。




次は自己催眠についてです。






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