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うつせみGeneral
2019年11月29日
         キャッシュレス還元制度

 ワイフと一緒にスーパーで食料品の買い出しをしていると、2020年6月までの期間限定で「キャッシュレスだと5%還元」というアナウンスが繰り返された。この「三徳」というスーパーは、「コジカ(CoGCa)カード」というプリカ=Prepaid Cardを勧めていた。店の片隅にある非常にコンパクトな機械に現金を入れてカードにチャージするとレジで支払いができ、即座に5%引きになる。一体これはどういう仕組みなのか。

 CGCグループという通販会社が胴元「B型決済事業者」になり、三徳を初め多くの「中小規模事業者」(資本金5千万・50名以下)からの申込みに応じて上記の機械を無償で三徳などに導入すると、その費用の2/3は国から補助される。コジカカードを使用した売上の手数料を三徳などから受け取る。手数料は3.25%以下であることが求められ、その1/3は国が肩代わりするので、三徳などの手数料負担は実質2.17%以下となる。コジカカード売上額は、三徳などの小売店名と共に国に報告する。三徳は国に申請して中小規模事業者のA型決済事業者となり、キャッシュレス売上高の5%を2020年6月まで消費者に還元する。その金額は国がB型経由で補填する。

 結局消費者から見ると、キャッシュレスで購入すれば5%の還元。三徳などのA型店舗から見ると、キャッシュレス装置はタダで設置され、それを使用した売上高の2.17%以下の手数料をCGCなどに支払う。売上の5%を消費者に還元するが、同額が補助される。CGCなどのB型は、無償で設置したキャッシュレス装置の費用の2/3を国から受け取り、A型店舗から3.25%以下の手数料を受け取る。また国にキャッシュレス売上高を報告し、補助金を受け取り、A型店舗に配布する。但し大手フランチャイズの中小規模事業者は、国が負担する還元額が5%ではなく2%になる。国から見ると、@補助金で消費税増税後の消費落ち込みを防止、A生産性と人手不足が問題化している中小事業者にキャッシュレス化を促して生産性向上、B中小規模事業者の売上を正確に把握して課税。C金融機関の現金扱いの削減。

 三徳の道路を隔てた向かいに「OKストア」直営店がある。中小規模事業者ではないから国からの補助はないが、競争上、OKストア独自の3/103=2.91%の還元を行っている。推奨は、OKカード、LINE Pay、Pay Payだ。

 数十種類もの多種多様なキャッシュレス手段がある中で、店舗が作戦上還元申請を特定手段に限ったり、国が認めない大規模事業者が対抗上独自に還元したり、還元額に上限を設けたり、到底全貌の把握は困難だ。それが自由経済の良い所だろう。それでも少しは整理してみよう。

 キャッシュレスの王はクレジットカードやデビットカードだと思うが、通信・処理時間が掛ったりサインや認証が必要だったりしてスーパーのような店舗向きではない。だから申請しなかったり、申請してもPRしなかったりしていて、今回の消費者還元制度では主役ではない。

 SuicaやPasmoは関東ではよく知られており、また地方ごとに別の名で普及している。電車賃が主目的だから大きな買い物とは整合性が悪い。上記コジカカードのような小売店向きで扱いが簡単なプリカ方式が還元制度では主流らしい。但しプリカでもセブンのnanako、イオンのWaon、ファミマのFamiPayなどは、フランチャイズの店で2%還元とか、国に頼らない還元とかがある。これらはカードもあるが、同じ機能をスマホ上で実現する場合も多い。au PayやDocomoの「d払い」ではプリカ機能を"Wallet"と呼ぶ。d払いでは携帯料金支払勘定に加算することも可能。

 メルカリのメルペイ、楽天ペイ、Amazon Pay、Apple Payは、スマホ上の既存の支払いの仕組みを還元制度に拡張している。ゆうちょPayは基本的にスマホ上のデビットカードだ。JCBが、クレジットカードの他にJCBプリペイドカードを発行しているが、その仕組みをLine Payを含む多くの会社が利用している。Line Payはカードまたはスマホ上で利用できる。

 Pay PayはソフトバンクとYahooが連携して進めており、ソフトバンク流の先行投資型の普及策で今急速に伸びている。スマホ上のプリペイドカードでもあり、登録クレジットカードから払うことも可能だ。

 複雑怪奇。所詮行きつけの店舗で何ができるか尋ねるしかないか。以上