「AKB48シングル選抜総選挙」の6月7日のフジTV生放送を全部ではないが主要部を見てしまった。孫世代の少女達に大して魅力や興味を感じないし、顔や名前を知るタレントは2-3人に留まるが、(1)社会現象として、また(2)少女達の野心に、興味を持った。尤も去年東芝OB有志のカラオケ大会で私は座興にAKB48の初期のヒット曲「会いたかった!」を歌った。
「うちの子は AKBは 言えるのに 都道府県を なぜ言えないの」と悩める母親の狂歌は、似たような数を歌ったに違いないから、AKB48は48人かと思っていたが違う。所属事務所を持たないメンバ合格者をOffice48に所属させたのが数字の由来で、その事務所名は社長が芝氏だから48だそうだ。因みにAKBの方は、AKB48を構想し2005年に立ち上げた3人衆の名「A=秋元康、K=窪田 康志、B=芝幸太郎のB」から採って本拠地の秋葉原=AKihaBaraに掛けたと言われている。秋元康氏(1958-)は作詞家、脚本家、Producerで、1985年には「おニャン子クラブ」を立ち上げている。
秋葉原のAKB48に続いて、名古屋市栄町のSKE48、第二AKBのSDN48(2009-12にSaturDay Nightに公演)、大阪市難波のNMB48、東京の乃木坂46(人数が少なくても負けないぞの意だと公式発表)、博多のHKT48、JacartaのJKT48、台北のTPE48、上海のSNH48と展開が進み、総称してAKB48グループと呼ばれる。AKB48からタレントを他に派遣して底上げを狙っている。
それぞれが縦横のMatrix組織になっている。AKB48に例をとれば、各々十数人〜20人のA Team, K Team, B Team, 研究生、と分かれていたが、今では4 Team, 8 Teamまである。各地方も同様だ。一方或るCDを作るとか、或る公演とかに各地方各Teamから選抜して当たることもある。
AKB48グループでは数多くのSingle盤CDを出しているが、年1回の特定のSingle盤を歌うメンバを選挙で選ぶのが「シングル」選抜総選挙だ。しかし世の中では誰が第1位になるかに関心が集まる。選挙権はAKB48関連各種ファンクラブ会員と、特定CDの購入者(重複購入・投票可能)だ。2009年の第1回では約4.6千票で前田敦子が第1位、大島優子が第2位となった。第2回は約31千票で大島優子が第1位、第3回は約 140千票で前田敦子が奪還、第4回は前田敦子が引退して約 109千票で大島優子が第1位になったが、昨年2013年は前評判の大島優子は第2位に沈み、博多HKT48強化にHKT48劇場支配人の肩書でAKB48から送り込まれた指原莉乃が約 151千票で第1位を仕留めた。中吊り広告によれば、或る人は9百万円を投じてCDを(3千枚?)買って指原莉乃に投票したとのこと。今回は引退表明をした大島優子が応援する渡辺麻友に大島票が流れ、約 160千票で第1位となり、第2位の指原莉乃は「すごくすごくすごく悔しい」と奪還を宣言し、しかし「全力で(センターで歌う)第1位を支えます」と殊勝に誓った。渡辺麻友は握手会で1人当たり7秒の短時間にファンの心を鷲掴みにする天才と言われている。ずっと3-5位を前後していたが、初めてトップに立った。
今回は約3百人の立候補者から、上位16人が第1位を中心にSingle盤を歌う「選抜メンバ」に選出され、第17-32がUnder Girl(カタカナで書いて単数形)とされ別の曲を歌う。第33-48がNext Girl、第49-54がFuture Girl、第65-80がUpComing Girlで、それぞれの出番があるとのこと。
今年は調布市の味の素スタジアムに8.8千円の入場券で7万人が詰めかけ、低温の豪雨の中ビニールカッパで6-7時間座って盛上った。その熱意には驚くばかりだ。舞台はさすがに屋根があったが、少女達は毛布を被って寒さをしのぎ、幸い順位に入って呼ばれると毛布を脱ぎ震えながら中央に進み出て喜びの言葉を述べた。第1回から司会は徳光和夫・木佐彩子で、第4回からはフジTVが地デジでGolden Timeに生中継している。
5月の握手会で暴漢にノコギリで切りつけられ入院療養中だった2人は、同情票を集めたのか大躍進で、16位と20位に入った。16位の少女は病院から特別に駆け付けて涙ながらの挨拶をした。おかげで今回は入場者の手荷物検査・手動金属探知機検査をしたため、開会が小一時間遅れたとか。
さすが少女達の野心は素晴らしかった。だから公演もファンサービスも懸命で身が入る。そういう仕組みを考え出した秋元氏や恐るべし。 以上
AKB48総選挙続報
AKB48の総選挙を6月20日の「うつせみ」に書いたが、22日の朝日新聞に中国総局長古谷浩一氏からの意外な記事があった。総選挙で1位になった渡辺麻友は中国では馬玉玉(マーユイユイ)の名で人気を集めており、得票約160千票のうち約35千票は中国からの投票だったという。昨年は指原莉乃に9千票が投じられたそうだが、今年はその4倍だ。これ無かりせば、指原莉乃が1位だった計算だ。
Internet上で「馬玉玉に投票しよう」という商品が売られ、収益金約30百万円で日本の協力者が投票券をAuctionで購入し(30百万÷35千=860円)渡辺麻友に投票したのだという。26歳の女性ファンは17万円を投じたそうだ。おお、ここでも中国の財力がモノを言ったか。
なお今上海のSNH48の総選挙が行われており、7月の投票を前にした立会演説会に古谷氏は出くわしたそうだ。「中国には、握手してくれるアイドルも居ないし、政治家の立会演説会も無い」という。記事には無かったが、あまり派手に総選挙をすると、民主化に敏感な中国当局に睨まれるのではないかとさえ思った。 以上