サイクルトレーニングについて


 サイクルトレーニングに関する一般的な話をまとめてみました。


【参考文献】

@ パワーワールドニュース 1997年8月号『完全無欠のパワー質疑応答』
A 月刊ボディビルディング 1997年1月号『パワーリフティング特別講座 第11講』





目 次

  1. サイクルトレーニングの考え方
  2. どんなルーチンを組んだらよいのか?





サイクルトレーニングの考え方


 記録を向上させるには、挙上する重量を少しずつ増やして,トレーニング強度を上げて行かねば成りません。しかし、同じようにトレーニングしていると記録の伸びが緩やかになること,またその期間が約2ヶ月であることが多くのパワーリフターの経験から明らかになっています。(理論的にはGASの原則が原因と思われます。トレーニング理論参照)

*高強度トレーニングで有名なボディビルダー,ドリアン・イエイツも高強度な期間は約2ヶ月とし、そのあとは強度を下げているそうです。(月刊ボディビル1997/9より)

 この性質を利用して,約2ヶ月で完結するような様々なトレーニング方法が考え出されています。そのなかの一つが『サイクルトレーニング』と言われるものです。

 特徴は次の通りです。
  1. 期間は5〜10週間を1サイクルとする
  2. かなり楽な重量からスタートし、毎週重量を少しずつ上げてゆく
  3. 最後の週がちょうど限界に挑戦,となるようにトレーニング強度を計画しておく
  4. サイクルが終わったら,完全休養を1週間とり次のサイクルへ移る
  5. 次のサイクルでは2.5〜5kg程度重量をアップする
 また、このトレーニングの長所は次の通りです。
  1. 初めの数週間は重量が軽いのでフォームを正しくチェックできる
  2. 初めの数週間は重量が軽いので爆発的に加速しながら挙上する癖がつけられる
  3. 前半の余裕がある時期に補助運動を十分に実施できる
  4. いつも限界に挑戦するわけではないので怪我が少なくなる
  5. 次第に集中力が高まり,精神的にもピークコンディションを作りやすい
 注意事項は次の通りです。
  1. 計画通り実施すること。途中で思ったより軽く感じても,あくまで初めに計画した 重量でトレーニングすることが肝心です。
  2. スタート重量は十分軽くすること。最初の時期に前のサイクルの疲れを癒しておかない と,後半になって十分な力を出せなくなります。





どんなルーチンを組んだらよいのか?


 サイクルトレーニングの期間は,下記の4つに分類できます。
  1. 準備期(1〜2週)
     メイン種目,補助種目ともに重量を軽くします。正確なフォームと爆発的な挙上を心がけます。神経系統が整備され、重い重量でも爆発的に挙上できるようになります。
  2. 抵抗期(3〜6週)
     メイン種目の重量をどんどん上げます。補助種目は前半はどんどん重量を上げますが,後半はオーバーワークを避けるため重量を軽くします。調子がよいと,毎回重量が増えるのに体感重量が変わらない,もしくは軽く感じる状態になります。
  3. ピーキング期(1〜2週)
     ベスト記録に挑戦します。2回挑戦しても記録更新ができない場合はあきらめて、次のサイクルで挑戦します。
  4. 休息期(1〜2週)
     トレーニングを休み,疲れを癒します。

 私のルーチンは、下記の通り6週間サイクルです。重量は試行錯誤して決めたものです。これからも変わってゆくものと思います。ほぼ、毎回自己ベストを出していますので、オーバートレーニングを回避して、超回復を引き出せているものと考えられます。また、下記の点に注意して下さい。




  1. スクワットの重量設定
    重量(ノーギア大会記録に対する割合) レップ数 セット数
    1週目 66%
    2週目 72%
    3週目 78%
    4週目 84%
    5週目 88%
    6週目 92%

  2. ベンチプレスの重量設定
    重量(ノーギア大会記録に対する割合) レップ数 セット数
    1週目 69%
    2週目 75%
    3週目 81%
    4週目 87%
    5週目 91%
    6週目 93%

  3. デッドリフトの重量設定
    重量(ノーギア大会記録に対する割合) レップ数 セット数
    1週目 56%
    2週目 62%
    3週目 68%
    4週目 74%
    5週目 78%
    6週目 82%