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短編随筆シリーズ「うつせみ」より代表作 Photos of flowers, butterflies, stars, trips etc. '96電子出版の句集・業務記録

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うつせみ
2007年 1月24日
              「変」

 何か名台詞を言うに違いないと期待してObama新大統領の就任式を録画したが空振りだった。Changeは「米国の身勝手は不可。世界が変わったのだから我々も変わらなければ」という文脈で使われたに止まった。選挙中は極限にまで高めた彼個人への期待値を冷徹にCool Downした強かさを見た。しかし「危機に陥った米国を皆で頑張って再生しよう」と、Bush前大統領に渋い顔をさせたから、やはり「変えよう」と言ったことになる。

 毎年年末に京都清水寺の森清範貫主が大書する「今年の漢字」も昨年末は「変」だった。貫主が決めた訳ではなく日本漢字能力検定協会(京都市)が全国公募し11万人が投票した結果5%強を得て1位だったという。5%で1位かよという感じもあるが、2位の「金」(Medal)、3位の「落」の3%弱に比してぶっちぎり1位だそうだ。

 Obama氏は「皆で変えよう」と言ったが、日本では2008年は「変」だったと言う。未来と過去の違いがある。朝日新聞は「日本の首相の交代やオバマ次期米大統領の「チェンジ」(変革)など政治の変化、株価暴落や円高ドル安など経済の変化、地球温暖化の深刻化などの気候異変、スポーツ・科学分野での日本人の活躍に表れた時代の変化など、良くも悪くも変化の多かった一年を象徴した」と伝えたが、森貫主は「政治、経済、社会を変えてほしいという皆さんの思いを込めて書いた」と未来を語った。

 Bush大統領の不人気から、次期大統領はObama氏かHillary Clinton氏になるだろうとは誰もが思った。両氏とも大統領になる能力を備え政策も大きくは違っていない。私は心中で当初Clinton氏を応援し、少額でも小切手を送りそうになったが、途中で気が変わった。当初理屈ではなく心情的に、黒人男性よりも白人女性に米大統領になって欲しいと思ったことを白状しておく。4月に会った米実業家の白人男性が「Obamaを応援している。Very Smartだ」と力説したことが印象深かった。或るTV討論会で司会者がClinton氏に「あなたは不人気ですね」と言ってClinton氏が「It hurts me.」と悲しげな顔をした時にObama氏がすかさず「You are attract- ive.」とフォローしたのを見た。心中からか口先だけかは知らぬが政敵にこれだけ気遣い出来る人はすごい。その後Clinton氏が怖い顔をして「Shame on Barak Obama !!」と叫んだのをTVで見て私の気が変わった。多分米国民の大多数は私と同様、他人を公に激しく攻撃する人間を、まして女性を、好まないだろう。Clinton氏のメは無くなったと思った。後にObama氏がClinton氏を国務長官に登用するのを見て「結局Obama氏の方が一枚上手だったな」と悟った。その逆はあり得なかっただろう。

4年前米国民は過ちを犯した。Bush氏ではなくGoa氏を当選させていれば米国民にとって、世界にとって、どんなに良かったことだろう。Bush大統領は、規制緩和で富を蓄積し、テロと戦い自由民主主義を布教することが、米国の価値を高め国益に通じると信じて米国民と世界をリードした。閣内をYes Manで固め反論を許さなかったという。国際関係でも同様に単独行動主義を採り反対を許容しなかった。その結果対テロ戦争で泥沼に入り米国民と世界を更に危険に曝した。富は大企業・富裕層から中小企業・貧困層に滴り落ちるという新自由主義のTrickle Down Theoryは実現しなかった。だからChangeを標榜したObama氏がウケたのは必然だった。Bush氏の最大の功績はObama氏の当選を有利にしたことかも知れない。

 Obama氏の選挙活動は際立っていた。演説の巧みさを別にしても、Web 2.0を駆使して集票と資金集めに有権者をNetwork化した。YouTubeで国民に訴求しWeb2.0で国民の声を集める。だがこれからが大変だ。

 大変さでは日本も負けていない。必ず総選挙があり、現政党のままではどうにもならぬことが明らかになる。終戦後GHQは日本に英国流の議会制内閣を採用させた。60年前はそれで正しかったが、昨今の国際化の世界で国をリードしていくには、米国流の大統領選出過程を駆け上ってくる有能で強いリーダの方が有利だと今改めて思う。例えば石原慎太郎氏のような人は現政界では絶対に首相になれないが、民選大統領なら有力候補だ。

 2009年末清水寺貫主は「変」の字を2つ重ねることになりそうだ。以上