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短編随筆シリーズ「うつせみ」より代表作 Photos of flowers, butterflies, stars, trips etc. '96電子出版の句集・業務記録

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うつせみGeneral
2013年 9月27日
           I love sugar.

 National Geographic Magazine 8月号は砂糖を特集した。甘そうなケーキを表紙に掲げ Why we can't resist it ? と問い、Sugar Loveという表題で20頁の特集記事を組んだ。最初に色とりどりのソーダ水の写真を掲げ、12オンス=336gのソーダには小匙10杯=42gの砂糖が入っているという。太った米人が山盛りのアイスクリームやケーキを頬張っているのを見ると「駄目だよ、そんなに食べちゃ!」と叫びたくなる。

 次の図はもっと衝撃的だった。米人は1日小匙22.7杯=95gの砂糖を摂取しているとして、1杯分の砂糖の山を22個と0.7個並べた写真を示す。エッこんなに飲み食いしているの? 因みに米国心臓病協会が推奨する砂糖の 1日の消費量は、男性38g(年間14kg)、女性25g(年間9kg)だという。その写真の砂糖の山の上に典型的な1日分の食品に含まれる砂糖の量が重畳されている。食パン2切で砂糖3g、ケチャップ小匙3杯で7g、Oreoクッキー3個で10g、コーク1缶336gで33gなど。コークの1割は砂糖とは驚いた。

 砂糖は果糖とブドウ糖が半々だという。ブドウ糖は体中で消費されるから比較的良いが、果糖は肝臓で脂肪に変換されて多くは蓄積されるという。果糖という名から健康に良いのかと私は誤解していた。肥満、糖尿、高血圧、心臓病などが砂糖過多のリスクだ。米国の糖尿病患者は1973年に4.2百万人だったのが、2010年には21.1百万人に増えたという。

 1万年前にNew Guineaで砂糖黍の栽培が始まり、人々は茎をしゃぶっていたという。現地では神話にも出現し宗教行事にも使われる万能薬だそうだ。砂糖黍は島伝いにアジア大陸に前10世紀には伝わり、500ADには印度で粉末の砂糖を作る技術が完成し、頭痛、胃不調、不能の薬とされた。技術は一子相伝で秘密とされていたが、600AD頃侵入して来たペルシャに伝わった。アラブがペルシャを侵略し、アラブ人が砂糖を世界に広めた。Sugar followed Koran. だそうだ。アラブ人は挽いたアーモンドと砂糖を練り合わせた砂糖菓子のMarzipan=Marchpaneを発明し、これが大ヒットしたので砂糖は産業になった。しかし栽培も精製も過酷な労働だったため、従事者は捕虜や奴隷などだった。

 十字軍がアラブから砂糖を欧州に持ち帰ったが、欧州では砂糖黍は栽培出来なかったため、アラブ人から輸入する高級品で、スパイスの一種として上流階級が使った。ところがOttoman帝国がトルコ周辺を支配してからアラブからの輸入が難しくなった。大航海時代の一つの目的は砂糖の入手ルートの確保と砂糖黍を栽培できる温暖な土地の確保だった。実際ポルトガルは大西洋上の温暖な島々を占領して砂糖黍を栽培した。

 Columbusは1493年の第2回の航海で砂糖黍を持って行き、カリブ海の島々に植えた。今はHaitiとDominica共和国が二分しているHispaniola島から、Jamaica、Cubaに拡がった。ポルトガルが経営したBrazilでは10万人の奴隷を使って大規模な砂糖生産が行われた。生産量増大で欧州では17世紀には砂糖は高級品ではなくなり、中産階級から貧しい人々にまで普及した。砂糖を輸入した船に欧州の製品を積み、アフリカで売って奴隷を積んで砂糖産業に送り込んだ。1807年に英国が奴隷貿易禁止に踏み切るまでに送り込まれた11百万人の奴隷の半分以上が砂糖産業だったという。

 1700年に英国で国民1人当たりの年間砂糖消費量は4ポンド=1.8kgだったが、1900年には100ポンド=45kgとなった。今EUでは36kg、米国では77ポンド=35kgだという。米国で20世紀に高血圧と糖尿が激増した一因は砂糖だとされている。日本は現在18kgで先進国の中では圧倒的に少ない。

 人間が砂糖の摂取を止められない理由は、(1)血中に糖分が増えた時の快感はヘロインなどの快感と同じ脳の部位で感じられ習慣性がある。(2)原始人間の発達史では食料不足が常態であったから、果物の糖分を脂肪に変えて蓄えることは生存の必須条件だった。

 人々が快感を求める時、金持は色々な方法を選べるが、貧しい人は手っとり早く安価な食品を飲食する。そういう食品は安く美味しくするため砂糖含有量が大きい。だから先進国では貧しい人ほど肥満になるという。

 困ったなあ。不味いCoka-Cola Zeroに切り替えるかなあ。   以上