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短編随筆シリーズ「うつせみ」より代表作 Photos of flowers, butterflies, stars, trips etc. '96電子出版の句集・業務記録

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うつせみ
2010年11月20日
         Twitterが流行っている

 ツイッター=Twitterの企業応用に関して来年講義して欲しいと言われて一瞬「そんなもの俺が知るもんか」と思ったが、ITをキャリアの一つとして誇っている以上、昨年来急にブームのTwitterからは逃げられまい。

 巨大な図書館であるWeb 1.0にユ−ザが発言できる機能が加わって、巨大な集会所のようなWeb 2.0が誕生した。狭義のWeb 2.0は書き込み機能があるWeb頁=Home Page=HPだが、広義のWeb 2.0にBlogとTwitterが生まれた。BlogはPCに通じた人でなくても誰でも作れるHPだ。Blogは一般名詞だが、TwitterはSan Franciscoにあるサービス会社の名前だ。

 Twitterは駅前を行き交う人の話に耳を傾け、自分も大声または小声で独り言をつぶやくような、140文字以内という制限のあるツールだ。emailのように特定の人にだけ送信と返信も出来るが、基本は「うつせみ」のように「お前の話を聞いてやる」と登録した人(Followerという)全員への発信と、それに対するレスポンス発信だ。「うつせみ」も参加・脱退は自由だが、私の手を経ないと手続きが出来ない点に心理的制約があるかも知れない(だから時々「返事しなければ脱退」というemailを発信する)。しかしTwitterは自分で「Followする」「Follow中止」を簡単に設定できる。読む義務も返信の義務もないし、発信者もそれを期待せず気軽に自分勝手につぶやく。有意義な発信には返信が多いので、電話会議のような対話ツールとしての性格が強い。面白いことに英文140字では大体1つのことしか書けないが、日本語なら漢字も1文字だから英語の倍くらいの情報が発信可能だ。HPやBlogに詳細を掲載してTwitterでそのURLを伝える用法もある。この140字以内の送信単位をTweetと呼び、Tweetするという。

 孫正義氏や小池百合子氏が比較的真面目にTweetしている。三木谷浩史氏は一時期頻繁に(英語公用化を宣言したから)英語で発信していたが最近はまばらだ。Obama大統領も選挙の時はStaffがObama氏の名で盛んにTwitterを利用して勝利の一因とされたが、最近は間が空いている。New York Timesは主要記事のURLをTwitterで告知している。

 Twitterの真価を見た。Softbankは今「光の道」構想を提唱している。NTT/KDDIから光ファイバを分社化して、津々浦々に張り巡らせば国の情報化が進むという考えで、当然NTTとKDDIは猛反対だ。Softbankは最近「光の道」構想の意見広告を全国紙に出した。それに対して「地方は地方紙主体だから、地方紙にも広告を出さないと世論が盛り上がらない」という意見を孫正義氏にTweetした人が居て、それに対して孫正義氏は一言「やりましょう」と答えた。意見を送った人も孫氏もHappyだろう。孫氏は明らかに「民の声」を聞く貴重なツールとして努力して活用している。

 六本木の「豚組しゃぶ庵」という店がTwitterで繁盛しているそうだ。店主の中村氏は広告業界から脱サラして始めたそうで、哲学を持っている。(1)飲食店は個店時代、個店はCommunication事業だ。(2)個店は価値観共有の常連客でもつ。(3)常連客は店長・客相互の対話でもつ。(4)しかし店長や隣卓との対話は数分どまり。(5)Twitterなら等価的にもっと長い対話が出来、急速に常連客が形成される。とのこと。今までHP、Blog、Mixiなど色々やったが、これらは選挙の連呼と同じで大企業・大規模チェーンの新規顧客獲得には有効だが、常連客重視の個店はTwitterに限るという。さんざTwitterで「付き合った」人が初めて来店しても旧知のようだし、しかもTwitter客はRepeat率が滅法高いそうだ。

 朝日新聞を代表して若い女性社員が、しかし個人感覚でTweetして人気を得た。企業が利用してもTwitterは個人ベースのものだ。企業名での参加は概して人気がなく、(1)企業名と個人名の2者が参加して、公式告知と非公式なつぶやきを使い分ける、(2)@SatoAtAsahiのような名で参加して企業所属を明らかにしつつ個人の性格でつぶやく、(3)米IBM(あのIBMが!!)の如く企業が社員に勝手につぶやくことを公認、などがある。

 もし私が今事業を持っていたらTwitterで「民の声」「社員の声」を聞く努力をすると思うが、本質的には私の好きなツールではない。私は情報交換は好きだが、情報密度の薄い対話を楽しむ嗜好は無いからだ。 以上