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− アルキメデスの原理 −

その3
1997年9月23日

5.簡単な実験
  水槽に水を入れて、水面に紙コップを置くと、ほとんど水のなかに沈まないで水の上に立たせることができる (実際にはこの時紙コップは倒れやすいので手で支えてやらないといけない。 紙コップでなくて、いちごパックのような底が広い容器の方が安定してよい)。
 このコップの中に適当なおもりを1つ入れてやると、コップが少し沈む。 次に同じ重さのおもりをもう一つ入れると、さっきに比べ2倍沈む。 さらにもう一つ入れると、3倍沈むことが確認できる。
 おもりの重さが重くなるに従って沈み方が多くなる――ということは、 沈む量が大きくなることによって排除される水の量が多くなり、 それにつれて浮力が大きくなっておもりの重さにつりあうようになる―― ということである。
 ここでそれぞれの場合に沈んだ深さを、紙コップに鉛筆で目盛るなどして測定し、 そして排除した水の重さを算出し、それがおもりの重さと等しいことを確認する――などということはしない。


 さて、今度はおもりを入れる代わりに水を注いでやろう。 水を入れる量にしたがってコップは沈む深さを増すが、 いつもコップの中の水面がコップの外の水面と等しいことが分かる。
コップの中に入れた水の量とコップが排除した水の量がほぼ等しいわけだから、 コップが排除した液体(外側の水)の重さ(これがコップに働く浮力になる)が、 内部の水の重さ(これが物体の重さ)にほぼ等しいということである。


 紙コップの種類によっては多少は内外の水面に差があるかもしれない。 いや、精密に測れば必ず差が生じていると思う。 しかし、紙コップの材質が限りなく水の比重に近く、しかも限りなく薄いものでできていたら、 内外の水面の差は限りなく小さくなるであろう。
 例えば、ラップ・フィルムを使えば、かなり理想的な状況が得られる。


それどころか、実はもっとも理想的な場合というのを実験することができる。 つまり、水そのものを容器として考えればよいのだ。 もちろん、容器が水面に張り付いている必要もない。

 こうしてアルキメデスの原理「物体が液体から受ける浮力の大きさは、物体が排除する液体の重さに等しい」 が理解される。
 そして、ガリレオの発想もまさにこれである。

おわり
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