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うつせみ
2011年 4月30日
            社会媒体時代

 いろいろある私の欠点の一つが「情報量に乏しい歓談を楽しむ」ことが出来ない点だ。ところが困ったことにそういう「歓談システム」がITの世界で流行って来た。Blog、Twitter、Facebookなどがそれだ。時代遅れの老人にはなりたくないから「準会員」としてこれらと付き合っている。

 これらを総称して社会媒体=Social Mediaという。一般庶民が発信する集団的媒体だ。「文殊の知恵」のような集合知を形成することもあるが、単に歓談を楽しむレベルも多い。社会媒体には、email上の対話Forumもあり、Blog、YouTubeなどの動画投稿サイト、写真投稿サイトも含まれる。最も典型的なのは、世界的にはFacebook、日本ではMixiなどのSNS=Social Networking Serviceであり、Web上で気の合う仲間がクラブのように情報交換をする。Twitterには「自分はこの相手の発言を逐一受信する」と勝手に登録するFollower制度があるから、SNSに分類されることもあるが、仲間作りの指向は薄いのでSNSとは別の社会媒体と考える人も居る。

 Blogは元来Home Pageの簡易版で、多くの人にHome Page発信の機会を提供した。それを見た人が感想やコメントを容易に加えられるようにした点がBlogの偉大な特徴だ。Trackbackという機能で、コメントが加えられたことが元のWeb頁にも記載される。そのお陰でBlogの愛好者Bloggerの間で対話が進み、集合知が形成されるようになった。しかし気軽に発信できるという長所の反面、文字数の割に情報量が少ないBlogがWebに横行している。Blogだけを検索するエンジンはあるが、Blogを除いて検索して欲しいと何時も思う。従って私は知人のBlogを時々は見るだけだ。Text EditorでHTML言語で記述することに痛痒を感じないから、Blogは書かない。

 BlogからTwitterが生まれた。Blog Systemを開発した複数人が、140文字以内の文章だけという制限下で気軽に即時に対話する需要があると考えて試作し、Twitter社を創立した。1件だけの要点をすぐ発信でき、返信も簡単にできる。何を言っているか分からぬBlogの氾濫を反面教師としたに違いない。英字でも140文字、漢字でも140文字だから、日本語Twitterは英語Twitterより多くの内容を伝えることが出来、本来の趣旨を若干外れている。即時性を徹底するために、Follower制度を導入し、emailと同様に発信内容をFollowerに送り込む。これをPushと言い、Web頁を見に行くPullと対比される。Pushの導入がTwitterとBlogの大きな差である。

 私はTwitterもROM=Read-Only Memberを決め込んでいる。楽天の三木谷浩史氏は英語化運動の最中だけに英語で書いていたが、あまり頻度が上がらないのでFollowを止めた。同じ理由で旧友のGoogleのEric Schmidt CEOを見るのも止めた。Sarah Palin氏の過激な発言を見ている。NASAが宇宙写真へのLinkをしばしば発信している。孫正義氏はHeavy Userだ。世論形成努力、消費者の意見吸い上げ、などに積極的に取り組んでいる。ユーザが良い意見を出すとすぐ「やりましょう」と即答するので、部下は尻拭いに大童だろうと想像できる。元ミス東大の片山さつき氏は東奔西走の政治活動を伝える。小池百合子氏も@ecoyuriの名でよく発信している。

 Facebookは、Mixiなど他のSNSと異なり実名主義を貫く。だから無責任な発信が少ない。Facebookには(1)個人交友の頁、(2)企業PRの頁、(3)グループ掲示板という似て非なる3種の頁がある。(2)にはANA、ユニクロ、コカコーラなどのファンクラブが多い。TwitterよりもマルチメディアでBlog同様の表現力がある。加えて第三者ソフトの組み込みが出来る。

 創立者Zuckerberg(独語で「砂糖山」だが英語読みでザッカーバーグ)がHarvard大在学中に大学のDatabaseに侵入して得た女子学生の写真の人気投票ゲームを作って大学から叱られた。しかしそれをベースにFacebookの名の通りHarvard学生の自己紹介Systemを作り、大学生から高校生一般に広げ、機能を拡張しつつ一般人に拡大した。企業の頁の「いいね!」というボタンを押すと、記事が変更される度にPushされるようになる。

 エジプトの政変の運動家が「我々はFacebookで(限定メンバで)企画し、Twitterで(大勢に)広め、YouTubeで世界を味方につけた」という話を聞いた。私は好きになれないが、社会媒体を侮ってはいけない。 以上