高齢者運転免許証更新のためボケテストを受けた。2017年3月から一段と厳しくなり、ボケテストと講習・実車指導を経て更新手続きとなる。
高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違えや、高速道路の逆走などの事故が社会問題になっている。しかし高齢者差別は医大の女性差別と同様の問題ではないか。高齢者にも女学生にも色々ある。多様性を前提とする米国では絶対成立しない制度だと思う。もし私が施政官なら、テストはオプションとし、X歳以上でテストを受けずに起こした認知症的な事故は、免許取上げとか罰金10倍とか厳罰に処する制度を考えるだろう。
まず認知症由来である可能性の高い交通違反が18種類指定されている。1.信号無視、2.通行禁止道路通行、3.逆走・歩道通行、4.転回禁止違反、5.黄線越え、6.遮断踏切立ち入り、7.交差点左右折徐行不履行、8.直進レーンから右折等、9.環状交差点左折違反、10.優先道路進行車妨害、11.交差点優先車妨害、12.環状交差点通行車妨害、13.14.横断歩行者妨害、15.徐行失念、16.一時停止違反、17.左右折合図失念、18.安全運転義務違反(踏み間違えなど操作ミス・漫然・脇見・不注意・動静予測ミス・制限速度以内でも状況で安全速度違反)。私が時々意図的にやっているのもある。速度違反と駐車違反が無いのが救いだ。
75歳以上で、18種の事故を起こした場合、または運転免許更新の場合、認知機能検査=ボケテストが求められる。45点以下だと医師の診察または診断書が必要。46-75点は、個別指導を含む3時間の講習・実車指導。76点以上は「認知症のおそれなし」で、2時間の講習・実車指導を受ける。
そのボケテストだが、3種類の机上テストだ。(A)最初に「腕時計を仕舞え」と言われてから、「今は何年何月何日何曜日何時何分頃か」を記入する。腕時計を仕舞う前に確認しておけば問題ない。これがA=15点満点。(B)が難問で、4つの絵のポスター(例えば機関銃・琴・親指・電子レンジ)を4枚、つまり16種の絵を見せてから別の作業をさせて記憶を散らし、「16種を書け」という。B=16 x 2=32点満点だ。次にヒント(上記の例では武器・楽器・体・台所用品)を出して16種を記入させる。ヒント無しで2点、ヒントで書けたら1点だ。因みに上記16種の絵が1群で、わずか4群64種から1群が出題される。(C)最後に「円い時計の文字盤を書け」「それに長短針で1時40分を記入せよ」と言われる。普通なら問題ない。1から12まで書いたら何点、長短針を書いたら何点、長針が合っていたら何点と細かく決まっていて、満点はC=7点だ。
重みを乗じ、T = 1.15A + 1.94B + 2.97C を四捨五入して総合得点だ。一番の難関はBだ。A, Cで満点をとれば、B=4 で T = 45.8 だ。絵を3つ4つ思い出せば医師の診断は免れる。しかしこの仕組のために2017年度に、75歳以上の運転者580万人のうち、5%が家族の説得または恐れをなして免許を自主返納した。ボケテスト受験者166万人のうち3.4%が「認知症のおそれ」を言われた。うち0.3%が追試で更新したが、1.3%が自主返納または更新断念。0.6%が6か月毎の診断書を条件に更新、0.2%は無条件更新。残りは各種手続き中だが、0.2%は免許取消または取消の行政処分中だと。
6年前の更新時にも今と類似のテストがあり、ワイフも私もその場の記憶で満点を取った。それで気が抜けてナメて掛かったのか、3年前には二人ともBで失点し満点が取れなかった。ところが半年前にワイフがまた満点を取ってしまった。こういう記憶力では私はワイフには敵わない。普通にやったら負けると、面子を賭けて猛勉強した。
警視庁はBの4群64種を http://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html で公開している。出版物もあるそうだ。「これが利用できる位の人は認知症ではない」という趣旨だという。私は以前からWeb上に出ていたのを取り込んでいた。これで4群64種の絵を徹底的に予習し、任意の絵を1つ(例えば機関銃)見せられたら同じ群の16種が全部言えるように修練してテストに臨んだ。努力の甲斐あって、勿論Bは満点、総合得点も満点で、辛うじてワイフに負けずに済んだ。
つくずく思った。今更だが俺は「努力と要領の人」なんだなあ。 以上