心ならずも「その3」まで来てしまった。「その1」「その2」で、2人の医学者の「第二波は来ない」説に疑義を呈した。「その2」は不変だが、「その1」をお詫びして訂正したい。雑誌WiLLで対談した京大特定教授上久保(かみくぼ)靖彦氏の名前を敢えて書かなかったが、Wikipediaに載る立派な医学者がなぜこんな粗っぽい話をするのか気になっていた。今思えば限られた紙面で革新的な医学論を展開するのは無理だった。そこで教授のローマ字名で検索し、下記のような見事な大論文を発見した。
Cambridge大出版が4月に開設した掲示板 Cambridge Open Engageに、同月投稿した論文 "Paradoxical dynamics of SARS-CoV-2 by herd immunity and antibody-dependent enhancement"だ。著者2名のV1と3名に増えた7月のV2がある。V2は題名で検索しazamidental.comから全文が見られる。但し続編含め50頁の大長編で一寸難しい。更に検索し最新のYouTube対談を見付けた。論文ほど正確ではないが平易で参照に値する。
https://www.youtube.com/watch?v=hF0HBmIFWMs 7月19日
https://www.youtube.com/watch?v=Mr05_0_OkD4 8月 7日
教授の主張は次の通り。
1.Influenzaウイルスと新型コロナウイルスは並立せず、新型が入るとインフルは止まる。2019年冬以降の日本のインフルは抑制された。抑制度合いから、各時点の新型の感染者数が推定できる(英文論文の要)。
2.新型には数百種の変種があるが、ウイルス表面に百本近く生える突起物=Spikeは数種類で、教授命名で発生順にS型、K型、武漢G型、欧米G型、(Y型、H型は今後)である。S型は早くも2019年11月に中国で発生し世界に広まり12月23日頃に日本に来た。K型が後を追い1月13日頃に日本に入ったが、症状が風邪並みで気付かれなかった。日本には1月13日-3月8日(習主席の来日中止の後9日に中国人入国禁止)に中国人が観光客など184万人来日し、日本にもK型が広まった(1.を根拠に早期流行説!)。伊は2月1日に中国人の入国を禁止したので、伊および欧州にはS型は流行したがK型は広まらなかった。またインフルの流行がK型を妨げた。12月に武漢G型が生まれ、日本にも欧米にも広まり、欧米G型となって日本にも3月5日頃に襲来した。これが強烈で欧米を席巻したが、日本とアジア諸国ではK型の経験があるため、欧米に比べ数十分の一だ(学界の謎解明案!)。
3.免疫には、自然免疫と獲得免疫=適応免疫がある。自然免疫の新型への貢献は小さい。獲得免疫に2種あり、@細胞性免疫は、Th1細胞が大食細胞を特定侵入者に特化して食べさせ、またTk細胞に感染細胞を破壊させる。A(体)液性免疫は、Th2細胞がB細胞に抗体を作らせる。S型・K型には@が主に働き、G型ではAが主になる。T細胞・B細胞と抗体は記憶免疫となる。抗体検査ではAの経験が検出される。抗体が検出されない@の記憶免疫にG型が侵入した場合、まず@で闘う間にAが用意される。日本やアジア諸国ではK型感染がワクチンのように働き、G型を防御したので欧米ほど流行しなかった。今後も軽くて済みそうだ(2.を根拠に新説!)。
4.累積感染者数は抗体検査で計れると、学界の主流も私も思っていたが、S型・K型の感染者では残留抗体が弱く、政府調査の抗体保持率は0.1%程度だ。T細胞の記憶を検出する試行段階の検査で計ると、日本人のK型累積感染者数は人口の過半数で、集団免疫にかなり近い(新説!)。
5.欧米人は、S型の流行は受けたが、K型無しでG型の侵入を受けたため免疫不足だった。S型への微弱な抗体はG型にも取り付くが、抗体の一端が人の細胞に入り易い性質を持ち、G型を反って流行らせるADE=Antibody Dependent Enhancement=抗体依存性感染増強現象すら惹き起こした。
学界主流の考えと違うので、まだ100%確信し兼ねるが、筋が通った少数意見なので「そうかも知れない」と思う。教授は「感染者数が昨今増えているのは積極検査の結果だ。死亡者数は昨今も増えていない。第二波は来ないという前兆だ。但しG型抗体が弱まった後にH型が来るとADEが心配だ」という。時間的推移を見るしかない。教授は安倍首相を含む政権幹部にご進講したというから、GoToの強気の背景になったかも知れない。以上