ガラケーの語源のGalapagos諸島は、赤道直下の孤島群で、Ecuador本土から飛行機で90分も掛かる。地質的にはHawaiiに非常に良く似ている。つまりマグマが煙突のように上がって来るHot Spotの上をPlateが東に移動するために、諸島の東端(西端)が一番古い(新しい)火山島だ。
Hawaiiの場合は、Plateが北北西に移動しているので、南端のHawaii島(Big Island)が一番新しい。日本に多いPlate境界での摩擦と水で発生する火山と違って、Hot Spotの熔岩は成分も違い、粘り気が少ないことが特徴だ。粘り気がないから富士山のような尖った山容にはならず、伏せた盾のようななだらかな山容になる。盾型とかShield型とか呼ばれる。
孤島だから、動植物は僅かな機会に移住して来た。だから種類は多くない。諸島の相互間の関係も薄かったから、島によって動植物が異なる。大陸では異なる生育環境ごとに新しい種が生まれるが、Galapagosでは、限られた種類が多様な生育環境をカバーするために亜種が沢山生まれた。Charles Darwinは、小鳥のFinchの嘴などの姿形が生育環境ごとに異なり、それが各生育環境に適していることを発見した。因みにFinchとは、スズメ・ホホジロ・アトリなど、スズメの親戚の総称だ。
Darwinの祖父も進化論者だったが、例えばキリンの首が長いのは「高い葉を食べられるように長くなりたい」という意思と努力が首を長くすると論じた。孫Darwinは「突然変異で首が少し長いキリンも短いキリンも生まれる。前者が子孫を増やし易いので、キリンの首は長くなった」と論じた。例えばGalapagosで、草の豊富な環境に住む陸亀は地を這うが、草が少なくサボテンを食べる陸亀は前足で立ち上がり首を長く上に伸ばすことが出来る。そういう対応からDarwinは進化論を進展させたという。
我々はSilverseaという会社のGalapagos観光専用船Silver Galapagos号で主要な6島と付属島を1週間で巡った。定員100名(我々の時は92名)だが、スタフ78名を配してサービスを充実させている。ゴムボートを砂浜に乗り上げて観光客は波打ち際をバシャバシャと上陸するWet Landingが多かったが、時には簡易桟橋や岩場につけるDry Landingもあった。ボートには10名前後が乗れて、船のスタフが1名付く。上陸後の遠足もこのスタフが英語で案内する。添乗員がいちいち通訳していると英語人口には迷惑だから、我々一行8名+添乗員が1隻のボートに乗り、遠足も共にすることが多かった。英語人口が多い場面では通訳は差し挟めないから日本人は退屈した。しかし英語が全く出来なくてもGalapagos観光は充分できる。
Galapagos諸島には4つの町があり、合計4万人が観光業で暮らす。しかし人家が許されるのは面積の1%、畑を含めても3%と聞いた。無人の原野に小道だけはしっかりしている。Galapagosを一言で言えば、海と陸の広大な自然豊かな世界だ。動植物が主役で、我々はお邪魔させて頂いている。アリゾナを想起させる背の高いサボテンが印象的だ。ウチワサボテンPrickly Pearは普通は灌木型だが、ここでは陸亀や陸イグアナが食べるから高く樹木状だ。港の桟橋でベンチに座ろうとしたら、アシカが長々と寝ていた。アシカのアブラでベンチは黒い。山道の真ん中で陸イグアナが寝ていた。叢よりも日光浴に適しているそうだ。ゴムボートの傍を、海亀、アシカ、エイの群、ペンギンの群、海イグアナなどが自然に通り過ぎる。軍艦鳥、ペリカン、カツオ鳥、サギなどが魚を狙う。枝には各種のFinchが多数さえずっている。我々8名では私共夫婦だけが浅瀬でのSnorkelingで魚群を見た程度だったが、外人の多くは深い海でのDeep Snorkelingで、亀やサメやアシカと並走したとか自慢の写真を見せてくれた。
野生のフラミンゴを初めて見た。30cmほどの赤ちゃんも居た。海亀が孵化して砂浜に顔を出した途端に、旋回していた軍艦鳥が急降下してくわえ去って行くのも見た。250kgクラスの陸亀数頭を池で見た。Galapagosの象徴として大事にされつつも2012年に亡くなった陸亀Lonesome George(という名)は研究所で剥製を見た。立ち上がって首を伸ばし1.5mの高さのサボテンを食べたという。同種が死に絶えて、たった1頭でLonesomeだった。
また行きたいとは多分思わないが、一度行ってみて大変良かった。以上