先週八ヶ岳の霧ヶ峰一帯に咲くレンゲツツジの赤橙色の花を日帰りで見に行った。毎年この時期には泊りがけで見に行っているので、花が好きなワイフは今年も日帰りででも是非見たいと望んだ。過去の花日記を見ると6月初旬が盛りで、中旬は少し遅いのではないかと心配したが、まだ充分見られた。そこで一句: かくあらなむ/まだ鮮やかな/レンゲツツジ 俺も歳に負けずまだ鮮やかで居たいというはかない願望だ。
望外の喜びは、霧ヶ峰「車山肩」に先年できた新型のバイオ公衆トイレに立ち寄り周辺を散歩した際に、辺りの斜面にコバケイソウの群落がいくつもあって、白い筒状の大きな花が満開だったことだ。レンゲツツジとコバケイソウの群落が隣接している所もあり、紅白の対照が見事だった。
この時に乗った15年16万kmの愛車BMW 320iを買い替えることにした。走行中に160000とゼロが見事に4つ並んだ。東京のタクシー車は年間3万km走るというから、その1/3ならかなりの実績だ。まだ信頼感をもって運転できるBMWの技術に、何事にもドイツが好きな私は心酔している。運転の腕もまだ大丈夫だろうと盲信している。先日ワイフは運転免許を更新した。75歳以上での更新に課されるボケテストの最難関は、テントウムシ、タケノコ、フライパンなど相互に関係の無い16種類の絵を見せて、それを思い出して列挙するテストだ。ワイフは方向音痴だがこういう記憶は滅法強くて、満点を取ってしまう。私は方向や論理思考ではワイフに負けないが、記憶では負けるので、来年更新の時にはよほど努力しないと亭主の尊厳が保てない。16種類を1セットとして4セット64種類の絵が公表されているので、それを覚えて行けば私でも満点はとれる。その努力ができる人はボケていないのだから公表されていても大丈夫だと、試験官はいう。
陸の孤島に住んでいるので、ワイフともどもまだ運転免許を諦めるつもりはないが、これから15年使うとすれば私は百歳になってしまうから、多分これは最後に買う車だ。これからは純ガソリン車は肩身が狭くなるだろうからHybridにしようと思った。Hybridならトヨタだ。ToyotaやLexusは抜群にコスパが良い。だから売れていて駐車場で同じ車に出会う確率も高いのが気になる。BMWへの心酔もあって、BMWのPlug-in-Hybrid Vehicle=PHVを調べると、高いが良さそうだ。試乗もしてみて気に入った。
現愛車の320iのPHV後継機330e、一回り小さい225e、BMWの英子会社Miniの見積もりを頼んだ。所が225eはモデルチェンジ中で(何かトラブル?)一時販売中止、Miniは折からの自動車用半導体の逼迫で半年待ちだと言われた。年齢層がほぼ同じ我が住宅地の近隣では、最近外車が軽自動車に替わる例が目立つから、330eは過剰出費だ、軽自動車にするか、と一度は考えた。だが軽では快適に飛ばす気分にはなれそうもなく、Fahrenfreude(独語でドライブの喜び、BMWは「駆けぬける歓び」と)を標榜するBMWには未練がある。悩むうちに、メーカ卸値にExecutive Discountの適用が認められましたと営業マンが大幅に値引いてきたので、断る理由が無くなった。単なる出精値引きを営業マンが脚色したのではないかと考え、大したExecutiveでもない後ろめたさを封印して、女房孝行をすることにした。
霧ヶ峰の帰路に、ワイフが贔屓にするニット店に立ち寄った。店を持たず、八ヶ岳の別荘の一室に品物を並べて馴染み客を待つクラブのような所だ。良い品物を高く固定客に販売する仕組みにワイフが組み込まれてしまって何十年にもなる。いつも「今日は買わない」と言って立ち寄り、無料の茶菓と店のご夫妻との会話を楽しみ、トートバッグを抱えて帰る。
そこで面白い話を伺った。諏訪では寅年と申年に諏訪大社の御柱祭が盛大に行われる。先頃1年前の準備会が開かれ、大社の氏子の主だった人々百名余が一堂に会し結束を固めたという。その後夜の呑み会になり、松本から遥々呼び寄せた高級コンパニオン一同が新型コロナに感染していたと、諏訪では言っているが、原因か結果かは知るよしもない。ともあれ氏子のほとんどが感染し、各家庭で感染が広まり「お父さん、何してきたの!!」と酷く叱られているそうだ。そんなニュースを東京では一向に聞かなかったのは、諏訪大社の神通力が報道を抑制したからに違いない。以上