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短編随筆シリーズ「うつせみ」より代表作 Photos of flowers, butterflies, stars, trips etc. '96電子出版の句集・業務記録

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うつせみ
2004年 7月 4日
            地球の夜景

 会社の私のPCは最近「地球の夜景」の写真を壁紙にしている。世界地図のような配置の写真が撮れる訳はなく、全世界が夜のはずも、全く雲が無い訳もないが、そういう写真なのだ。美しい写真だと気に入っている。

 米国地理学会National Geographic Society=NGSが刊行している月刊誌National Geographic Magazineをもう40年も購読している。れっきとした学会誌なのだが誰もそう思ってはいない。美しい写真で世界の人々、景色、歴史、科学などを紹介している。日経が合弁して以来日本語版年間購読料\9kに合わせて英語版も日本で購読する限り世界相場の2-3倍\8.5kにされてしまい、私は転送業者に頼み米国Florida州の住所で購読している。月刊誌の他に時々Mook=Magazine Bookを刊行する。最新刊はExploring Spaceだ。ロケットなどの宇宙開発の歴史、天体、惑星探検、宇宙から見た地球などの写真集だ。この方面に興味のある方は、
www.nationalgeographic.com/magazine/space/
から126頁のMookが$9.95+送料で購入できる。その傑作写真の一部が上記URLで鑑賞でき壁紙として無料でダウンロードできる。冒頭の壁紙はここから入手した。夜の赤外線衛星写真から雲の無い部分を選んでつなぎ合わせ、Mercator図法に変形した上で紺ないし白に着色した手の込んだ写真だと思う。エネルギー使用で生じる熱線を灯火のように表現した百万ドルの夜景だ。経済的な豊かさを表すと思っても良い。Mookの写真はBering海峡とHawaiiを除く全世界の写真だが、ダウンロードした壁紙は縦横比の関係で東南アジア以東がカットされて日本が無い。それでも綺麗だからいいかと2-3日使ってはみたが、やはり日本が無いことが残念に思われ、Mookの極東部分をスキャンし壁紙に張り足して縦横比を調整した。

 全世界を俯瞰すると、やはり米国、EU、日本が一段と明るく、そこに経済活動があることが分かる。面白いのが朝鮮半島で、南ではソウルと釜山が点として輝くだけでなく全体的に薄明るいが、北は二つ三つの都市が三等星のように光るだけだ。自由体制と独裁体制の優劣は明瞭だ。独裁体制はしばしば、国の発展を犠牲にしてでも現状維持・体制堅持を図る。焚書が典型で、江戸幕府の鎖国も今の北朝鮮もそれではないかと思う。

 印度と内陸部を除く中国は、灯が全土に拡がった星雲状態だ。シベリア、中国内陸部、東南アジア、豪州は概して暗いが、香港、Bangkok、豪州東海岸の3都市が一等星で、Kuala Lumpur、Singapore、Jacartaが二等星として輝く。シベリアには葉脈のように線状に淡い光が並ぶ。

 アフリカは最も暗い大陸だが、なぜかNile河が明るく光り、Algeria、Tunisiaなど地中海岸に光がある。南阿Johannesburgに小さな星団があるが周辺は真っ暗だ。夜の野生動物自然公園をジープで訪れた時の漆黒の闇と満天の星が思い出される。中東ではIsrael、Riyadh、Persia湾岸が明るいが、全体的に暗い領域がPakistanまで続き、明るい印度と対照的だ。

 欧州は朝鮮半島ほど極端ではないがやはり東西の格差は歴然だ。東欧の薄明かりはUral山脈まで続き、ロシアはやはり欧州の国であることに気付く。特に明るいのはEngland、Benelux、それに地中海岸だ。

 アフリカに次いで暗い大陸が南米だが、Sao Paulo、Rio de Janeiro、Buenos Airesだけは一等星の輝きだ。貧富の格差が大きい国を象徴している。Carib海の島々の灯がネックレスのように連なるが、JamaicaとPuerto Rico(Rich Portの意)が二等星級なのに対してCubaやHaitiが取り残されたように暗いのは、北朝鮮と同様な政治的選択の結果である。

 さすがに北米は最も明るい大陸だ。Canadaの人口は米国国境沿いに集中しているから、内陸はEdmontonなど四等星級が数個散在するだけで真っ暗だ。米国では、Sierra Nevada山脈より西の狭い範囲に見えるCaliforniaが宝石のように輝いているのを例外とすれば、米国を半分に割った東西で明るさが全然違う。Minneapolis、Kansas City、Dallas、Houstonの線から東側に米国のほとんどの経済活動があることが分かる。

 これらのエネルギー消費のほとんどの源が化石燃料であり、特にPersia湾であることに、人類の文明の危うさを感じない訳には行かない。 以上