冬至は過ぎたが、まだ日の出は早くならない。国立天文台のWeb頁によれば、冬至12月22日の東京地方の日の出は6時47分だったが、以降日の出の遅れは続き、2019年1月2-13日は6時51分、1月14日以降日の出は段々早くなる。なぜそんなことになるのか、2014年12月26日の「うつせみ」で解説したが、3次元幾何的な図を使った説明は難しく、自分でもしばらく経つと再理解に時間が掛る。よし、今回は図など使わず、文章だけで易しく解説して見ようと志を立てた。
[説明の前提]
1.地球の公転円は真円とする。実は楕円である影響は末尾に付記する。
2.1年は正確に365日であるとする。360度の1/365の角度をαと表す。
3.地球は1年間に何回自転するか? 365回転ではなく、365+1回転である。365回昼と夜があるが、例え自転が止まって東京の頭上に何時も太陽があったとしても、1回公転するうちに地球は1回自転している。
4.地球の自転軸は、公転面に対して垂直から約23度傾いている。
[説明]
1.地球は1日24時間のうちに、自転軸の回りに360+α度回転し、1年で365+1回転する。つまり毎日α度ずつ、1年で360度余分に回転する。
2.地球の中心から太陽を見る公転面上の角度は、毎日α度進み、1年で360度余分に進んで元に戻る。
3.上記1.のαと2.のαは、異なる面の上での等しい角度である。自転軸の周りのα度を公転面に写すと(写像すると)何度になるか?それをα’度としよう。[つまり紙をα度に2つ折りにして、折り目を自転軸に合わせた時に、その紙が公転面と交わる2線の公転面上の角度がα’度である。]このαとα’の大小関係は季節(自転軸の傾く方向と太陽の方向の関係)によって変わる。
4.仮に自転軸が公転面に垂直だと仮定すれば、α=α’だ。この自転軸を23度、前後左右に傾けると、αとα’の間に大小関係が生まれる。
5.春分と秋分では、自転軸を太陽方向と垂直に23度傾けた場合に相当し、α’ > α になる。[仮に23度でなく90度傾けて公転面上に自転軸を重ねたらα’= 90度]つまり太陽の日々の動きよりも自転の方が過大になる。つまり今日は昨日よりも早く日の出・日の入りが起こる。
6.夏至と冬至では、自転軸を太陽方向に±23度傾けた場合に相当する。α’< α になる。[仮に23度でなく90度傾けて公転面上に自転軸を重ねたら、α’ = 0 ]つまり太陽の日々の動きよりも自転の方が過小になる。つまり今日は昨日よりも遅く日の出・日の入りが起こる。
7.即ち、天動説的に地球から太陽の動きを見ると、次のようになる。
(1)春分を頂点に、その前後では、日々太陽の動きが早くなる。
(2)5月初め頃、太陽の動きが反転し、日々の太陽の動きが遅くなる。
(3)夏至を頂点に、その前後では、日々太陽の動きが遅くなる。
(4)8月初め頃、太陽の動きが反転し、日々の太陽の動きが早くなる。
(5)秋分を頂点に、その前後では、日々太陽の動きが早くなる。
(6)11月初め頃、太陽の動きが反転し、日々の太陽の動きが遅くなる。
(7)冬至を頂点に、その前後では、日々太陽の動きが遅くなる。
(8)2月初め頃、太陽の動きが反転し、日々の太陽の動きが早くなる。
(註)真円公転軌道の仮定では(2)(4)(6)(8)のようになるが、実際には楕円軌道であるためにずれて、(4)は7月末、(6)は12月初め、となる。
8.上記の1年に2サイクルの変化Aに、季節によって昼間の長短が生じる1年1サイクルの変化Bが加わる。例えば冬至を過ぎると、変化Bによって日の出が早くなる傾向と、変化Aによって日の出が遅くなる傾向が競合し、当初Aが勝って日の出が遅くなるが、やがてBが勝って日の出は早くなる。
これに楕円軌道の影響が重畳される。Kepler第2法則により、地球が太陽に近づく毎年末の近日点では、公転速度が上がり、距離も近いので、太陽を見る公転面上の角度αが大きくなり、冬至では太陽の遅れが顕著になる。6月末の遠日点ではαが小さくなり、太陽の遅れは抑制される。以上