・第3日め(3/15)の夜 その2・


このホテルを選んだ理由の一つに、「サヤーム・スクエア」まで徒歩5分位、というのがあった。「サヤーム・スクエア」自体がどーゆーものか全然知らなかったんだけど、いろいろ読んでみると、バンコクで一番”ナウい”場所らしいのだ。なにはともあれまずはそこをオサえておこうかね、とその方面に歩いて行ってみることにした。ホテルの前は4車線の広い道路で、車がガンガン通っている。もちろん歩道はあるんで、そこを歩くことにしたんだけど、時間が遅いせいか他に人影は見当たらない。街灯もほとんどない。おまけに頭上には「スカイ・ウェイ」が走っているのでなんとなく薄暗いっちゅーか、ミョーな雰囲気。そこらの建物の角からいきなりナイフを持ったやつらが出てきてもおかしくない感じだった。「ひょっとして、オレかなり危ないことしている?」歩きながらそんな気がしてきた。まさにその時、向こうから5、6人のタイ人の若者達が歩いて来たのだった。「やべぇぞ。これは・・・・」

ホントにヤバそうなやつらだったら逃げるしかねーな、と身構えつつも平静を装って歩いていくと、ちょうどヤツラが街灯の下を通ってツラがまえが見えた。「・・・・子供じゃん」。びっくりっつーか安心したっつーか、中学〜高校生くらいだったのだ。それも全然危なそうな雰囲気じゃなくって、ワイワイはしゃぎながらって感じ。全く普通にそのまんますれ違って行った。なーんだ。この辺はあんな普通な子供たちがうろうろしても大丈夫なんじゃん。キンチョーして損したぜ。ったく。そのまま歩いていたら、今度は子供連れの白人ファミリーとがワキアイアイと歩いてきたりして、全く危険じゃないことが判明。なんか力抜けちゃったね。ま、よかったんだけどさ。

途中で小さな川と橋があって、そのタモトに屋台っちゅーかオープンエアな飲み屋があった。地元の方々が思い思いに飲んでいる。イー感じだな、ココ。このままここで飲みたい気もしたが、まずは目的地までいかなきゃな。腹へったし。ホテルから10分しないうちに、チョー巨大なビルにはさまれた交差点が登場。どーやらここらがサヤーム・スクエアかな?頭上にはスカイ・ウェイの駅があり、交差点を渡るにはそこを通った方がよさそうだったので、なんでエスカレータがねぇかなーとぼやきつつ、階段を上る。途中で何人かタイ人とすれちがうが、みんな小奇麗でセンスがいい。カップルとかはすげぇおしゃれな格好をしてる。たぶんこの辺は日本なら麻布とか六本木みたいなとこなんだろーな、と勝手に想像しつつ階段を登り切って高い所から周囲を見回す。改めてビルのでかさにびっくり。なんなんだろこれ。でもさ、どーする?ホントに六本木みてーなとこだったら、安いメシ屋とかねぇんじゃねーの?オイラ多少汚くてもいいから、安くてウマイとこがいーんだけどさ・・・・。

交差点を渡って気のむくままにウロウロしてみる。なんとなく明かりが華やかな通りとかを歩いてみるが、ジュエリー・ショップとかブティックばっかり。それもほとんど閉まっていて、レストランが見つからない。困った。おまけに蒸し暑くて汗がダラダラ出てきた。Tシャツの上にシャツ着てきたのが失敗だったなー。すれ違う現地の人達はみんな風通しがよさそーなシャツ1枚だもん。バンコクじゃあそーゆー格好が定番なのね。明日から気をつけよっと。と、ひときわ華やかでにぎわっている一画があった。見ると、おお、ハードロック・カフェじゃねーか。壁からトゥクトゥク(3輪車のタクシー)が飛び出しているぞ。凝ってんなー。店の前まで行って、ちょっと中を覗いたらすげぇ混んでいる。表にあったメニューを見ると、一応メシも食えそーなんだけど、異常に高い。しかも日本でもどこでも食えそーなものばっかりだし。ちょっと迷ったんだけど、もう他を少し探してみることにした。うーん、でも腹へったなー。ビール飲みたいなー。

うろうろしてたらさっきの巨大なビルにもどってきてしまった。よく見ると1階にピザ・ハットがある。これでもいーかなー、と思うが、なんかピザって気分じゃねーよなー。向かいにセブン・イレブンがあったので、もう弁当でも買って帰って食うか、とゆー気になり入ってみるが、弁当が無ぇ。サンドイッチみたいなものはあるが、今オイラが望んでいるよーな「お弁当」って、タイのセブン・イレブンには無いのよね。ちっきしょー。こーなったら意地でもどっか見つけてやるぅー。そのままうろうろして、さっき見かけたんだけど、なんか薄暗くて敬遠していた一画に行ってみることにした。人影もなく、ちょっとヤバ系な雰囲気なんだけど、ホントに危険って感じはしなかったのでずんずん歩いていく。と、あった! レストラン! ガラス張りだったので中の様子を見ると、まさに日本で言う中華の定食屋って感じ。表にメニューがあり、値段も安い。やったぁぁぁ。これだよ、こーゆー店を求めていたんだー。やっと見つけたー。メニューを見ていたらウェイターらしき人が出てきて、「どうぞー」てな感じで迎えてくれたので、暑さと空腹でヘロヘロになりながら店に入った。Earthquakeという店だった。もう時間は21:40になっていた。

窓際の席に通されてメニューが出てきた。英語もちょっとあるが、ほとんどタイ語で書かれている。写真もナイし、よくわかんねぇなあ。そー言えば「タイ式ビーフン」ってまだ食べてないんだよなー。どれだろ。一生懸命探してみたがどーもわかんない。ウェイターに聞いてみたら、彼は全く英語がダメらしく、さっき案内してくれた人が出て来た。でもかろうじて分かるって感じで、うまく伝わらない。あー、もーいーや。「ヌードル」のへんのなんかうまそーなヤツをてきとーに頼んでみる。で、忘れちゃいけない、ビールだよビール。迷わずシンハーの大ビンを頼む。今すぐ飲みてぇー。ぐびーっと飲みてぇー。頼むぜ、早めにな。

願いが通じたか、すぐにビールが出てきた。うおー、待ってたぜ。グラスになみなみついで、一気に飲む。う・・・うめぇー。汗がひいてくる。あー、落ち着いたぁー。で、店をぐるっと見まわすと、店内に貼られているメニューは全部タイ語。テーブルの上にあるポップメニューもタイ語。全然読めない。プーケットではこーゆーのは無かったな、と思った。そーなのだ、あそこは国際的リゾート地だから英語でもなんとかなったが、ここはタイ本土、それもタイの首都。タイ語が当然だよな。英語が通じる方がむしろ珍しいと思わなければ。こんなとこで改めて言葉のカベを感じてしまった。

しばらくして、料理が出てきた。ありゃ?ヤキソバじゃん。どー見ても普通のヤキソバ。ビーフンじゃねーよなぁ。タイに来て初めて食べ物でハズしたか?ま、ともかく食べてみよっと。と一口食べてみたら・・・・うまいっ!めちゃくちゃうまいじゃん、コレ。ビールにもピッタリだぞ。またしても大当たり。(後で知ったが、「パッタイ」という結構メジャーな料理だった)ビールをグイグイ飲みつつ、むしゃむしゃ食べる。がっついてんなー、オレ。だってお腹すいてたんだもーん。と、あっという間にたいらげてビールも飲みきってしまい、大満足。なんかホント、タイで食べ物はずしてねーよな。っつーか、実はみんなうまいんじゃなかろーか。で、店内は禁煙だったので、一息ついてからすぐ出るため会計をした。チーン、120バーツ。ええー、めちゃくちゃ安いじゃんっ!約360円だぞ。あんだけの料理とビールの大ビンだぜ。すげぇトクした気分だった。店を出ると営業時間はどーやら22:00までだったらしい。ギリギリだったんだね。ラッキーだった。

さて、ホテルに帰るか。さっき来た道と違った所をぶらぶらしながら歩き、巨大交差点に出た。ここからは一本道だ。もう遅いし寄り道しないで帰ろうね、とやや早足でホテルに向かう。途中にバス停があり、けっこうヤングな方々がバスを待っていた。そろそろみんな帰る時間なんだな。プーケットと違ってこのあたりは比較的夜は早いらしい。やっぱ本土は違うんだな。つーか、これが普通なんだよな、きっと。しばらくしたら、来るときに誘惑された屋台の飲み屋まで戻ってきていた。地元の方々が楽しそうにしゃべりながらくつろいでいる。すげぇリラックスした感じ。うー、いーなー、この雰囲気。オープンだしなー。早足で歩いてきたせいでちょっとのども渇いてきたしなー。もうホテルもすぐだしなー。どーしよう、と一瞬考えたが気がついたらもう席についてやんの。オレ。

席でボーっとしてたら女性と目が合ったので、ちょっと合図をしたら注文をとりにきてくれた。「しんは〜」と言ったら、それは通じたのだが、そのあと彼女がなんか訪ねてきた。タイ語で。ええ?なに言っているかわっかんねーぞ。でもジェスチャーでなんとなく大きさを聞いているらしい、と分かったので「びっぐー」と思い切りアクションを交えて言ったらなんとか通じたらしい。いかん。もっとタイ語を勉強しないとまずいぞ。と、すぐによく冷えたシンハーの大ビンが出てきた。70バーツ。ちょっと高めだったが、この雰囲気と時間を考えればまあリーズナブルだろう。一人で通りを眺めつつ、ビールを飲む。地元の方々の雰囲気を壊しちゃイケナイと気をつかってちょっと離れたテーブルに座ったので、かえって一人でゆったりと楽しむことができた。うーん、イイねー、こーゆーの。気だるい夏の夜。異国の空気。なんか酔いが回ってきたぞ。

たまたま隣のテーブルを片づけにさっきの彼女が来たので、例のタイ語辞典を取り出し、なんかしゃべってみようかな、と声をかけてみた。最初はちょっとびっくりしていたが、いっしょけんめ単語やフレーズを探しつつ話していくと、彼女は笑顔で聞いてくれた。うれしかったなー。こーゆーなんでもないよーなところで、ごく普通の人と話すってこと、それがとってもうれしかった。忙しそうだったのでちょっとしたら彼女は行ってしまったが、向こうの方でバイト仲間や地元の客と「ねーねー、聞いて聞いて、あのジャパニーズがさー」なんて感じでしゃべっているのが見えた。ま、相当ヘンなやつだったんだろーな、オレ。ビールも飲み終え、帰る前にどーしても写真を撮っておきたくなったので、さっきの彼女が近くにきたときにカメラを取り出しほとんどジェスチャーで「写真とってー」と頼んでみた。すると彼女は「わかんないわよー」みたいなことを言いつつもうけてくれた。店の看板(タイ語で全然読めない)の前でポーズをとってパシャッ! バンコク初日にしていきなりこれだもんな。酔っぱらいって無敵。

店をあとにしていー気分で歩いていくと道端に犬が寝ていた。これがまた、まあ暑いからなんだろーけど、すげぇだらしない格好。全部の足をだーっと投げ出して脱力しまくっている。日本じゃ絶対見られないよーな緊張感のない寝姿なんで笑ってしまった。そうこうしてるうちにホテルに着いた。時間も遅いし、ここまで人通りもほとんどなかったけど、危険は全然無かった。治安は全く問題ないようだな。うん。なんか変な先入観を持っていたのが恥ずかしくなってきちゃったなー。

部屋に戻り、シャワーを浴びる。あーさっぱり。とりあえず今日は最後の飲み屋があったから面白かったなー。バンコクも面白いぞ。楽しいぞ。さて、ビールを飲みつつ、明日の予定を考えてみようかね。もともとタイ王宮を観光するつもりだったので、ガイドブックや「地球の歩き方」を見て自分なりにルートを考え、てきとーに予定を組んでみる。9:30頃に出発でいいかな。どーせ一人だし、どーにでもなるしな。ま、そんな感じでいいや。一応8:30頃に起きるつもりでモーニングコールを頼み、ベッドに入った。時間はもう0:30だった。さあ、明日からはバンコクをもっと楽しんでやるぞー。


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