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− 駅のエスカレーター −
その2
1997年7月6日
下田:あのう、階段は上る時よりも下る時の方が危ないという話を聞いたことがあります。
もしそうだとすると、エスカレーターは下りにした方がいいと思いますが…
特に電車に乗る方が下る方向になる場合ですと、この駅のような橋上駅ではそうなりますが、
階段を駆け下りて電車に飛び乗る人がいて大変危ないなと思ったことがあります。
上野:そういう人はエスカレーターでも駆け下りますから同じことです。
大井:電車が入って来た時というのが最も混雑するわけですから、
その時の人の流れをスムーズにするということが大事だと思います。
輸送力、あるいは輸送効率といっても良いのかな。
その時にどちらの向きの流れが多いかによって、
流れの多い方にエスカレーターの向きを合わせるというのが最も理に適っていると思いますね。
――なるほどそれは合理的ですね。
小川:最も混雑している時の状況を見ますと、例えば朝電車に乗る人が殺到しています。
このとき逆の流れの人は、少ないだけに自分の進みたい方向から逆向きに押し戻されてしまい、
大変な苦労をしているのをよく見ます。
特にお年寄りやお子さん方の場合など、お気の毒だと思うのですがそう思うだけでどう手助けしていいか分からない。
ただただ気を付けて下さいと祈る気持ちだけでどうにもなりません。
大井:階段には、真ん中で2つに分けて、片方が「上り口」、
もう片方が「下り口」とちゃんと表示してあるのはご存じでしょう。
それをちゃんと守らない人が多いからそうなるんです。
マナーの問題ですよ。マナーさえ守れば問題無いんです。
小川:そう、マナーさえ守って下さればいいんですが、
実際問題としてマナーを守らない人が多すぎます。
そこでなんですが。
いくらマナーが悪いといってもエスカレーターを逆に進む人はいませよね。
下田:子供がたまにやっているのを見ます。
危ないんで注意をするんですが、大人は滅多にいません。
特にラッシュの時にそんなことをする人は絶対ないと思います。
小川:提案なんですが。
小さい流れの方にエスカレーターを合わせていただきたいんです。
大井さんの言うのと全く逆になってしまうんですが。
そうすれば大きな流れに逆らって進まなければいけない人の通り道がちゃんと確保できるんです。
多数のために少数が犠牲になるというのとまるで反対で、
少数のために多数が我慢するということです。
大井さんの言うような合理性はないのかもしれませんが、
少数者ゆえの不便というのがこんな場合に限らずあちこちにありますので、
その辺をご理解いただきたいと思います。
――単なる多数決ではなく、少数者に配慮する。
これからはそういう考え方が大事なのかもしれませんね。
大井:大きな流れと逆方向にしろだなんて、それは詭弁です。
小川:いいえ、エスカレーター1つ付けるにも一律には行かないということです。
私達4人の言っていることはどれも正しいと思います。
大井さんが最初におっしゃったように、利用状況をよく調べてみないと結論は出ないと思います。
大井:利用状況を調べるとおっしゃいますが、
「利用状況がどうだったらどうする」という方針がはっきりしていないと調べる意味がないですよ。
調べてからもう一度同じ議論をするんですか。
いっそどうでしょう、4人の方法すべてを試してみたら。
エスカレーターを付けてからでもいくらでも変更はできるんでしょ。
下田:その前にアンケートをとってみたらどうですか。
どの方法が良いと思うか駅を利用する人に聞いてみるんです。
上野:利用状況、利用時間、それに利用目的といったことも聞いてみたいですね。
小川:「アンケートで多数決」ということでなければやってみてもいいですよ。
大井:回りくどいような気もしますが、エスカレーターが付くまでには日にちもありますし、
それで納得できるということでしたらかまいませんよ。
――ちょっと待って下さい。利用者の代表ということで皆さんに討論していただいているんです。
アンケートからやってみるだなんて、それでは振り出しに戻ってしまうではないですか。
以上の話し合いについて皆さんはどうお感じになりましたか。
皆さんが利用なさっている駅に、もしエスカレーターが1つだけあったとしたら、
それはどうなっていますか。
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