母校の大学祭に行って来た。どこの大学祭も焼き鳥と焼きそばしか無くてつまらないという印象があったが、後輩の大学祭の応援のために寄付もしたし、参加して激励もしたいと思ったのだ。しかし今年の母校は違った。高レベルの展示物があり、文系理系合わせて35件の研究発表や、学科の優秀卒論8件の発表もあり、質問し討議させてもらって有意義だった。
一番面白かったのが、電子情報工学科の学生による次の展示だった。Twitterを実時間で監視する。GPSをTwitterが吸い上げてよいかという質問がTwitterにはあって、多くの人はYesと答えると思う。それで発信地の国が判る。或るTweetに対して誰かが応答すると、応答者の国も同様に分かる。また発信者の使用言語も分かる。どうやって分かるかは聞き忘れたが分かるはずだ。すると、各国の発信者が母国語で発信している割合や、英語で発信している割合など言語別の割合が分かる。それに対して応答者が国内である割合も分かる。それが円グラフで表示されたのを、主要国について私が急いで数値で書き留めたのが以下の表である。
米 | 英 | 印 | 仏 | 伊 | 独 | 露 | 日 | 韓 | 中 | Brazil | |
母国語 | 11 | 79 | 78 | 48 | 94 | 95 | 64 | 36 | 86 | ||
英語 | 94 | 93 | 79 | 13 | 12 | 31 | 2.9 | 2.8 | 15 | 21 | 3.8 |
国内 | 96 | 88 | 91 | 89 | 87 | 73 | 91 | 97 | 81 | 50 | 98 |
Spsh=4.7 |
展示した学生は気付いていなかったが、この研究はすこぶる面白い。順に行くと、まず米国は非英語が6%もあることに驚くが、在米日本人やMexico人が日本語やスペイン語で発信するのであろう。国内応答率が96%というのも米国らしいが、英語率よりやや高いのは米国内でスペイン語や中国語が飛び交っているということだろう。英国の英語率は米国とほぼ同じだが、国内応答率が米国より低いのは欧州の国ゆえであろう。
印度はHindi語が連邦公用語、英語は連邦準公用語、その他州ごとに州公用語があって、紙幣には8つの言語が書いてある。印欧語のHindi語は有力だが、印欧語族に押し込められた原住民の南印や北の国境近くでは通じないから、印全国に通じるのは英語だと印で聞いたことがある。だからTwitter上では当然ながら英語が幅を利かせている。仏・伊では母国語が有力だが、独は遥かに英語化している。同じ欧州でも露は鎖国状態だ。
Brazilでは、国語のポルトガル語の他に英語より多いスペイン語が4.7%もあって合わせると9割を超えるから、この国も鎖国状態に近い。しかし日本の鎖国状態は世界一だ。英語のTweetは恐らくほとんど日本在住の外人に限られるのであろう。韓国では韓国人の一部が英語で外国とTweetを交わしていることが推察できる数字になっている。
中国は特殊だからこの数字は注意して見ないといけない。中国では、Twitter、Facebook、Googleは使用できない。使用者の個人情報を中国官憲に報告するよう求められて撤退したからだ。Twitterの代わりに中国国民が使うのが微博=Weiboだ。これはほぼ100%鎖国状態であろう。しかし中国でも色々知恵を使ってTwitterを使う人が居る。有料、または品質の悪い無料で、VPNで国外につなげば国外並みに使えるが、常に官憲の目に晒される。そういう条件下でTwitterを使う人は限られる。その大部分は中国駐在の外国人かも知れない。その前提で上表を見ないといけない。
日本は高齢化のために医療費と社会保障費が年々増加しており、経済発展がないと破綻しか無くなる。人口が減っていく日本の経済を発展させるには、世界経済に乗らねばならない。それにも拘わらず上表のような鎖国状態では、韓国にも負けて世界の田舎として取り残される。そうならない方向に若干でも貢献出来るように微力を尽くしたいと思うのだ。 以上