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短編随筆シリーズ「うつせみ」より代表作 Photos of flowers, butterflies, stars, trips etc. '96電子出版の句集・業務記録

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うつせみGeneral
2016年 4月15日
            傘寿

 3月で傘寿80歳になった。東日本大震災の日が75歳の誕生日だった。あまり歳が違わないワイフともども、病院通いもVitamin剤以外の常用薬も今のところは必要なく、今日はすることが無いという日はまず無い。

 記憶機能の衰えは自覚している。起床して身支度前に2階で体重計に乗り、1階のiPadのグラフAppに書き込む時に「アレッ幾らだっけ」ということもある。PCを立ち上げてから「アレッ俺は何をするんだったっけ」と迷うこともある。数年前にはスペイン語を始めたが諦めた。南米一周の旅をして、スペイン語が出来たら(ポルトガル語のブラジルですら)どんなに良かったろうと反省して始めた。自分に合う外国語の習得法は英独仏露で実験済みだから楽観的だったのだが、結局単語の記憶が付いて来なかった。自分なりのノウハウで勿論キチンと覚えられるのだが、1か月も経つと忘れてしまい蓄積しない。それで語学は若い内に限ると再認識した。

 だから山口県の出身高校での特別講義では「勉強は今のうち」と教えている。それを強調して「君達の若さが羨ましい。出来ることなら人生を交換したい」とも。人生を交換するともう一度受験勉強をしなければならぬ。語学も経験も知識も経歴も資産も捨てなければならないが、それでも若さと交換したいと思う。但し千載一遇のワイフだけは捨てかねるが。

 しかし不遜にも、今迄の人生で私は今一番賢いのではないかと思う。なぜなら、(1)沢山の成功と失敗を体験してきたから。(2)立身出世や金儲けや保身の雑念が少ないから判断が濁らない。(3)記憶が弱った分だけ、背景をボカした写真のように些事に迷わされず本質を見ることができる。

 雑念が無くなって生き甲斐があるのかと問われれば、それはある。自己実現という名の自己満足だ。俺は社会に役立っていると思うことができ、俺の名と名誉にかけてヘマな仕事はすまいぞと身を引き締めれば、緊張感を以て仕事をすることができる。3月前半は何もかも犠牲にして毎日10時間以上はNPOの仕事をした。真面目にやれば仲間と衝突も起こるし、気分が害されることもある。しかしうまく行けばそれに勝る達成感がある。それは現役でバリバリやっていた頃と本質的には変わらない。

 じゃ世の中に何で役立っているかといえば、私の場合は上記のバランスある賢さ、解析力、対話を厭わず対話から真実を引き出す洞察力、英語と国際センス、電気を初め物理現象の一般常識、折衝力、好奇心などかも知れぬ。色々欠点もありながら、人生80年で培われたものは決して小さくはない。それらをもっと世の中のために役立ててご恩返しをしたい。

 雑念が無くなった負の面もある。付き合いの努力がサボり勝ちになる。この人と一緒だと楽しいという付き合いもある。逆に、仕事上・生活上重要な人だから付き合うということもある。その後者の場合が減り、重要度が低下したため、どうでも良くなり付き合いが悪くなる傾向がある。

 80歳を過ぎても女性に対する関心は衰えを知らない。さすがにAKB48のスターに興味はないが、美女の歌手や女優や女子アナには関心が高い。4月からNHKの番組編成が美女シフトになった。1年前にNW9から天岩戸に隠れてしまった井上あさひアナが、少し太ったらしいが歴史秘話ヒストリア(4/22-)に毎週、クローズアップ現代+に月1回出演するそうだ。後者の担当7名は、NHK中から美人アナを集めた感がある。民放の美人アナは人気に応じたタレント給与を得られるが、NHKの月給は年功序列の俸給制度で、ただ放送以外のアルバイトを色々紹介して貰えると聞いたことがある。ただ露骨な美女シフトが定着すると、そうも行かなくなるかも知れない。

 日本人は文句を言いながらも本質的には現状に満足し、現状変更を嫌う。深刻な財政問題という時限爆弾を抱えていることを知らないか忘れていて、現状が将来に継続するかの如き誤解を持つ。同様に私も迫りくる寿命にあたかも気付かぬかの如く、現状がずっと将来に継続して行くかの如く、世の中への貢献を願い、忙しくも幸せな日々を送っている。もっと世の中のために働けと、生かされているようにも感じている。欠点だらけの私ですが、速度違反以外の悪事はしませんから、もっと世のために働きますから、どうかこのまま健康を維持させて下さい。       以上