『間瀬平一郎』伝記 源田サーカス

Last Update 1999/08/12(1997/11/03)

2.立  志

太陽


 大正7年4月1日、15年間住み慣れた我が家を後に出発した。汽笛一声、駅員一人 母一人の静かな黎明の大府駅プラットホーム、手拭を涙と共に振る母の姿に無限の 愛着を感じつつ「きっと成功して来ます。」と心で叫びながら・・・。

 大阪から商船に乗組み、瀬戸内海から下関海峡、馬関海峡、玄界灘へと出るや 無情の風は益々吹き荒れて船は愈々翻弄される。大連までの4日間米一粒だに口に せず。

 浮ぶ母の姿に引き止められて懸命の努力を続けている間に船は欧州へ欧州へと。 炎熱身を焼くインド洋に、怒涛逆巻く地中海に、大西洋に、或いは酷寒身を切る 暴風雨とも闘った。欧州の天地に三ヶ年は夢と過ぎた。








間瀬平一郎伝記

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