Eulogy(賛辞), Panorama, Animation, 観光案内 Eulogy(賛辞), 短編随筆, 三宅島の噴煙 Pictures of the current season
Sue's recent experiences Shig's recent thoughts 自己紹介
短編随筆シリーズ「うつせみ」より代表作 Photos of flowers, butterflies, stars, trips etc. '96電子出版の句集・業務記録

Home, 目次


うつせみGeneral
2014年10月17日
           新聞の左派と右派

 7月11日の「うつせみ」で、「朝日新聞がおかしい。社説や記名コラムで左翼的主張をするのは勝手だが、記事や記事の見出しで主張するのは許せない。親の代から百年間朝日新聞を購読して来たが、3ヶ月読売新聞と併読して「真実を公正敏速に不偏不党で報道する」(朝日新聞綱領より)方に決める」と書いた。これはその後日談だ。

 3ヶ月読売と併読して、朝日新聞綱領を遵守しているのは朝日よりも読売だと確信した。よって朝日を止める決心をした。しかし読売にも2-3ヶ月では馴染めなかった。強いて言えば読者に要求・想定する知性レベルが読売は朝日よりやや低いように感じた。それで「もう新聞は取らない」という選択に傾いた。iPadでSmartNewsを見ると、(1)左派や右派や様々なニュースが表示されており、(2)最初の20行ほどが表示され後続は別クリックになっているので見易い。新聞無しでも世の中から遅れずに済む。

 ところが9月11日に驚愕の朝日新聞の謝罪会見があった。(1)福島原発の事故当時所長だった故吉田昌郎氏が、政府事故調の聴取に答えたA4版四百数十頁の「吉田調書」の内容がまだ一般には知られていなかった頃、それを朝日新聞は独自に入手した。その一部に「所員に福島第一の近辺に退避して次の指示を待てと言ったつもりが、福島第二に行ってしまった。しかしよく考えれば2F(福島第二原発)に行った方がはるかに正しいと思った」とあった前半だけを、5月20日に特ダネ報道し「東日本大震災4日後の2011年3月15日朝、福島第一原発にいた東電社員らの9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発に撤退した」と報道した。それが引用報道されて国際的に「職場放棄」のニュースが拡がった。その誤報を9月11日に訂正し謝罪した。

 (2)慰安婦問題で「日本兵が軍令で済州島で朝鮮人女性を狩り出して慰安婦にした」と自ら日本兵だった実体験を証言し、著書「私の戦争犯罪」を出したフィクション作家吉田清治氏の言い分を鵜呑みにして朝日新聞は、1983年以降16回も「日本軍の犯罪」と特ダネ報道をして国際的に火を付けた。所が1995年に吉田証言は創作であったことを本人が認めた。朝日新聞は今年8月5日にやっと吉田証言に基づく全ての記事が誤報であったことを認め取り消した。その時は誤報を取り消しただけで謝罪しなかったため、「謝れ」という声が世に満ちて、(1)を謝ったついでに(2)も謝罪した。

 この会見で杉浦信之編集担当役員は更迭、木村伊量社長は一連の修復処置の後に進退を考えると発表した。このショックが効いたのか以来朝日新聞は変わった!! 一時的かも知れないが、記事で主張することを止めたかに見える。だから9月末で3ヶ月の読売新聞購読が終わった後、朝日新聞も止める積りだったが10月末まで朝日新聞の様子を見てみようと考えた。

 そのタイミングで次の新書の広告を見て購入した。
  安倍官邸と新聞 徳山喜雄 集英社新書 2014/8/17
筆者は朝日新聞社記事審査室幹事で、新聞各紙を読み比べて編集局に意見を出すのが仕事らしい。本書では朝日新聞自身も少しは批判している。筆者によれば、今主要紙は2グループに分化しているという。A=朝日、毎日、東京で、B=読売、産経、日経だそうだ。A(B)は多少の入り繰りはあるがほとんど、護憲(改憲)、秘密保護法猛反対(容認)、集団的自衛権反対(賛成)、原発反対(容認)、を主張するという。つまり左派(右派)だ。その主張内容を具体的に対比しているのが本書の素晴らしい値打ちだ。

 私の意見はBに近い。憲法9条2項の戦力不保持と世界屈指の自衛隊とどちらかを変えざるを得まい。秘密保護法と集団的自衛権は国際社会との整合上必要だ。歳出の半分しか歳入が無い現状を救済する上で「原発反対という贅沢」は許されない。しかしAの主張があってもよい。社説・コラムで主張するのは構わない。記事や記事見出しで主張する朝日新聞を私は許せなかったのだ。本書ではこの区別が一部しか明示されていない。

 本書には滑稽な点がある。筆者はAが正しいと信じている。それなのにBの主張が出て来るのは官邸の巧妙なマスコミ対策に乗せられているからだというのが、表題の趣旨であり本書の危機感である。愚かなり。  以上