『スポーツ生理学』 | 森谷敏夫・根本 勇編,朝倉書店 |
『パワーアップの科学―人体エンジンのパワーと効率』 | 金子公宥著,朝倉書店 |
『生化学・生理学からみた骨格筋に対するトレーニング効果』 | 山田 茂・福永 哲夫編著,(有)ナップ |
『究極のトレーニング 最新スポーツ生理学と効率的カラダづくり』 | 石井直方著,講談社 |
『より強くなるためのトレーニング、生理学』 | 石井直方著,月刊ボディビルディング連載中 |
『ストレングストレーニング&コンディショニング ― NSCA決定版 』 | Thomas R.Baechle Roger W.Earle 石井 直方 長谷川 裕 岡田 純一,(有)ブックハウスHD |
『ストレングストレーニング&コンディショニング ― NSCA決定版 (第3版) 』 | Thomas R.Baechle (著), Roger W.Earle (著), 金久博昭 (監修), 岡田純一 (監修),(有)ブックハウスHD |
『ストレングストレーニング&コンディショニング[第4版]』 | G. Gregory Haff (編集), N. Travis Triplett (編集),篠田邦彦 (監修), 岡田純一 (監修),(有)ブックハウスHD |
『Sportsmedicine Quarterly 1998 No.22(筋力トレーニング特集)』 | (有)ブックハウスHD |
『レジスタンス・トレーニング―その生理学と機能解剖学からトレーニング処方まで (スポーツ医科学基礎講座 (2))』 | 石井 直方著、(有)ブックハウスHD |
『トレーニングジャーナル 2000年9月号〜』 | 連載記事「無酸素性トレーニング」 荻田 太(鹿屋体育大学) |
番号 | お題目 |
---|---|
1 | ディトレーニング(トレーニングを中止すること)の生理学 |
2 | 骨格筋肥大のスポーツ生理学 |
3 | スポーツの神経生理学 |
4 | 骨格筋の構造と働き |
5 | トレーニングによるパワーの発達 |
6 | オーバートレーニング |
7 | 筋肉つくりと固有筋力つくり |
8 | パワートレーニングと有酸素運動 |
9 | トレーニングとタンパク質・アミノ酸 |
10 | スポーツ競技における筋力トレーニングとパフォーマンス向上 |
11 | 筋肉痛の生理学 |
12 | 無酸素性トレーニング |
種類 | 主な筋肉 | 特徴 |
---|---|---|
紡錘状筋 | 上腕二頭筋、大腿二頭筋、大胸筋 | ・筋繊維が筋肉の長軸方向に走っている。 ・筋肥大すると目立つため、トレーニング効果が目に見えやすい。 ・筋繊維が短縮した分だけストレートに腱の運動に反映されるため、素早く大きな運動に向いている。 ・トレーニング時には、可動範囲を大きくとるようにすると効果的。 |
羽状筋 | 上腕三頭筋、大腿四頭筋 | ・筋繊維が羽の片側のように腱に配列されている。 ・筋肥大しても目立たず、見かけ上細い筋肉でも大きな力を出すことが起こりうる。 ・腱にたくさんの筋繊維を配置できるため大きな力を発揮できる。 ・筋繊維が短縮した分より、腱の運動距離は小さくなるため、スピードや可動範囲は紡錘状筋にはおよばない。 ・トレーニング時には、可動範囲よりもできるだけ高重量を扱うことに重点をおいた方が効果的。 |
項目 | (a) | (b) | (c) |
---|---|---|---|
運動単位の種類 | FF (Fast Fatiguable) | FR (Fast fatigue-Resistant) | S (Slow fatigue-resistant) |
筋繊維の種類 | FG (Fast twitch,Glycolytic) (typeUb) | FOG (Fast twitch,Oxidative,Glycolytic) (typeUa) | SO (Slow twitch,Oxidative) (typeT) |
速筋(FT,白筋) | 遅筋(ST,赤筋) | ||
エネルギー代謝 | 解糖 | 解糖+酸化 | 酸化 |
収縮力 | 強い | やや強い | 弱い |
持久力 | なし | ややある | ある |
動員順序 | B | A | @ |
神経繊維の太さ | 太い | 中程度 | 細い |
筋肉 ⇒ | 筋周膜(筋肉を包む膜) | ||
筋繊維 ⇒ | 筋鞘(筋繊維を包む膜) | ||
筋形質(エネルギー工場,ミトコンドリアを含む) | |||
筋原繊維(収縮を起こす) ⇒ | アクチンフィラメント | ||
ミオシンフィラメント |
アクチンフィラメント : | 直径60〜80オングストローム,長さ約1.1μm | |
ミオシンフィラメント : | 直径100〜150オングストローム,長さ約1.5〜1.6μm | |
Z膜 : | アクチンフィラメントがくっついている隔壁 | |
筋節(サルコメア) : | Z膜から隣のZ膜までの1区画 |
筋収縮のきっかけ : | 神経衝撃(インパルス,電気的刺激と同じもの) |
伝達経路 : | 脳 ⇒(脊髄)⇒(運動神経)⇒ 筋肉 |
筋肉の反応 : | 筋原繊維周辺にある袋(筋小胞体)に入っているカルシウムイオンを放出し、これがきっかけでエネルギー反応(ATP分解)が起こり,筋肉が収縮する |
筋収縮のメカニズム: | アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間に滑り込むために起こる |
@激しい運動(短距離走など) |
・CP(クレアチン燐酸)の分解による(乳酸が発生しない) ・エネルギー供給速度 13kcal/kg/秒(成人男子) ・無酸素的過程 ・持続時間8秒程度 |
A中程度の運動(中距離走など) |
・グリコーゲンの無酸素的解糖による(乳酸が発生する) ・エネルギー供給速度 7kcal/kg/秒(成人男子) ・無酸素的過程 ・持続時間30秒程度,乳酸を生じる |
B軽度の運動(長距離走など) |
・グリコーゲン、脂肪の酸化による ・エネルギー供給速度 3.6kcal/kg/秒(成人男子) ・有酸素的過程 ・枯渇することは通常の運動ではない |
・無酸素的エネルギー供給時間は@+Aで40秒程度が理論的限界である。 ・運動が終了すると有酸素的過程によりATPとCPの回復,乳酸の除去が行われる。 |
|
俗説として良く言われるのが,『筋肉をたくさんつけるとスピードが落ちる』というものです。この説は1922年にイギリスのノーベル賞生理学者ヒルが発表した『粘性理論』にもとづくものです。『粘性理論』とは、筋収縮スピードがある一定以上にならないのは筋肉に粘性があるからだ、としたものです。しかし、この説は弟子のフェンが,『筋肉が活動するときの粘性抵抗は無視しうる程小さい』ことを証明し,ヒル自身もそれを認めて粘性理論を撤回しています。その後の実験でも、筋肉をつけてもスピードが低下しないことは証明されています。したがって、スピードが落ちることを心配して,ウェイトトレーニングを避ける必要は全くありません。
筋力トレーニングによるスピード低下が引き起こされることが起こりうるのは,『全身運動のスピード』です。全身運動では,全身の多数筋群の協調的な働きが必要になるからです。筋力トレーニングと全身運動のスピードを考えるには,オーバーロードの原則と,特異性の原則を理解する必要があります。
筋力アップをはかるため,オーバーロードの原則に従って負荷を強くしてトレーニングを行うと,実際の競技においては体重程度の負荷しか使わないことから,実際の競技と異なるトレーニングをすることになり、特異性の原則から離れて行くことになります。したがって、筋力トレーニングのみ頑張っても,競技における能力は向上できないのです。
これまでの研究により,
@ 筋力トレーニングのみ
A 競技トレーニングのみ
B 筋力トレーニング+競技トレーニング
で比較すると,Bが最も成績を向上できることがわかっています。
したがって、筋力トレーニングによって身体のエンジンを強化するとともに、このエンジンを使いこなせるような全身トレーニングを併用することが、競技成績向上に有効なのです。
筋力を大きく増やすことによって、前にパワーが出なかった荷重のところで大きなパワーが出せるようになります。筋力は自動車でいうとエンジンであり、まずこの排気量を増やすこと、すなわち筋力アップすることが重要です。筋力アップするためのトレーニング方法は、このホームページで解説してあるとおりです。ここで、考慮すべき点は体重と筋力の関係です。せっかく筋力がついても体重が増えてしまうと、体を動かす加速度は同じになってしまいます(加速度=力/質量)。
体重の増加は、持久力の増加も同時に必要とします。競技の特性によって、筋力アップを重視すべきかどうかを考える必要があります。
中枢性疲労 | 神経駆動の減弱、運動意識実行力の減弱による。 |
末梢性疲労 | 筋張力発生の減弱(筋内のエネルギー減少、老廃物蓄積など)による。 |
項目 | 交感神経性 | 副交感神経性 |
---|---|---|
競技 | 質の高いトレーニング、パワー系種目 | 量の多いトレーニング、持久系種目 |
疲労 | 少し疲労しやすい | 異常に疲労しやすい |
興奮 | 興奮性 | 抑制的 |
睡眠 | 不眠性 | − |
食欲 | 減退 | − |
体重 | 減少 | − |
体温 | わずかに上昇 | − |
循環器系 | 安静時心拍数増加、動悸、心臓の圧迫・さしこみ | − |
血圧 | − | 負荷時または負荷後に心臓拡張期血圧上昇(100mmHg以上) |
回復 | 比較的早い | 時間がかかる(長い場合は数ヶ月) |
軽症 | 日常生活には支障無し。強度の高いトレーニング時にきつくなる。競技成績はあまり低下しない。 |
中等症 | 日常生活でも疲れを感じる。軽度のトレーニングでもきつくなる。競技成績は明らかに低下してゆく。 |
重症 | 日常生活での症状がひどくなり(睡眠障害をともなうこともある)、ほとんどトレーニングできなくなる。 |
最大筋力(1RM)に対する割合 | 最高反復回数 | 期待できる効果 |
---|---|---|
100 | 1 | 集中力(神経系) |
90 | 3〜4 | |
80 | 8〜10 | 筋肥大、筋力 |
70 | 12〜15 | |
60 | 15〜20 | 筋持久力(最大敏速に行えばパワートレーニング) |
50 | 20〜30 |
タンパク質の分解とは、ずなわち筋肉が分解されること(カタボリズム)であり、できる限り少なく抑え込む必要があります。したがって、トレーニング時間は1時間以内を1つの目安にするべきと考えられます。
筋肉の分解を防ぐためには、トレーニング前に十分な炭水化物を摂取すべきです。減量中の筋量を維持することが難しい理由の1つが、炭水化物の摂取量が少ないことなのかもしれませんね。
摂取した炭水化物が不足すると、筋肉が分解されてしまいますが、これを防ぐ手段として分岐鎖アミノ酸(BCAA)の摂取が有効であることがわかります。減量中など、十分な炭水化物が摂取できないときには、BCAAの利用が有効と考えられます。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、筋肉の分解を防ぐだけでなく、筋肥大にも有効であることがわかります。BCAAを含むタンパク質(肉、魚、豆などに広く含まれていますが、ホエイプロテインが最も含有率が高いようです)を十分に摂取した方が良いようです。
タンパク質の摂取量は多い方が望ましいようですが、カルシウムの必要量も増すことに注意する必要があります。プロテインを摂取する場合、カルシウムを多く含むものが良いと思われます。また、カリウムの必要量も増すので、野菜や果物も一般の人よりも多く摂取すべきと考えられます。
年代 | 筋力トレーニングへの取り組み方 |
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1960年代 |
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1970年代 |
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1980年代〜 |
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種類 | 内容 |
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運動中に生じる筋肉痛、筋痙攣 | 筋収縮に伴い血流減少が生じ、筋肉が虚血状態となり、筋から遊離するカリウムイオンなどが痛みの受容器を刺激することによって起こる。 |
遅発性筋肉痛 | 運動後数時間〜数日経ってから生じる筋肉痛。エキセントリックな筋活動によって筋や結合組織の損傷が引き起こす炎症によって起こる。 |