HondaのHybrid車Insightの4月度月間登録販売台数10,481台が軽自動車を除き第1位、1-4月累計でも第1位になった。Hybrid車が第1位になったのは初めてだとニュースになった。我家にも189万円の折込広告が入った。Hybridで先行するToyota Priusは第3世代を205万円で発売し、併売する第2世代を190万円に値下げした。HondaもToyotaもニッケル水素電池を使っている。Prius第3世代はリチウムイオン電池にする計画だったが、間に合わずニッケル水素電池にした。GMは昨年9月にHybrid車Chevrolet Voltを公開した。韓国のLG化学は、この車に搭載するリチウムイオン電池を2010年から6年間提供する契約を結んだと発表した。Hybrid車は20世紀初頭に一度ブームがあり、1世紀ぶりに今再びブームになっている。
ガソリンエンジンは内燃機関と呼ばれる。免許をとる時に覚えた「吸入、圧縮、爆発、排気」の4サイクル、または軽自動車でよく使われる「吸入圧縮、爆発排気」の2サイクルで、気化させたガソリンをシリンダの中で爆発させ、その力をクランクで回転運動に変えている。蒸気機関車のような外燃機関は、燃料を燃やして水から蒸気を作って回転運動を得るのに対して、燃料を直接内部で燃やすから内燃機関なのだ。
内燃機関は、大きさ・重量の割に馬力が大きく、軽いガソリンを積めば航続距離が稼げる長所がある。欠点は爆発に頼るために回転が速くないと力が出ないことだ。だからシフトギアを使って低速走行時でもエンジンの回転数は落とさずに済むように工夫している。この低速性能確保の技術が未発達だった20世紀初頭にはガソリンエンジンは苦戦していた。モータは磁力で動くので低速でも力が出るため、電気自動車が有望視されたが、その欠点は重い電池を積んでも中々航続距離が稼げないことだった。
このためガソリンで動く発電機付き電気自動車の形でHybrid車が開発された。しかし第1次大戦後の技術発達で低速性能を確保する機構が出来るようになり、ガソリンが安くジャブジャブ使えるようになると、ガソリンエンジンが主流になって今日に至った。今ガソリンが高騰しCO2が問題になった21世紀に、今度は燃料効率の面から高効率のモ−タを使うHybrid車が再び脚光を浴びた。加えて、ブレーキで運動エネルギーを摩擦熱に変えて放出してしまう代わりに、モータを強制的に回すと発電機になることを利用して電気エネルギーとして回収する「回生制動」が採用された。
Hybrid車には、Series Hybrid, Parallel Hybrid, Split Hybridという3種がある。Chevrolet Voltは、PHEV=Plug-in Hybrid Electric Vehicleと称しており、家庭でも充電できる発電機付き電気自動車だ。動力で見ると発電機の後にモータがあるからSeries Hybridと呼ばれる。Insightに採用されたHonda IMA= Integrated Motor Assist Systemは電気自「転」車に似ている。始動時や上り坂ではモータが足を助けてくれる。下り坂や平地を快走中には必要以上の力で漕いで余ったエネルギーでモータを発電機として回し電池を充電する。ブレーキを掛けた時に回生制動で充電する自転車も多い。足で漕ぐ代わりにガソリンエンジンを使ったのがInsightのようなParallel Hybridだ。モータとエンジンがInsightのように同一軸上でも、動力で見れば並列的に分担して車輪を回すからParallelなのだ。
THS=Toyota Hybrid Systemを積むPriusもParallel的だが、エンジンとモータは別軸で歯車で結合されており、どちらからどの割合で駆動力を受けるかが制御できる。回生制動はモータを発電機として使用するが、その他に専用の発電機があり、エンジン出力を車輪駆動と発電機に分割して使用するからSplit Hybridという。分割比も制御できる。発電機出力はモータに直結することも電池に充電することも出来る。Honda IMAと比べると発電機が余分だし、機構が複雑で制御も大変だからコストが高い。しかし走行状態に適応して構成要素を自由に組み合わせ、最高の燃料効率を実現できる。制御次第でSeriesにもParallelにもなり、充電器さえ搭載すればPlug-inにもなる汎用型だから、技術動向に拘らず開発投資が生きる。
一昨年Priusを買いそうになったが、Hatch-Backは嫌だというワイフとの発言力の差で買わなかった。Hybrid車にも色々あるものだ。 以上