モーニングコールでいったん目を覚ましたんだけど、そのままベッドの中でうだうだとしてしまい、ちゃんと起きた時はもう9:00だった。いきなり30分予定が狂ってしまった。あーあ、朝にヨワイんだよなー、オレ。ま、でも一人だからどーにでもなるしね。まずは朝メシを食べにいこうかね。Tシャツに短パンで1階に行き、指定のレストランへ。おいおい、なんかすげぇちゃんとしてねーか、ここ。オイラ髪の毛が若干ネグセ気味なんですけど。かっこわりぃー。
レストランの入り口でチケットを渡して、席に案内される。一人でテーブルについたけど、他は「楽しいファミリー旅行」みたいな白人家族とか、「われら同志」みたいな中国系の団体サンとかでけっこう混雑している。やっぱりブュッフェスタイルで好きなもの取り放題なんだけど、ここはその種類も量も豊富。すげぇ豪華。なんにしよう。迷っちゃうなー。でも結局ありがちなアメリカンな朝飯でまとめてみたりして、やっぱ食べ物に関してはまだ冒険できないっす。わりとのんびりメシ食べて部屋に戻り、今日のプラン(つってもたいしたもんじゃねーけど)を見直し、外出準備。今日行く所は王宮で神聖な場所もあるので、短パンやサンダルは不可。おとなしめのシャツにチノパン、スニーカといういでたちに着替え、いざ出発。もう10:20になっていた。
さて、どうやって行こうか?いろいろ方法はあるが、まずはタクシーをあたってみることにした。地図でだいたいの方角はわかっているけど、距離・時間がつかめない。なんつったって初めての都市、初めての国だから、いろんな面倒や不安を解消するのと引き換えにある程度の料金までなら出してもいいかな、と考えたのだ。レセプションでルームキーを預け、ベルボーイにタクシー乗り場を聞いてみる。「ワット・プラケオとワット・ポーに行きたいんだけど・・・」。すると「こちらへどうぞ」と、なんかすげえ丁寧に案内されてしまった。おいおい、こりゃーまずいぞ。ぜってー高いトコつれていかれるぞ。と、案内されたのはベンツのタクシー。やっぱなー。「運転手が観光ガイドもしますし、お好きな所へお好きなだけ行くことができますよ」おい、それってよーするに貸し切りじゃねーか。で、いくらだ?「当ホテルの専属なので格安です。半日でたったの800バーツですよ」・・・ハイ、ゴメンなさい。さよおなら。めちゃくちゃ高いです。無理です。問題外のソトです。丁寧にお断りしてその場を逃げるよーに去り、ホテルの周囲をあたってみる。するとちょっと離れた所にトゥクトゥク(3輪車のタクシー)が何台か客待ちをしていた。なんかガラが悪そうだし、あんま気乗りがしないけど、一応聞いてみると「300バーツ」だって。思いっ切りふっかけてんじゃねーか。この。おまけに「今はワットは閉まっているから、他のイイとこ連れていってやるぞ」とか言ってきやがった。なめんじゃねーぞ。そーゆーウソつくのが「手」だって、オイラ本で読んで知ってんだぞー。もうこうなったら市バスしかない。そのためにはまずバスのルートマップが必要だ。どうしよう。一旦ホテルに戻り、レセプションにルートマップがないか聞いてみたら、2階の本屋にある、と言うので早速行って購入。60バーツだった。ちょっと高かったけど、背に腹は代えられねぇよな。ロビーでタバコを吸いつつバスのルートを調べてみる。うーむ。よくわかんねーな。ま、あそこらへんの道路にいけばなんとかなりそーだ、くらいは分かったので、地図を片手に改めてホテルを出発。まずは歩いてPetchburi.Rdに出ることにした。外はもうすげぇ暑くなっていた。
通りに出てちょっと歩いた所にバス停らしきものがあった。何人かがバスを待っている。たぶんここだよなー。でもあってるんかなー。心配になり、たまたまそこにいた警官らしき人に聞いてみることにした。でも良く見たらこのヒト、顔に刃物のキズがあってサングラスしていてちょっと恐いぞ。「すみませーん・・・・あのぉ、ワット・プラケオに行きたいんですけどぉ・・・」そしたらギロっとにらまれて、わかんねーよ、みたいなリアクション。英語は全然ダメみたいだ。うわぁー困った。もう「ボデーランゲージ」しまくり。バスのルートマップ出して「ワット・プラケオ」を連呼したら、なんとか分かってくれたみたいで、しょーがねーな小僧ってな顔をしつつ紙に「11」と書いてくれた。ここから11番のバスに乗ればいいらしい。あーよかった。笑顔で「こっぷん・かっぷ!(ありがとー)」と言ったらニコッとしてくれた。なんだー、こんなイイ顔で笑える人なんじゃん。
しばらくしたら”11”のバスが来た。エアコンバスだ。ありがたい。バスに乗り込み、空いている席に座りひと安心。時計を見るともう10:45だった。でもここでミスをした。窓際の席では無かったのだ。これじゃあ外の様子がよくわかんねぇ。いつ、どこで降りればワット・プラケオなのかがわかんねーじゃんか。やべぇぞ。と、車掌サンがブリキの筒みたいなものをパコパコさせながらやってきた。自分でどこまで行くかを申告し、料金を払うシステムになっていることは本で知っていた。「ワット・プラケオ」と言うと料金は6バーツだった。さて、どこで降りるんかな。こっそり地図を広げ、交差点や回りの雰囲気を観察していたら、しばらくして写真で見た「ワット・プラケオ」によく似た建物が見えてきた。その回りには袈裟を来た僧が数人たむろしていて、その真ん前にバスが止まった。おまけにたくさん客が降りていく。うん、たぶんココだなっとオイラもバスを降りることにした。へへ、なんとかなったじゃん。やったね。
さて、どこから入るんかな、と見てみると、確かにお寺なんだけど、なんか小せえ。写真で見たのはもっとゴージャスだったよなー。地図を見て回りの建物とか道路の様子とか比べると、なんか違う。あれぇ?ここ、もしかして違うかなー?・・・・やっちまった。全然違うところで降りてしまったのだ。あーあ。もう11:05だった。どーしよう。
もう結構来ているし、またバスに乗るのはなんか気が引けたので、このまま歩いていくことにした。でもめちゃくちゃ暑い。汗がダラダラ出てくる。ここで間違えたら致命傷だぞ。必死で地図を確認し、方向だけは間違えないようにし、ともかく歩いていく。道端には宝くじのよーなものを売っていて人が集まっていたり、サラリーマンやOL風の人とたくさんすれ違ったり、歩きならではの雰囲気を楽しみつつ、やがて街路樹がある通りでコンビニを発見、水を購入。生き返ったー。その先の交差点に交番のようなものがあったので、日陰で休んでいる人に「ワット・プラケオ?」と尋ねたら道路の先を指差してくれた。そっちを見ると、おお、はるか先にそれらしき建物が!よかったー、間違ってなかったぞー。目的地が見えて安心し、元気が出てきた。気合いを入れてそのまま広い歩道をずんずん歩いていく。脇には広い芝生の公園があり、なんかこの道は歩いていてすごく気分がよかった。汗をダラダラかきながら、結局バスを降りてから30分以上歩き、ようやく「ワット・プラケオ」に到着したのだった。ふいー。
入り口をさがして高い壁ぞいに歩いていく。ここで天性の方向オンチが炸裂。みごとに逆方向に行ってしまい、まただいぶ時間と体力をロスしてしまった。なんとか入り口にたどりついたのは11:45だった。まずは入場チケットを買わなきゃね。カウンタに行ったら、入場料がなんと200バーツ。高けぇー。でもせっかく来たんだし、ここは最初から見ることに決めていたので、ついでにマップも購入し(実は入り口でちゃんとガイドマップをくれたのでこのマップは無駄だった)、ゲートから入場。よーし、観光するぞー、200バーツ分見まくってやるぞー。
さすがに有名観光スポットらしく、中は観光バスの団体サンとかたくさんいて結構混んでいる。あちこちで日本語も聞こえるし、全然落ち着いてゆっくりのんびり、という雰囲気じゃない。あー、いかん。こーゆーのダメなんだよなー、オレ。どこを見ても人がいるし、うるさいんだもん。せっかく苦労して来たのになんか気が滅入ってきた。建物は確かに素晴らしい。こーゆーの見たことないしね。写真もそれなりに撮った。けど、なんかイマイチ感動しない。なんでだろ。やっぱ人工のものってインパクトはあるんだけど、すぐ飽きちゃうんだよな。盛り上がりに欠けたまま、順繰りに観光していき、メインの「エメラルド寺院」へ。お寺の中に入るには帽子を脱ぎ、入り口で靴を脱がなければならないので、ここでも渋滞。あーあ。
でも中に入るとそこは厳粛な空気に包まれていて、真剣にお祈りをしている人もいて、いきなり気分がひきしまった。これは無礼なことをしてはいけないぞ。そして正面奥を見ると祭壇の高ーいところに、まさにエメラルド色に輝く、でもびっくりするくらい小さなご本尊がいた。これはホントに美しかった。そして威厳があった。思わず行けるだけ前の方に行き、正座してオレなりの作法でお祈りをしてしまっていた。なんか心がとても穏やかになっていた。うん。なんだかんだ言っても、やっぱり来てよかったな。
さて、この後は王宮をひととおり見学して、いかに王様が尊敬され、大事にされているかをヒシヒシと感じつつ約1時間後に見学終了。外に出た。しかし見学中は歩き回るせいでモロ太陽を浴びっぱなしだったのと、時間的にも日差しがめちゃくちゃ強かったせいで、もう汗だく。ヘロヘロ。ノドがカラカラだった。出るとすぐ裏手に桟橋があり、マーケットがあったのでまずは水分を補給しなければ。もちろんビールでな。でもやっぱ観光地、40バーツと高かった。植木の影に座り込み、プシっ!でもあまりに暑くて軽い熱射病状態。ビールを飲んでも全然ダメ。ヘロヘロのままだった。もうあんま動きたくねーな。あとどうしても行っておきたいのは「ワット・ポー」と川向こうの「ワット・アルン」の2つ。桟橋からそーゆールートの船がないかな、と思い、しばらくして落ち着いたので桟橋に行ってみた。
桟橋に行ったら「スタッフ」と書かれたTシャツのねーちゃんが「船かい?こっちだよ」とカウンタに案内してくれた。希望のルートを言うと「うん、そのルートあるよ。もうすぐ出るから」とやけに調子がいい。怪しいぞ、これは。値段を聞いたらなんと500バーツだって。冗談じゃねぇ。「そんなに高いハズない。渡し舟は10バーツ以下って聞いている。他をあたるからもういいっ」と帰ろうとしたら「わかった、300バーツでいいよ」だって。それでもめちゃくちゃだ。さっさとその場を立ち去った。ふと見ると似たようなTシャツを着ているヤツらがいる。よくよく文字を見たら「ボランティア・スタッフ」と書いてある。なるほどね、そーゆー言い方もあるんか。なんのこたぁねえ、ただの客引きなんじゃん。
このあと腹具合がおかしくなって、タイ式トイレ2度目の利用。もう普通に使えるもんねー、とふんばったら、ビールの飲みすぎかちょっとゲリ気味だった。キレが悪いし力が入らねぇ。でもなんとか「ワット・ポー」には行きたい。さすがに歩く気力がなかったので、入り口のへんにいたトゥクトゥクに挑戦することにした。はじめはふっかけられたが、ちょっと遠そうだったので、交渉の末40バーツで手を打った。よーし、トゥクトゥクは初めて乗るぞー。わーい。走り出したら風がキモチいい。いいねー。と、喜んでいたら乗って3分もしないうちに着いてしまったではないか。おいおい、これで40バーツか?やられたー。ボラれた。しかも入り口の前まで行かず、「今の時間は閉まっているからイイところに連れていってやる」とかいいだしやがった。アッタマきた。「降りる!停めてくれ」と身を乗り出して飛び降りようとしたらようやく停まった。約束だからキチンと40バーツ払ったけれど、すごく後味が悪かった。あーあ、乗るんじゃなかった。こーゆーことがあると慣れないことにチャレンジする気が失せてしまう。金額の問題じゃないんだよな。イヤな思いをしたこと自体が悪い思い出になってしまうのだ。
あーなんかまたダラダラ長くなってきちゃったなー。ちょっととばすか。
「ワット・ポー」は入場料20バーツ。CMでお馴染み、巨大な寝釈迦像があるところ。寝釈迦は一応見ましたって感じ。それよりも奥の方の人があまりいないとこの方がおもしろかった。回廊があったり、いっぱい仏舎利があって、全くの異空間だった。個人的には王宮よりも面白かった。ま、ここも1時間30分ほどかけてあちこちふらふらと見学して、やっぱり日差しにやられてヘロヘロになってしまった。ここを出て川向こうの「ワット・アルン」に行かねば。渡し舟の桟橋を探してたら迷ってしまい、現地の人に尋ねて民家の路地みたいなとこを通り、なんとか到着。渡し舟はたったの2バーツだった。これに乗り「ワット・アルン」へ。入場料20バーツ。この日行ったお寺の中ではここが一番よかった。静かでこじんまりとしていて、なにより美しい。人もほとんどいなくて、すごくゆったりと見学できた。めちゃくちゃ暑かったけどな。で、ちょっと木陰で休憩して、再び渡し舟で戻り、さて、どうしよう。もう15:00だ。
そーいやー昼メシ食べていないよな。安宿で有名な「カオサン地区」へ行ってみるかと、フラフラしながら歩いていたら、ちょーどエアコンバスが来たので、思わずてきとーに乗ってしまった。あ゛ー涼しい。生き返ったー。ホントヘロヘロだった。で、カオサンがどこかもよくわかんないので、だいたいこの辺、とカンで降りてしまったら、これが大ハズレ。地図を見ても今どこにいるのか全くわかんねぇ。たまたま見つけたコンビニ(ファミリーマート)で水を買い、ついでに聞いてみたら、歩いて行ける位のとこだった。よかったー。水を一気に飲み干し、言われた方角に歩いていったら、それらしき通りを発見。レストランを探す。すると、なんとモロ日本の定食屋を発見!メニューも日本語で、アジフライ定食とかもある。店内にはマンガもあるし、「SPEED」の曲が流れている。もーここでいいっ!と入ることにした。「レックさんラーメン」という店だった。席に着いたらありがたいことに「お冷や」が出てきた。このコップの水がうまかったー。2杯おかわりしちゃったもん。で、冷やし中華を注文。あまり期待していなかったが、これがもう生涯忘れられないくらいうまかった。めちゃくちゃウマかった。ものすげぇーうまかった。55バーツは安すぎ。ここで水を飲んでメシ食ったおかげで元気復活!今いる通りが実はカオサン通りではなかったので、もう少し歩き、ようやくカオサン通りに到着。想像より広かったけれど、なんかゴミゴミしている感じの通りだった。安宿が軒をつらね、土産物屋やらヘアビーズ屋やらいっぱいあって、バックパッカーもうろうろしているし、かなり旅慣れていないとなじめない雰囲気だった。セブンイレブンでアイスを買って食べながら通りを往復し、そろそろ帰ることにした。
ちょっと歩いてバス停でバスを待つ。もう16:00過ぎ、さすがに日は傾き夕方の雰囲気。来たときと同じ ”11” のバスでいいはず、と乗り込み、ホテル名を言ったら「このバスではだめ」と言われた。どうやら途中からハイウェイに乗ってしまうバスらしい。次のバス停で降り(料金はとられなかった)、教えてくれた ”79” のバスに乗り直す。30分ほどでホテルの前の道に到着。よかった。無事戻ってくることができた。ホテルの部屋に帰ったのは16:45だった。
まずは汗でベトベトなのでシャワーを浴びて、風呂上がりのビールだよな。プシッ!あーほっとする。なんか今日はあっちこっち欲張りすぎたかなー。でもなんとかなったし、おもしろかったし。と思っていたら電話が鳴った。菊川君からだった。ナイスタイミング!明日の夜からは菊川クン家にお世話になるので、明日の予定とか迎えはどーする、という電話だった。でも住所を調べたらスカイ・ウェイで行けそうだったので、最寄り駅と行きかたを教えてもらい自力で行くことにした。そして。「今晩はどうすんの?」との問いに、こう答えた。
「パッポンに行こうと思ってんだ」
菊川クンいわく「えー、あんまり危ないことしないでよー」だって。でもさ、バンコク市内のホテルに一人で泊まるのって今日が最後だしさ。やっぱりウワサの「パッポン・ストリート」は行っておかないとな。
さあ、ついにバンコク最強の歓楽地区、パッポンでの夜に突入です。