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− 駅のエスカレーター −
その1
1997年5月9日
――こんにちわ。本日は、駅のエスカレータについて
話し合っていただきたいと思っています。
鉄道の駅というのは、始発駅や単線の駅、
それから路面電車の駅のような特別な場合を除いて、
階段がありますね。
また比較的乗降客の多い駅では、階段に併設して
エスカレーターが付いている場合があります。
このエスカレーターが上り用と下り用の2つ付いていれば問題無いのですが、
1つだけというケースが結構あると思うんです。
理由としては、2つつけるだけのスペースがないというのが1番だと思いますが、
予算の関係もあると思います。
さて、
当駅にエスカレーターを1本だけ付けるとしたときに、
それを上り用にすべきか下り用にすべきか
について話し合っていただきたいと思います。
まず、上野さんいかがですか。
上野:それは勿論上り用にすべきです。
何と言っても、階段は下るよりも上る方が辛いですから。
上りエスカレーターを付ければ、誰もが喜ぶはずです。
実際、大概の駅はそうなっているでしょう。
大井:いや、そうとは限りませんよ。
これは、利用率を考慮しなければ科学的とは言えません。
この駅の乗降客の利用状況を分析して、
例えば、朝は階段を下る方向が多く、
夕方は上る方が多かったとしましょう。
実際そうだと思いますが… そうした場合、
エスカレーターは午前中を下り、午後を上りに切り替えるようにするのが合理的です。
わざわざ高いお金をかけて設置するわけですから、
なるべく多く利用されてこそ意味があるんです。
上野:しかし、駅を利用する人を一人一人個別に見ますと、
朝下るAさんは夕方上り、朝上るBさんは夕方下ります。
大井さんの方法だと、Aさんは朝夕ともエスカレーターを使えるのに、
Bさんはどちらも使えません。これは不公平ではありませんか。
大井:それは仕方ありません。
多数の利益のために少数が我慢しなければならない
場合というのはよくあることです。
――皆さんはどう思いますか。
駅のエスカレーター(その2)につづく
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