若者なら誰でも使い始めたというLineを私だけが使わないと、若者と見なされないのではないかと心配して、私もLineを使い始めた。スマホの普及に乗って一挙に若者に拡がっている無料Web電話と実時間メッセージ交換つまりChatを中心とするソフトだ。韓国NHN社の日本社NHN Japanが開発した日本発ソフトが世界に展開されている。今は分社化してLine社だ。
Lineは全会員のアドレス帳を吸い上げている(拒否可)から、その中に新たに会員になった私のスマホの電話番号があればその持ち主に「松下という者は知り合いではないか?」と尋ねる。そのルートで早速若手の某社長から「Lineを始めましたね」というメッセージが来た。「IT技術者で居たいからトレンドは追う」と返信したら、親指を上に立てた人形のスタンプと呼ばれる画像が送られて来た。「Good !」という意味だろうと解釈して、褒められた熊が有頂天になっているスタンプを返した。こういうやりとりで着信があると着信音が鳴るから間を置かぬ返信が可能だ。
Lineは2012年に会員数が飛躍的に増加し、今年4月に世界で150M人(M=百万)、日本で45M人に達した。日本では29歳以下の会員が61%だ。主要IT技術は理解していたいし、使わないと理解した気になれない私は悩んでいた。Lineの性格上対話の相手が居ないと使えない。ハタと思い付いて米国在住のコンピュータ屋の次男に相手になって貰えるかと頼んだら「とっくに会員になっている」とのこと。実験相手を得てホッとして加入した。
その次男にLine上で「Lineは電子的雑談ツール」と言ったら「いや多機能メッセンジャだ」と返って来た。上記社長は会合の設定などに使っているようだから真面目なメッセージを伝達するメッセンジャだが、私との上記の対話はスタンプも交えて楽しい雑談だ。LineではこのChat機能を「Talk」と呼ぶ。話すように気軽にChat出来るツールを目指すという意思表示だ。スタンプもその線上にある。若者が多用する絵文字・顔文字は文中で使うが、絵文字よりずっと大きいスタンプは文中ではなく単独で送信される。それに文章を加えたければ別に1通記載することになる。無料Web電話の品質は普通の電話と変わらない。国際電話も無料なのは有難い。
LineはSNSの一種と位置付けされるから、SNSの代表格FB=Facebook、TW=Twitterと対比してみよう。FB/TWは多くの新技術と同様にまずモノ好き(Early Adoptor)が使い始め、徐々に一般人に普及した。対してLineは、Lineを使いたくてスマホを買ったような素人筋から普及した経緯がある。平易で仲間内の対話ニーズに合致したこともあり、またモノ好きは既に既成ツールを使い込んでいて新たなツールを欲しなかったこともある。
FB/TWは「友の友は友」という思想だ。私のFBの友達に付き合いの広い人が居て、何人かの有名人をもFBの友達としている。その1人である鶴田真由の発信に彼が「いいね!」を押しただけで、それが彼の発信として彼の友達である私に鶴田真由の発信内容と共に届く。彼女は拡散希望だったと思うが、勿論拡散を禁止するモードもある。しかしFBの基本的な設計思想は拡散によって交友を広め会員の満足度を高める点にある。TWも同様で、X氏をフォローしているY氏を私がフォローしていれば、X氏の発信に対してY氏が反応するとX氏の発信内容ぐるみで私に届く。つまりFB/TW上で(細工をせず普通に)発信すると公共空間で発信したことに近い。その点で脇が甘かった復興庁幹部が最近指弾されている。FB/TW上での発言はある程度ヨソユキにならざるを得ないのに対して、Lineはアドレス帳を越えることはなく、その中の個人またはグループ内に留めるのが普通だ。
更に、FB/TWは非実時間が主体であるのに対してLineはTalkの名の通り実時間が中心だ。無料Webテレビ電話・ChatではMicrosoftが買収したSkypeがあるが、PC上で発達したためスマホには重い。Chatでは携帯・スマホのSMSが普及しているが、Group ChatとスタンプがLineの特徴だ。
多数の先行ツールの中で後発のLineが伸びた原因は、Casual emotional playful private group chatを目指した設計思想が若者に受けたのだと思う。やはり電子的雑談ツールとしてだろう。なお海外旅行中に高くて困る携帯通話の問題は(相手がLine会員なら)これで一挙に解決だ。 以上