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うつせみGeneral
2020年 9月25日
           Ghosn逃亡その後

 前日産自動車会長 Carlos Ghosn(ゴーン)氏は逃亡したが、腹心の元代表取締役 Greg Kelly氏の初公判が9月15日にあり、無罪主張があった。

 Ghosn氏はすっかり悪者になってしまったが、私は世論の平均よりは同情的だ。1999年度に6844億円の赤字を計上した日産自動車で、2000年3月に会長になり、1年間で黒字転換したのだから、年収数十億円貰っても会社は得だと考えたに違いない。このクラスになると、年収は金ではなく通信簿だから。不肖私も東芝卒業後だが「X氏が年収YYYなら、私はZZZでもよいのでは」と折衝した時は金よりも名誉の問題だった。しかし日本では2010年に年収1億円以上は公表が必要になり、平等思想の日本で「私の給料はこれだけなのに」と不合理な不満が生じるから、年収10億円と公表するのがやっとだった。だから追加10億円を裏契約とし、更に私的費用を大量に会社で負担した。これらが後に罪状になった。マズイけど分かる。

 私が新入社員だった頃、開発中の電算機の改修に昼休時間も現場で取り組んでいた私は、製造現場の先輩からご注意を頂いた。「休憩時間に働くのは良いことだと思うかも知れないが、いつもサービス労働をしているのだからと、勤務時間にサボるようになる。だから勤務時間と休憩時間とは峻別した方が良い」と。現場では以後気を付けた。ただ独りの海外出張では、日程と報告書をゴマかして、観光したこともあった。いや、見分を広めて長い目では業務に貢献したとは思うけど。Concordeに乗った凄い先輩も居た。だからGhosn氏が「本来あるべき年収より低いのだから、この位の流用は...」という気持を起こしたとしても、マズイけど分かる。

 Ghosn氏の決定的な不幸があった。Renaultの将来に悲観した大株主の仏政府が、好業績の日産を併合するようにGhosn氏に圧力を掛けたことだ。最初は果敢に抵抗していた氏も、将来の厚遇を約束されて併合方針に豹変したと理解している。併合されたくない日産幹部が経産省に駆け込み、日産を仏企業にしたくない経産省が筋書きを書いて、逮捕劇に至ったと私は見ている。日本には立派な自動車企業があるのだから、日産1社が仏企業になっても、日本IBMや日本Appleが日本経済に貢献しているように、同様に貢献して貰うのが国際化時代の考え方だと私は思う。最近の日産の低迷を見るにつけそう思う。ただ、遅れている世論を背景に、官僚もこれは一大事と頑なだったのだろう。逃亡後の記者会見でGhosn氏は、Macron仏大統領が日産と日本政府を敵に回し、自分を巻き込んだと非難した。

 Ghosn氏の逃亡で日本の官憲の面目は丸潰れだが、逃げてくれて助かった向きもある。或いは逃がしたか? 主目的の日産併合阻止には成功したし、面倒でうるさい裁判や服役を抱え込むよりは、逃亡の方が助かる。  Ghosn氏の逃亡劇は見事だった。米Green Beret隊だったMichael Taylorとその息子が逃亡を助けたかどで5月に米国内で逮捕され、日本に近く移送されるという。Ghosnの息子がTaylorの息子に、1-5月に$500k=50百万円送金した記録が米裁判所に提出されたという。意外に安いのではと思ったが、総額$1.3M=1.4億円の一部だという。彼らの弁護士は「日本では保釈中の逃亡も逃亡補助も法的に罪にならない」と主張している。刑務所・留置場から逃げたら逃走罪だが、保釈中は保釈金没収だけで済むそうな。

 Ghosn氏は、人手が不足する2019年末の12月29日に、保釈中の自宅玄関から出て、新幹線で新大阪に移動し、一番検査が甘いと予習されていた関空で、X線検査装置に入らない大きさの箱に隠れて、Private Jetで23時頃離陸し、万一の場合は保護が期待できた露上空経由で、Istanbulに5時半頃到着し、再び箱に入って別機に乗り換え、独特の顔を出して生まれ故郷LebanonのBeirutに逃亡した。関空からBeirutに直行すると、気付いた日本から邪魔が入る可能性を恐れたという。関空からの4人のPilotと、Jetをリースで貸した航空会社幹部の計5人はトルコで懲役5年を求刑されており、2人の乗務員は1年の求刑だが、全員がGhosnとは気付かなかったと主張しているそうだ。うそつけ! 航空費33百万円が支払われたという。

 Ghosn氏はLebanonでは英雄で、切手にまでなっているという。そこで裁判に掛けられ、軽い刑罰が下され放免されるのではないかという。以上