iPadを買ってしまった。5月28日の売出し直後、買うつもりで店に行ったが、(1)予約制だと言われ、(2)新トレンドに興味はあったが実はあまり使いそうもなかったので、買わなかった。今回買う気になったのは(1)予約制でなくなった。(2)愛読誌National Geographic Magazine=NGMの英語版を電子雑誌で買いiPadで読みたい理由が生じたからだ。
NGM英語印刷版は国にもよるが世界的に大体年間$35前後の安値で購読できる。しかし日本の住所で購読する限り、日経National Geographic社から年間\8.9kで購読しなければならない。同社は日本語に翻訳して出版しており、高価な日本語版との価格差がある英語版を許容せず、世界共通の英語版まで高くしているからだ。その日経の根性が気に入らなくて、米国から転送してくれる私書箱屋経由で購読してきた。しかし今年或る方法で日本の住所でも$35で購読できた。喜んでいたら先日継続購読は\8.9kという日経からの請求書が来た。一方Zinioという会社が$15でNGMを電子雑誌化してiPad用に提供していることを知った。これが上記(2)の理由だ。
iPadを使いこんで判ったのだが、上記は私の希望的観測に過ぎなかった。Appleが扱う電子書籍にせよ、NGMなど特定出版社の電子書籍をiPadに読み込むためのソフト(Appleと出版社が売上を分ける仕組み)にせよ、Appleが運営するiTunes StoreというWeb上の店から買うことになる。この店が、国別になっているのかどうかは知らないが、日本の店と米国の店は少なくとも別になっていて、日本語の本は日本の店でしか買えないし、米語の本の多くは米国の店でしか買えない。iPadの初期設定で二重国籍は認められない。日本の住所で日本の店に初期設定してしまった私のiPadでは、NGMをDownloadするZinio社のソフトが取得できない。つまり米語の本の多くと日本語の本を両方読むにはiPadを2台購入して一方を米国の住所で初期設定する他ない。Internetは国際的との思い込みの誤謬だった。
従ってiPadを電子書籍のために購入するのは愚策だったと悟った。日本語の本はまだ限られるし、日本語を諦めない限り米語の本の多くは購入出来ない。iPadを電子書籍Readerと思えば腹が立つ。Web Contents Readerとして使うことを考えよう。GmailのようなWeb型のemailは勿論、PO3 email(普通のemail)も扱えるし、iPod用に用意された音楽も聞ける。
Safariという名のAppleのWeb Browserが組み込まれている。但しJava、XML、Flash、PHP(Server-side Script Languageの1種)などの高級機能は無いから、一部のWeb頁は表現出来ない。従来PC上で見ていたNew York TimesやUSA Todayのような新聞をiPad上で見ると、上記制約はあるもののPC上より読みやすい。2本指の動作指示で拡大縮小ができることもあり、1本指で画面を前後左右に移動できるし、形状や画面の明るさの自動調節が読み取りに適しているのだと思う。因みにこれら英字新聞はWeb版と、固有ソフトで読み込むiPad版と2種類が無料で提供されている。日本語の新聞は無償でも有償でも提供されていない。地域の新聞販売店への配慮であろうと推察した。一方YouTubeなどの動画サイトや写真サイトはiPad上で迫力を以て見ることが出来る。日本語ではGame Contentsが多い。
Map機能は秀逸だ。Google Mapを提供しているのだが、今や地球上のあらゆる家屋をそれぞれ大小の四角で表現した地図を用意している。PCでも見られるがiPadで見ると格別の迫力がある。GPS機能も内蔵しているが、携帯電話の契約をしないと外出中は地図を引き出せない。米国ではAT&Tの携帯電話を持っている人はそのデータ契約の範囲内でiPadのデータ授受を実質無料で行えるから、外出中でも無料でWebが使用出来る。日本では携帯電話とは別に通話契約が必要になるので、私はWi-Fiだけのモデルを購入した。だから無線LANが使える場所でしかWebは使えない。
スケジュール表、住所録、メモ帳などを使う人には便利に違いない。その他数多い応用ソフトを購入すれば、様々な機能で使える。或る知り合いは、客にiPadを渡してPCと同一画面を表示しつつプレゼンをしていた。
私の好奇心は満たされたが、私にとっては早過ぎた買い物になったようだ。また嫌でも日米の情報格差を感じざるを得なかった。 以上