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うつせみAdvanced
2014年11月21日
          太陽系と小惑星

 太陽系の百億分の1を思考実験で描いてみたら、全く印象が変わった。
 太陽  水星  金星  地球  火星 
公転半径m-5.8111523
天体直径mm1400.481.21.30.68
天体質量mg2x10^60.334.960.64
 木星  土星 天王星 海王星 冥王星 
公転半径m78140290450590
天体直径mm14.012.05.15.00.23
天体質量mg1900570871000.13

 太陽は直径14cm、2kgの火の球だ。地球は15m先の粟粒で、一番遠い惑星の海王星は450m先の正露丸だ。新幹線「のぞみ」の405mより遠い海王星に磁力で作用するのも難しいが、ずっと弱い重力で引き留めるとは、宇宙はよほど外乱の無い静かな空間だ。表の上段の4惑星(とその外側の小惑星帯)を内太陽系、下段(とその外側のKuiper小惑星帯)を外太陽系と呼ぶ。両者は惑星も公転半径も全く異なる。太陽系は広大な空間に微小な天体がパラパラとあるスカスカの世界だ。昔は一番外側の惑星と習った冥王星は見るからに外太陽系の4惑星とは異なる。発見者の国である米国の反対にも拘わらず2006年に、Kuiper帯に属する準惑星だと格下げされた。

 太陽系は45.7億年前に出来た。宇宙は138億年前だから新参者だ。先輩の恒星が核融合で金属やケイ酸塩(岩石)を作り命尽きて爆発し宇宙空間にばらまいた高温ガスと塵を材料にしている。だから太陽系は他より金属やケイ酸塩の割合が高い。星雲が回転するディスクになり、中央に太陽が出来て核融合が始まった。ディスクは重力でまとまり小惑星が無数に出来て更に惑星へと成長した。太陽に近く温度が高い内太陽系では金属とケイ酸塩以外は太陽風(プラズマガス)で吹き飛ばされて、岩石中心の地球型惑星が出来た。外太陽系では岩石の他水等が凍結して集積し、豊富な水素・ヘリウムを引き寄せ、巨大な木星型のガス惑星が出来上がった。

 小惑星=Asteroidは一部に集中している。(1)海王星より外側の氷結型のKuiper小惑星帯。(2)火星と木星の間に岩石型の小惑星帯=Asteroid Belt。(3)地球を含む惑星や衛星で、公転する天体の軌道上で天体より60度先行する部分周辺と、60度後行する周辺に小惑星が集まり、天体と一緒に公転している。学者名でLagrangian Astroid、またはトロヤ群小惑星=Trojan Astroidと呼ぶ。20世紀初めに木星軌道の小惑星の1つをAchillesと命名して以来、木星軌道の小惑星が次々に発見され、トロヤ戦争の英雄に因んで命名された。後に木星軌道以外でもそう呼ぶようになった。

 なぜ60度かを太陽と木星で説明すると、太陽と木星から等距離の点では、太陽と木星の質量に比例した重力が働く。それは太陽と木星の重心から重力を受けるのと等価である(Vector図を作図すれば容易に証明可)。木星の公転軌道上で木星の±60度の点は、重心−木星を1辺とする正三角形の頂点である。この点にある小惑星は木星と同じく、重力も遠心力も重心から働くとした場合と等価だから、小惑星は木星と共に公転する。

 Kuiper帯の遥か外側に、衝突等でKuiper帯から外側にはじき出された小惑星が雲散しているとされ「Oort雲」と呼ばれている。これらから内側にはじき出された小惑星の氷塊が彗星になると今では信じられている。

 11月13日にTVは、European Sapace Agencyが彗星に探査機を着陸させたと狂喜する姿を報道した。10年前に地球を出発したRosettaが、Kuiper帯から降りて来た彗星"67P"と、木星軌道付近で8月に出会った。15ヶ月間周回して彗星が太陽に近づき変形するのを観測する。着陸機Philaeを着陸させることには成功したが横倒しになり、観測が限定されるそうだ。

 一方NASAは探査機New Horizonsを2006年に送り出した。Kuiper帯に来年到達し、来年6-7月に冥王星を1日で通過して観測し、16ヶ月掛けて送信するという。この2つの探査機で、太陽系誕生直後の状態が保存されているというKuiper帯の小惑星から、誕生の謎が解けると期待されている。以上