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うつせみAdvanced
2017年 7月28日
           地震予知

 地震学者は「地震予知は不可能」と言っているが、私は「或る程度可能」と思っている。東日本大震災の後、迷信と区別し難い多種多様な地震予知法がWebを賑わした。例えば永久磁石にクリップを一列に限界まで多数ぶら下げて、或る日クリップが一つでも落ちると地震の予兆だというのだ。地震が近付くと重力に変動が生じるという理屈だ。地震が切迫しても地殻の質量がさほど変わるとは思えないから、重力が変動するとは信じ難い。例え変動するとしても、クリップの精度では検出できないだろう。だがこの装置は誰でも簡単に用意できるから、一時は広く普及した。

 政府が予算を付けたので、地震学界は一時はこぞって予知の研究に邁進した。しかし何の成果も上げられなかったので、今や「予知は不可能」という公式見解になり、「予知できる」と主張する人を「阿世の輩」呼ばわりする。それにもめげず予知に努力している人の中で、注目の価値があると私が思っているのは以下の2人だ。何れも地震学者から酷評されつつ、予知の実績が積み上げられつつあると主張する。地震学の専門家ではないが、それぞれの分野では立派な実績があるまともな科学者だ。

 その1人は村井俊治氏だ。1939年生まれ、測量学の専門家で、日本測量協会会長だ。国土交通省が全国のGPS電子三角点の測量値を2週間遅れでWeb上に発表しているのと、それが待ち切れないからと最近は独自のGPS電子三角点を私的に設置し始めたのを参照し、大地の動きから地震が予知できると主張している。毎週水曜深夜に予報をemailで出しており、月額216円で購読できる。私は最初から既に数年間このサービスを受けて居る。私的な人気メルマガを有料配信する「まぐまぐ」という企業体が配信しており、http://www.mag2.com/m/0001592103.html から申し込める。地震を測量で捉えるという発想は如何にも理屈に合う。

 数年間このサービスを受けている心境は次の通りだ。もし大地震がある場合には何らかの兆候が出るだろうが、今週はそれが無い、今週も先週と同じ、という安心代だ。購読を始めてから実際には大地震は無く、特別な警報が出て外れた時に、重要性の低い都心外出を1-2回控えた程度だ。

 横浜地球物理学研究所を自称する上川瀬名氏は、村井俊治氏を批判することに人生を賭けているやに見える。その要点は、@電子三角点は日々数cmの誤差が出ている。だから数cm動いても有意な動きとは見なせない。A地殻は数年単位で数cm程度しか動かない、週単位で数cm動くのは全て誤差だ。その誤差だけを取り上げている。B予報が全て中ったと称しているが、日本列島の4割の面積に数か月にわたって警報を出している。その中で地震が起こっても警報の的中とは言えない。

 その批判に対する私の擁護論は、@A電子三角点1か所だけ見ているのではなく、複数を数か月累積で見ているから、短周期の誤差は相殺され、確かに動向が見えている。Bの批判は当たっているし、警報が出たからと言って日常生活に反映させるには如何にも地理的時間的に大まか過ぎる。しかしそれが(巨大地震でなければ)予測技術の限界なのだろう。

 もう1人注目しているのが早川正士氏だ。最近上記「まぐまぐ」で購読し始めた。1944年生まれ。電磁環境学が専門で電気通信大学名誉教授。予知方法の詳細は公表されていない(と思う)が、地震が近付くと2週間ほど前から地殻からノイズ状の電波が出る。周囲に散乱吸収されてしまうが、周波数3kHz以下の極超長波成分は地表に出て来るからそれを検知する。また地殻にPiezo電気が生じるので、その影響で電離層に変化が現れ、電波の反射態様が変わる。これらを総合的に判断して太陽フレアなどの影響を除去し、地震の1週間前に警報を出す。但し関東地方だけだ。

 昔小淵沢で八ヶ岳南観測所を自称する個人が、遠隔FM放送局の電波の受信状態の変化から地震予知を試みていた。私は関心を持ってフローし、電波観測は有効と信じたが、関心が逸れたのか個人的問題が生じたのか、止めてしまった。それを大変残念に思っていた所に、電波に注目して今度は学者が複合的観測をしているというので、同じく月額216円で申し込んだ。今の所幸い大地震が無いので、毎週の予報は至極退屈だ。  以上