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<南米旅行の感想>

南米感想

1.動機

・南米は一度は行きたいと思っていた処であり,又インカ文明にも興味があった。

空中都市マチュピチュは写真では見たが,実際にはどうなっているのかをこの目

で確認したい。ナスカの地上絵はどんな環境で描かれているのか?何故こんな

事をしたのか?インカ文明は何処に消えたか?その発祥は何処か?等の疑問を

解決するには行ってこの目で見る事が不可欠であると云う心境から行く気になった。

2.日程:

1)平成11.1.25−平成11.2.−7の14日間

3.旅行行程

・成田(DL56便)−アトランタ(米国)(泊)−リマ(DL161便)(泊)

・リマ(N61149便)アエロコンテイネンテ航空―クスコーオリアンタイタンボー

ユカイ(泊)―マチュピチュ(高原列車)(泊)―クスコ(泊)

・クスコ遺跡見学(サクサイワマン遺跡,ケンコー遺跡,プカプカラ遺跡)(泊)

・クスコ(N6145便)ーアレキーバ経由フリアカ(N61171便)ープーノ(泊)

・プーノーコパカバーナ(ボリビア)−ラパス(泊)

・ラパス遺跡見学(ティワナコ遺跡)―市内観光(泊)

・ ラパスーパラカス(泊)パジェスタ島見学―ナスカ(セスナ機で地上絵を見る)

−リマ(泊)

・ リマ(DL274便)―アトランタ(米国)(泊)

・ アトランタ(DL55便)−成田

4.旅行メモ:

1) アトランタ:凄く寒かった。飛行機の中で見た地方紙には寒波到来のニュース

が載っていた。入国審査は相変わらず厳しい。直径1cmのズボンの

金属ボタンが引っ掛かる。

2) リマ:ペルーの人口24百万人,内800万人がリマに集中している。

通貨:ソル(1ドル=3.4ソル 1ソル=約30円)

気温:平均気温 24度(蒸暑い)

3) クスコ:インカ帝国の首都。高度3,400m。1532年ピサロが来る

迄は黄金の神殿が立並ぶ絢爛豪華な街であったと思われる。

実際サクサイワマン等の遺跡が多い。(しかし基礎だけしか残っていない)

4) オリアンタイタンボ:ここはインカ軍が立てこもった要塞跡。段々畑風の

要塞。ピサロ率いる300名のスペイン軍が攻撃したのでインカ軍は

敗走した。(最後はビルカバンバに逃げ込んだ。ここで全滅した。)

5) マチュピチュ:空中都市と云われている所。ペルー観光地の目玉商品である。

細い渓谷を下って行き,更に山の急斜面を登ると急にマチュピチュが

見える。写真でよく見るのは復元したもの。実際には風化して根元位

しか立っていない。本当の姿は判らない。急にここを放棄して去って

行ったらしい。(スペイン軍が来ると云う情報で退去したらしい)

6) プーノ:インカ軍の保養地だったらしい。チチカカ湖畔のよい街。大学もある

文化都市。

7) コパカバーナ:チチカカ湖観光船の発着場所。結構な賑わいのある街。

8) ラパス:ボリビア最大の都市。首都はラパスより南に飛行機で約1時間の処に

あるスークレである。テイワナコ遺跡等遺跡が多い。

9) パラカス:リマから南に下ったリゾート地。又ナスカにも近いので地上絵を

セスナ機でみるための基地でもある。

5.通貨

・ペルー:ソル(1ドル=3.4ソル 1ソル=約30円)

・ボリビア:ボリビアーノ(1ドル=6ボリビアーノ,1ボリビアーノ=約15円)

(両国ともドルを欲しがる。ドルは充分両国内で通用する。ドルは自国通貨より

信用されている)

6.ペルーの国情

1)フジモリ大統領になってからテロは激減した。日本大使公邸人質事件はテロ

組織の最後のあがきであった由。

2)フジモリ大統領の政治方針は中産階級によく浸透している。

@テロの撲滅(徹底的にテロ組織を破壊した。)

A学校の設立(将来のために子供の教育に全力を注ぐ。各地に出来ていた)

B農業の推進(道路整備と砂漠の緑地化を推進)

こんなに明確に国民に方針を提示出来るフジモリ氏に敬意を表する。しかし

反対派も多いとのこと。金持ち階級には不評。高収入に高課税した。又官僚

との癒着を徹底的に排除。支持するのは中産階級だが,まだ育っていない。

下層階級は政治に関心がない。その日の生活だけが頼り。

3)治安は意外によい。リマ市内は昼間歩いても恐くない。クスコでは日本語

の判る警察官がいた。観光地は特に治安に気を配っていることが判った。

4)貧富の差が大きい。観光地での物売りがそれを端的に表している。一方リマ

には高級住宅地があって豪邸もある。

7.ボリビアの国情

1)何もない国と云う印象。唯一観光だけが資源であるが,これも整備されて

いない。すべてが貧しいと云う印象であった。

2)その代わり入国は大変厳しい。手荷物は全部開けて中をよくチェックする。

今時中を開けて絵葉書まで調べるという国はない。

3)電力事情は悪い。ラパス市内でも昼休み時間は停電している。市内の道路

信号機もすべて停電。レストランはろうそくを付けて営業している。

トイレは真っ暗!しかし市内には兵士が出て交通整理をしている。

水力発電が主のようで,年中水不足らしい。停電は年中行事とのこと。

4)しかし国軍がしっかり大都市を防衛しており,ラパスも街の中に軍服を着た

兵士が多数おり,交通整理や治安維持に動員されている。従って街の治安は

大変よい。

8.雑感:

1)ペルーの売物は「観光」である。マチュピチュを含めインカ文明を観光の目玉

として観光客を勧誘している。従ってホテルも整備されており,欧州並みとも

云えるホテルがある。ペルーは僅かな平地とアンデス山脈に囲まれた高地及び

海岸地帯にある砂漠からなっている。意外だったのは砂漠が多い事であった。

しかし気候は海岸地帯は温暖で野生バナナも実っており飢死することはない

と云う感じがする。これが最大の利点でもあり,欠点でもある。又高地も土地は

肥えており,農作物はよく育つ。(トウモロコシ,ジャガイモが主)

従って何もしなくても餓えなくて済む風土と理解した。これが貧しさから脱出

出来ない理由でもあろう。ボリビアもほぼ事情は同じ。いやもう少しシビヤー

ではあるが,自給自足生活が出来る強みがある。

2)インカ文明は,スペイン人(ピサロ)が1532年に乗込んで来てからインカ

帝国の内紛を突かれ,全滅の憂目に遇う。ピサロ自身は字も読めない文盲で

来たのはこのような「ならず者」ばかりであった由。すべてを破壊して金の

延棒にして持ち帰ってしまったので,インカの遺跡には何もない。どんな

構造物であったかも推測出来ない位徹底的に破壊した。又その石は自分の住宅

用や教会設立に使ったので残骸も残っていない。マチュピチュは幸いスペイン

人の破壊から免れたようであるが,これは自然が破壊した。

ナスカの地上絵も最近になってやっと「観光資源」であると云う認識が出て

来て保存に努めている状況である。この絵の真ん中をパンアメリカンハイウエイ

が走っており,絵を壊してしまった。まだそんな状況である。

このナスカの地上絵はセスナ機でよく見たが,全体から考えるとどうもUFO

の宇宙基地のような感じがしてきた。絵だけではなく直線が無数に入っている。

それが誘導路のようになっている。絵は主に多分格納庫があったと思われる

処に集中して描いてある。多分誘導路の模様だったのではないかと思う。

3)インカ文明は長期に渡って隔離された文明であったため,刺激が少なくピサロ

が乗込んで来た時には,インカの武器は石斧と石投器がある程度だったので,

ピサロの鉄砲と大砲にはまったく敵わなかった。(偶然日本は大陸との接触が

あり,同じ時代は織田信長の時代であるが,既に鉄砲を持っていた)

インカ軍2万人の砦をピサロ軍300人で滅ぼしたらしい。

4)ピサロはインカの神殿等をすべて破壊してそこの偶像に使われていた莫大な金を

すべて溶かして金の延棒としてスペインに持ち帰った。一説には数千トンと

云われている。(数万トンという説もある)今出土するインカのものは殆どが

土器である。金製品はまったくない。

5)ここの先住民族は明らかに「モンゴリアン」である。顔を見てもよく判る。

ベーリング海峡を超え,アメリカ大陸を縦断して南米に入って来たものと思わ

れる。性格はおとなしい民族。勤勉でよく働く。しかし言語は種族毎に異なる。

(アイマラ語が一番多い)

6)先住民族は大変貧しい生活をしている。観光地にいる先住民族はと殆どが土産品

を売って生活している。しかしこれでもやっと生活出来る位しか収入はない由。

子供は多い。皆ゴム草履を履いている。生まれてから一度も風呂に入った事が

ないと云う子供が殆ど。垢と泥がこびり付いた身体と手足をしている。

観光バスが着くと皆そばに寄って来て手を出す。女性は土産品を売るべく,通路

に出て来て手を広げて物を売る。通れないので物売りを掻き分けて進む。

又子供も掻き分けて進む。どうしたら買って貰えるかを理解せず何しろ押寄せて

来る。観光客数より圧倒的に売り子の方が多いので売るのに必死であった。

子供は奇麗に洗ったらさぞかし可愛いであろうと云うのが多い。可哀相になり

金を与えたくなるが教育上よくないと思うので与えずじっと我慢した。

7)観光地が殆ど4,000m地帯であったので,最初は息が切れたが最後は馴化

して何ともなくなった。但し昼にビールを飲んですぐ300段の階段を登ると

目眩がする程呼吸困難になる事も判った。

8)今回の南米旅行は色々考えさせられる旅行であった。

 

以上

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