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2. 最新情報

   お題目	雑誌名
   伸張性収縮と短縮性収縮で動員される速筋繊維の数	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2002/5
   筋収縮の違いによる筋肥大の影響	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2002/2
   フリーエージェントとパフォーマンス	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2001/9
   活性酸素が骨格筋におよぼす影響	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2001/9
   教えすぎてないですか？	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2001/9
   高齢者のトレーニング効果	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2000/12
   筋再生におけるマクロファージの働き	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2000/12
   歳のせいにしないで！	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2000/9
   筋は壊せば太くなる？	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2000/11
   神経系のトレーニング	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2000/7
   シングルセットＶＳマルチセット	月刊ｱｲｱﾝﾏﾝ　2000/9
   グルコサミンとコンドロイチン	月刊ｱｲｱﾝﾏﾝ　2000/9
   寝る前に食べると太りやすい？	月刊ｱｲｱﾝﾏﾝ　2000/8
   機能的アイソメトリック・トレーニングの効果について	ﾄﾚｰﾆﾝｸﾞｼﾞｬｰﾅﾙ　2000/5

• 伸張性収縮と短縮性収縮で動員される速筋繊維の数
  
  McHugh,M.P. et al:Difference in activation patterns between eccentric and concentric quadriceps contraction. Journal of Sports Sciences,20:83-91,2002.
  
  　ネガティブなトレーニングでは軽い重量でも速筋繊維が刺激されると言われていますが、これに関する報告でした。
  
  
  • 筋電図において速筋繊維が多く動員されると筋電図の波形から求めた周波数が高くなると言われている。本研究では、様々な強度における短縮性収縮、伸張性収縮の筋電図から求めた波形を比較し、速筋繊維の活動の様子を検討している。
  • 被験者：健康な男子１０名（平均年齢３１．０歳）
  • 実験方法：膝を伸展させて大腿前面の筋の短縮性収縮時における最大筋力を測定し、最大筋力の２５、５０、７５、１００％を出したときの外側広筋、大腿直筋、内側広筋の筋電図を記録した。また、伸張性収縮時においても同様の測定を行った。
  • 動作速度：短縮性収縮の場合には、膝を完全に伸展した状態を０°として、１秒間に約６０度の角速度で１００°〜０°まで伸展した。伸張性収縮の場合には、同じ角速度で０°〜１００°まで屈曲した。
  • 周波数算出：膝関節が３０°〜６０°の範囲に当たる筋電図の波形から平均周波数を求めた。
  • 結果：２５、５０、７５％の強度では、伸張性収縮の方が短縮性収縮よりも周波数が高かった。ただし、最大筋力発揮時には差はみられなかった。
  
  　残念ながら、どのくらい差異があるのかは書いてありませんでしたが、軽い重量の時でもネガティブを重視することで速筋繊維を刺激できることは確認できました。
  
  
  
  

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• 筋収縮の違いによる筋肥大の影響
  
  Bamman M M.et al:Mechanical load increases muscle IGF-1 and androgen receptor mRNA concentrations in humans.Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.,280(3),E383-E390,2001
  
  　エキセントリック収縮（伸張性収縮）が筋肥大に有効であるという話しを良く聞きますが、これに関して細胞レベルで検証した報告です。
  
  
  • トレーニングの際には、筋肉は様々な収縮をしている。筋が伸張しながら力を発揮するエキセントリック収縮、短縮しながら力を発揮するコンセントリック収縮、長さが変わらないで力を発揮するアイソメトリック収縮である。
  • このうち、エキセントリック収縮がもっとも筋肥大を引き起こすという研究報告がほとんどである。
  • そこで、一過性のエキセントリック収縮とコンセントリック収縮が、筋細胞内にあるIGF-1mRNA発現にどのように影響しているのか比較検討した。（IGF-1mRNA：IGF-1(Insukin-like Growth Factor-1)は筋細胞中にある成長因子のひとつで、刺激により自ら活性化し筋細胞中に分泌する（自己分泌機能）。筋芽細胞の増殖・分化、筋タンパクの合成に作用している。mRNAはメッセンジャーRNAのことであり、IGF-1mRNAは、筋肥大に関与するIGF-1というタンパク質を作り出すための遺伝子情報という意味である。）
  • 被験者：健康な成人１０名（男性７名、女性３名）
  • 運動形態：スクワット
  • 運動効果の残らない期間をあけて３度練習を行い、練習期間に行われた１ＲＭをもとに、エキセントリック筋収縮時は１１０％ＲＭ、コンセントリック筋収縮時は８５％ＲＭを８回８セット行った。
  • いずれの被験者も６〜１０日の間隔で両方の筋収縮を行った。
  • 運動前と運動後４８時間後にバイオプシーにて右脚外側広筋の筋細胞の摂取、ＭＶＣ（maximum voluntary contraction）の測定、および痛みの程度の１０段階評価を左脚で行った。摂取した筋細胞からIGF-1mRNAの発現、筋損傷の指標としてのＣＫ（クレアチンキナーゼ）活性も評価した。
  • 結果、運動後４８時間後にエキセントリック筋収縮時およびコンセントリック筋収縮時ともに、IGF-1mRNAの増加を認めた。エキセントリック筋収縮時には有意な増加であった。
  • ＭＶＣ、痛みの程度、ＣＫ活性ともに、エキセントリック筋収縮時には有意な増加を示したが、コンセントリック筋収縮時には変化が見られなかった。
  • 以上の結果より、一過性の運動でも筋肥大に強く関係するIGF-1mRNAが発現すること、エキセントリック筋収縮では筋損傷の程度も激しく、IGF-1mRNAの発現も高いことがわかった。
  • IGF-1が損傷した筋細胞の修復に利用されている可能性、エキセントリック筋収縮で筋がストレッチされる作用がなんらかの刺激を引き起こしている可能性が考えられる。
  
  　エキセントリックな運動は、細胞レベルでみても確かに筋肥大に効果がありそうです。ただ、１１０％ＲＭを８レップス×８セットというとんでもない強度で行っていることには注意がいりそうです。もっと、現実的なトレーニング方法で効果を比較してみたいものだと思いました。
  
  
  
  

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• フリーエージェントとパフォーマンス
  
  Ted S. Sturman and Ryan Thibodeau:Performance-undermining effects of baseball free agent cntracts.J.Sorts Sci & Exerc.Psychol.,23,23-36,2001
  
  　最近、パルマへ移籍した中田選手が結果が残せず苦しい立場となっており、とても気になっているのですが、高い年俸で契約した選手の成績に関する報告がありました。
  
  
  • プロ野球において、ＦＡ権を行使して高額年俸・複数年契約で移籍した選手のシーズン中の不振がマスコミの格好の餌食となっている。この年俸の高騰、長年契約がパフォーマンスにどのような影響を与えるか、アメリカのメジャーリーグでＦＡ権行使前後のパフォーマンスを調査した。
  • 調査対象：ＦＡ宣言後に年俸が３０％以上増加した３３名のメジャーリーガー（２１名；他チームへ移籍、１２名は残留）
  • 調査結果：下表の通り。いずれの項目でも、ＦＡ直後のシーズンにパフォーマンスの低下が見られる。

    調査項目	成績(2ｼｰｽﾞﾝ前)	成績(1ｼｰｽﾞﾝ前)	成績(1ｼｰｽﾞﾝ後)	成績(2ｼｰｽﾞﾝ後)
    打率	0.282	0.287	0.268	0.283
    打点	68.8	76.6	65.9	68.7
    ホームラン数	16.8	18.7	16.6	17.2
    盗塁数	11.5	11.5	8.9	9.6

  • 年齢が若いほど打率の低下が大きく、また年俸の増加率が高いほど打率の低下が大きいことがわかった。
  • ＦＡ権を行使せずにチームを移籍した選手２０５名の調査では、移籍前後で打率の差異は認められなかった。また、残留したＦＡ選手においても打率の低下を示したことからも、パフォーマンスの低下は環境の変化によるものではなく、ＦＡ権の行使が原因と考えられる。
  
  　サッカーの世界では、あのジダン選手でさえ成績不振に悩んでいるようですし、ベテラン選手においてもパフォーマンスの低下は避けられないようです。しかし、報告を見るとＦＡ後２シーズン目からは成績が回復することがわかりますし、中田選手も少しずつパフォーマンスを戻してゆくことは間違いないでしょう。頑張って欲しいものです。
  
  
  
  

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• 活性酸素が骨格筋におよぼす影響
  
  石井直方氏（東京大学教授）のインタビュー記事
  
  　活性酸素の特集記事の中の、骨格筋への影響に関する情報です。
  
  
  • 活性酸素は悪玉扱いされてきたが、発生するのは当然のことであり、体にとってある程度必要なものである。
  • 活性酸素の一種であるNO（一酸化窒素）は、トレーニングによって筋中に作り出され、筋の様々なタンパク質の合成を高める効果があることがわかってきている。
  • NOを抑制する物質を筋肉へ与えると、トレーニングしても筋肉はあまり太くならないという報告もある。
  • NOは非常に寿命の短い物質であるが、低酸素下では寿命が長くなるという報告もある。加圧式トレーニングが有効なのは、低酸素状態の持続によるNO作用の増強があるのではないか、と考えられている。
  • また、活性酸素は、IGF-1のような成長因子の分泌に欠かせない刺激要因であるということもわかってきている。
  • トレーニングを終えて、筋肉を回復する段階では、抗酸化剤を摂取することで回復時間が短縮されることがわかっている。
    • プロトアンシアニジン（ぶどうの種から抽出したポリフェノール、抗酸化能はビタミンＣの８倍）をサプリメントとして摂取すると、筋の回復が非常に良くなるという結果が出ている。
    • エキセントリックトレーニングを初めての人に行わせると、筋力が戻るまで１０日ほどかかってしまう。
    • この人にプロトアンシアニジンを摂取させると、筋力の回復速度が倍くらい早まることがわかった。
    • トレーニングの頻度を増やすことが可能となり、さらに多くのトレーニングをすることで、さらに筋を太くすることが可能となる。

  • まだ断定できる段階ではないが、トレーニングを始めるときには抗酸化物は体内に少ない方が良く、回復期間には抗酸化剤を摂取することがよい影響を与える可能性がある。
  • うまく活性酸素とつきあうことが、筋肉を太くするキーファクターとなる。
  
  　最近テレビなどで一方的に悪玉とされている活性酸素ですが、体に必要なものであり、骨格筋の発達に大きく影響しているというのは面白い発見でした。マルチビタミンなどでビタミン類を十分に摂取するというのは、筋肥大には大切なことのようです。
  
  
  
  

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• 教えすぎてないですか？
  
  Chu-Min Liao and Richard S.W.:Analogy learning;A means to implicit motor learning Masters.J.Sorts Sci.19(5),307-319,2001
  
  　スポーツの技術を、詳しく教わって覚えるのと、類似した動作から習得する方法の差異に関する報告でした。
  
  
  1. 【実験１】
     • 被験者：卓球の初心者３０人（平均２７．５歳）
     • 課題：卓球のフォアハンドのトップスピンを打ち、相手エリアの卓球台の右隅近くへボールを当てられるほど高得点が与えられるものとした。
     • 下記の３群に分けた。
       1. トップスピンを打つための基本技術を細かく指導された郡
       2. 右手で直角三角形を描くようにして斜辺で打つようにとだけ指導された郡
       3. 全く指導されなかった郡

     • 練習を３００球、その２分後に計算をしながら５０球、その１５分後に計算せずに５０球打った。
     • 各群ともに練習を重ねる毎に高得点を出せるようになったが、細かく教えられた群だけは計算する課題を与えられると得点が大きく低下した。

  2. 【実験２】
     • 被験者：卓球の初心者３６人（平均２１．５歳）
     • 課題：卓球のフォアハンドのトップスピンを打ち、相手エリアの卓球台の右隅近くへボールを当てられるほど高得点が与えられるものとした。（実験１と同じ）
     • 下記の２群に分けた。
       1. トップスピンを打つための基本技術を細かく指導された郡
       2. 右手で直角三角形を描くようにして斜辺で打つようにとだけ指導された郡

     • ２５０球練習したのちに、各群の半分に被験者に「こちらが予測していたほどうまくなっていない」とメンタルストレスを与えた後に５０球、少し休んで５０球、そしてトップスピンを打つときに考えてはいけないことを指導して５０球、計４００球を打った。残りの半分の被験者は、何も指示されず４００球を打った。
     • 各群ともに練習を重ねる毎に高得点を出せるようになったが、細かく教えられた群だけはメンタルストレスを与えられると得点が大きく低下した。
  
  　スポーツの指導は、教え過ぎると本番に弱い選手を育てることになってしまうようです。必要最小限の指示を与え、後は選手が考えて試行錯誤しながら練習してゆく方向で指導するのがベストのようです。
  
  
  
  

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• 高齢者のトレーニング効果
  
  Lemmer J.T.,et al.:Age and gender response to strength training and detraining, Med. Sci. Sports Exerc. 32,1505-1512,2000
  
  　高齢になってからトレーニングを始めても筋力は増やすことができるという報告でした。
  
  
  • 高齢者にとって、筋力低下は転倒事故につながることが指摘されている。この傾向は、特に女性で大きく、筋力を補うトレーニングの必要性が提唱されている。
  • 筋力トレーニングの効果を、年齢別、男女別に検証することを目的として実験を行った。
  • 対象：若年者１８名（２０〜３０歳、男性１０名、女性８名）、高齢者２３名（６５〜７５歳、男性１２名、女性１１名）
  • トレーニング内容：利き足の膝伸展筋群をレッグエクステンションマシンにより、下記の５セットを９週間、週３回実施した。
    1. １ＲＭの５０％の負荷で５回（ウォームアップ）
    2. ５ＲＭの負荷で５回
    3. ５ＲＭの負荷から始めて、挙上できなくなったら負荷を下げてゆき１０回
    4. 同上、１５回
    5. 同上、２０回

  • トレーニング開始前、終了直後、終了後１２週間、終了後３１週間でレッグエクステンションマシンで筋力測定を行い、トレーニングおよびディトレーニングの効果を確認した。
  • トレーニング直後は、１ＲＭの重量は、若年男性３１％、若年女性３９％、高齢男性２７％、高齢女性２９％増加し、１２週間後も効果は薄れていなかった。
  
  　高齢になっても筋力トレーニングは効果的です。テレビで、金さん銀さんが百歳を越えて衰えた脚力を補うためにレッグカールをしていたのを見たことがあります。高齢者の筋力トレーニングは、健やかな老後を過ごすためには不可欠になってくるのかもしれませんね。
  
  
  
  

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• 筋再生におけるマクロファージの働き
  
  R.Kuschel, M.H.Deininger, R.Meyermann, MD, A.Bornemann, Z.Yablonka-Reuveni, and H.J.Schluesener:Allograft inflammatory factor -1 is expressed by macrophages in injured skelental muscle and abrogates poliferation and differentiation of satellite cells, J. Neuropathol & Exp. Neurol., 59,323-332,2000
  
  　筋再生においてマクロファージ（細菌などを捕食する免疫細胞です）が再生を促す働きがあるとして注目されているそうです。その働きに関する報告でした。
  
  
  • 筋肉が損傷し、筋繊維になんらかの変化が生じた際には、サテライト細胞が増殖し、細胞同士が融合することによって骨格筋細胞としての機能を保ち、骨格筋は再生する。
  • 損傷した細胞の再生において、まずマクロファージが壊死した細胞を貪食して除去し、その後サテライト細胞の増殖・分化を促す物質を産出する。
  • マクロファージから産出される物質には、筋再生の過程を抑制する働きのある物質『AIF-1(Allograft inflammantory factor -1』もあることが示唆されてる。この物質が、本当にマクロファージから産出されているか、また筋再生を抑圧しているかラットの骨格筋で確認した報告があった。
  • まず、ラットの後肢の血流を止めて人工的に骨格筋の損傷を引き起こした。次に、損傷した部位から筋肉を取り出し、AIF-1が損傷した細胞で産出されているか確認した。また、別のラットから筋肉を取り出し、AIF-1を加えて一緒に培養し、筋肉中のサテライト細胞が増殖・分化しているか調べた。
  • その結果、損傷を受けない筋肉ではAIF-1はまったく産出されておらず、損傷を受けた筋肉では横断切片の７２％の領域で産出されていた。また、マクロファージが浸潤していた領域の９４％でAIF-1が産出されていた。
  • 一方、AIF-1を加えた培養基ではサテライト細胞は増殖・分化せず、AIF-1を加えていない培養基ではサテライト細胞が増殖・分化していることも確認した。
  • 以上の結果より、マクロファージがAIF-1を産出すること、さらにAIF-1がサテライト細胞の増殖・分化を抑える働きがあることが確認された。
  
  　マクロファージが筋再生にかかわっているというのは初めて知りました。筋再生を進めたり遅らせたりと重要な役割を果たしているようですね。是非、筋再生を促すための条件についても研究を進めてほしいものです。
  
  
  
  

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• 歳のせいにしないで！
  
  　高齢者で歩行がうまくできなくなる人がいますが、その原因は歳のせいではなく、アルツハイマーなどの身体的変化があるはずだという報告でした。
  
  
  • 対象：地域で自立した生活を営む７１歳〜９４歳
  • 転倒群１８名（過去５年間に転倒既往がある者）、非転倒群１７名
  • ここでいう転倒とは、バランスを崩して身体が地面に横たわってしまう状態とした。また、対象者は転倒を引き起こす薬（筋弛緩剤など）は飲んでいなかった。
  • 対象者の歩行パターンを調べるために、右側靴内にフットスイッチを挿入し、そのＯＮ／ＯＦＦ情報から以下の４変数を求め、その変動を変動係数（標準偏差／平均値）を用いて算出した。また、６分間の歩行距離から歩行スピードを算出した。
    1. ストライド時間（かかとが着床してから、再度同じかかとが着床するまでの時間）
    2. スタンス時間（足で支えている時間）
    3. スイング時間（足を振り出している時間）
    4. スタンス比（スタンス時間／ストライド時間）

  • 結果、転倒群と非転倒群で有意な差はなかったが、転倒群の方が変動係数が大きく、歩行パターンが不安定であることがわかった。また、非転倒群の変動係数は、若年者２２名（平均年齢２４歳）の値とほぼ同じで有意な差はなかった。
  • 以上の結果より、７０歳以上になっても２０代の若者と歩行パターンはほとんど変わらないことが確認された。
  • アルツハイマー病や心臓に障害のあるものは歩行パターンが変化しやすいことが報告されている。したがって、転倒者は何か潜在的な身体変化が歩行を不安定にし、転倒の引き金になっていることが推測される。
  
  　私自身、これからだんだん歳を重ねて行くわけですが、歩行に異常を感じたときには歳のせいにせず、病院へ行って調べる必要があるということのようです。勉強になりました。
  
  
  
  

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• 筋は壊せば太くなる？
  
  　エキセントリックな運動による筋破壊と筋肥大の関係に関する報告でした。
  
  
  • 筋肥大のためには筋破壊を多く起こせば良いと考えている指導者が多い。これは、エキセントリックな運動が筋肥大を引き起こすという研究報告が多数あるためである。
  • しかし、筋損傷の程度が直接筋肥大を引き起こすか？については、十分に理解されていない。そこで、筋損傷の程度の筋肥大への影響を検証する実験を行った。
  • 対象：１２週齢のWistar系ラット
  • Ｌ群：エキセントリック運動を行わせる群
  • Ｓ群：コンセントリック運動を行わせる群
  • 腓骨神経を電気刺激して、前脛骨筋（すねの前の方の筋肉）に合計２４０回の筋収縮を伴う運動を行わせた。
  • 以下の指標となる物質を、運動直後、４，８，１５，３０，５０，８０日後に観察した。
    • 筋ダメージの指標：β−グロクロニダーゼ
    • 組織病理学的指標：筋細胞を構成するタンパク質の経時的変化
  • Ｌ群では、β−グロクロニダーゼが４日後に初期値の７．１倍に増加、また運動 直後から筋損傷の初期症状がみられ、４日目以降からは筋損傷が顕著に認められた。
  • Ｓ群では、βーグロクロニダーゼが８日後に初期値の２．６倍に増加、しかし筋損傷の程度は小さかった。
  • 両群ともに、速筋繊維（�UＸ／Ｂ）の割合、筋断面積ともに同じように増大した。したがって、筋肥大は筋損傷の程度によらないことが確認された。
  • 筋損傷は筋肥大の唯一な要因ではなく、内分泌系や遺伝子レベルでのタンパク質合成の調整など、多くの要因が絡み合っているようである。
  
  　加圧式トレーニングに関する石井先生の研究にもあるとおり、筋損傷以外にもさまざまな筋肥大の要因があるようですね。今後の研究で詳しく解明されて、究極のトレーニング方法が確立されてほしいものです。
  
  
  
  

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• 神経系のトレーニング
  
  　漠然とした印象のある神経系のトレーニングに関する記事でした。
  
  
  • 神経の伝達（神経から神経へシナプスを介して信号を伝えること）と伝導（神経の中を信号が伝わること）の速度は、成人で４０ｍ〜７０ｍ／秒であり、あまり早いものではなく、トレーニングによる改善も期待できない。
  • 神経系のトレーニングとは、大脳が司令を出すときに、その司令が神経から神経へと伝わり筋肉を動かしてゆく神経回路網を効率よく鍛えるということである。
  • 神経系のトレーニングに関しては、下記の原則が存在する。
    • 反復性の原則：反復練習を行うことによって、神経回路網を長期間記憶することができる
    • 意識性の原則：反復練習により、意識して行っていた動作が無意識にできるようになり、効率が向上する
    • 効果の出現は、筋力トレーニングと異なり即時的である。

  • 主働筋の動きを邪魔しないよう拮抗筋の抑制作用を解除することも、神経系に関するものである。抑制作用を解除するための要素は、大きく分けて下記の２つがある。
    1. 関節の可動性
       • 筋収縮がうまく行われないと関節の可動がうまくゆかないと考えれれる。
       • ストレッチングによって筋肉に刺激を加えることで改善される。

    2. 受容体
       • 受容体は、筋、腱、関節にあって、長さや張力に関する情報を測定し、中枢神経へ送るものである。
       • 各受容体は次の通り：筋⇒筋紡錘、腱⇒ゴルジ腱器官、関節⇒関節包
       • 長期間運動を続けていると、関節に負担がかかってきて、関節包は関節の動きを抑制するように働くようになる。
       • 関節を可動域いっぱいまで伸展・屈曲させて、１ｃｍ〜２ｃｍ戻すという動作を１秒間に２回のペースで１分続けることにより、関節の動きがスムーズになり、筋のストレッチングや収縮を効果的に行うことができるようになる。関節包の知覚神経に電気刺激を与えることによるものである。

  
  
  
  

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• シングルセットＶＳマルチセット
  
  　ヘビーデューティトレーニングに代表される高強度トレーニングでは、１セットで追い込むことが勧められていますが、１セット法が本当に良いのか？という記事でした。
  
  
  • ジムで何時間もトレーニングを行う量のトレーニングを行っていた人が、量の少ない高強度トレーニングを採用して、疲労が次回のワークアウトまでに回復し、スランプに陥らなくなることに驚かされたのは事実であり、大勢の人が納得していることである。
  • しかし、１セット法を採用する人は少なく、各部位に行う総セット数を６〜８セットに制限している場合が多いようである。
  • この点に関して、下記の実験が行われている。
    • 被験者：４２名（平均年齢３９歳、平均トレーニング歴４．６年）
    • 週３回のワークアウトを実施
    • ワークアウトは９種目で構成されており、限界まで追い込むセットを１セットだけ行うグループと、限界まで追い込むセットを３セット行うグループに分けた。
    • １３週間後の測定により、３セット行ったグループの方が胸囲、腕囲が増えており、脂肪の減少率が大きく、また筋持久力が向上していることが確認された。
    • ただし、研究者はこの実験結果を大差なしと判断していた。

  • また、別な実験では、１セットのワークアウト（２５分程度）を行ったグループよりも、３セットのワークアウト（１時間程度）を行ったグループの方が、テストステロンや成長ホルモンといったアナボリック系のホルモンの放出量が多いという結果を得ている。
  • 以上のことから、トレーニング歴の長い人やコンテストを目指す人は２セット以上行った方が良いのではないかということである。
  
  　私自身、セット数は２セットが最適なように感じていましたので、納得した記事でした。
  
  
  
  

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• グルコサミンとコンドロイチン
  
  
  　関節の痛みに有効であるとして最近流行のサプリメントに関する記事でした。
  
  
  • グルコサミンについて
    • グルコサミンは、グルコサミノグリカン（ＧＡＧｓ）のもとになる物質である。
    • ＧＡＧｓは、ムコ多糖体として知られる軟骨の主要構成成分である。また、ＧＡＧｓは、細胞膜、骨、コラーゲン、タンパク質結合組織の構成成分にもなっている。
    • グルコサミンが関節炎を緩和するというのは、グルコサミンを供給することにより体内でＧＡＧｓが生産され、修復が必要な部分が改善されるという考えによる。
    • グルコサミンは、経口摂取した量に９０％が吸収され、約７０％が代謝され、残りの約２０％が関節のために使われることになる。

  • グルコサミンと抗炎症薬の比較
    • 抗炎症薬は、ステロイド系と非ステロイド系（アスピリン、インドメタシン等）に分けられる。
    • 非ステロイド系抗炎症薬は、特定の酵素の働きを抑制し、炎症を引き起こすプロスタグランジンの発生を抑えるものである。欠点としては、炎症のもととなる関節のダメージを修復する働きがないこと、投与量が多いと腸の調子が悪くなる（腸の調子を維持するプロスタグランジンの発生も抑制してしまうため）ことがある。
    • 最近は、ＣＯＸ２遮断薬という炎症緩和作用がより強力な薬が使われている。炎症自体に作用することから副作用が少なく、非ステロイド系の欠点を改善したものである。しかし、関節のダメージを修復する作用はない。
    • グルコサミンは、炎症緩和作用は非ステロイド系抗炎症薬より弱いかもしれないが、関節のダメージを修復する働きがあるという研究報告があり、最終的な治療のためにはより有効であると考えられている。

  • グルコサミンが効きはじめる時期と摂取期間
    • グルコサミンに関する実験は、多くがヨーロッパで行われてものであり、関節痛に悩まされていた患者の約６０％がその効果を高く評価している。
    • グルコサミン摂取後、効いていると実感するまで６〜１２週間かかるようである。
    • 1500mg／dayの摂取を３年間続けることにより、膝関節の変形が正常な状態まで回復したという報告がある。
    • コンドロイチンを一緒に摂取することが勧められているが、最新に実験ではコンドロイチンの有無にかかわらずグルコサミンの効果が確認されている。
    • グルコサミン・サプリメントのうち、理想的はものは『硫酸グルコサミン』というものである。ラベルをよく読むとともに、有名メーカの製品を選ぶことが勧められる。

  • グルコサミンの摂取が勧められない人
    • グルコサミンは、ごく一部に人に対してインシュリン耐性を高めることがあり、糖尿病の人には摂取が勧められない。
    • グルコサミンの摂取によって、血中のコレステロール値がわずかに上昇するという報告もある。摂取前にコレステロールの検査を受けておくとともに、摂取後には１ヶ月間隔程度でコレステロール値をチェックすることが勧められる。

機能的アイソメトリック・トレーニングの効果について


　機能的アイソメトリック・トレーニングとは、通常のトレーニングの動作中にアイソメトリックな最大収縮を行うことによって、パフォーマンスの向上に必須な過負荷をかけるトレーニング方法です。例えば、スクワットを上方への動作を止めるストッパーがついたラックで行い、挙上の途中でストッパーに抗して数秒間のアイソメトリックな最大収縮を行うものです。

　通常の高重量のウェイトトレーニング（以降ＨＷと呼ぶ）と、機能的アイソメトリック・トレーニング（以降ＦＩと呼ぶ）について、トレーニング効果を比較した記事でした。

• 実験対象；　３３名、以下の通りグループ分けをした
  • ＨＷ群：１１名（年齢２２．９±５．０歳、体重７７．４±１２．３ｋｇ）
  • ＦＩ群：１１名（年齢２４．８±８．２歳、体重７６．８±９．９ｋｇ）
  • コントロール群群：１１名（年齢２３．７±４．８歳、体重７３．４±８．９ｋｇ）
• トレーニング開始前テスト実施後、８週間のトレーニングを行い、その後トレーニング終了後テストを行った。
• テスト種目は、４０ｍスプリント、プライオメトリック・プッシュアップ、垂直飛び、１ＲＭベンチプレス、１ＲＭスクワット、を同じ日に実施した。
• ８週間のトレーニングでは、上半身はベンチプレス、下半身はスクワットを行った。ＦＩ群においては、膝または肘関節角度が約１７０度になって時点で、２〜３秒間のアイソメトリックな最大収縮を実施した。
• ＦＩ群の筋力向上は、ＨＷ群を上回るものではなかった。また、トレーニング経験の長い人では、ＦＩ群の方が筋力向上が大きいことがわかった。
• 以上の結果より、ＦＩとＨＷでは同程度の効果があることがわかった。また、ＨＷトレーニングでプラトーに達している経験者においては、ＦＩトレーニングが効果的であることが示された。

　従来より、アイソメトリックトレーニングが効果的と言われてきましたが、実際には普通のウェイトトレーニングと同程度の効果であるようです。しかし、スティッキングポイントを集中的にトレーニングできる点では、メリットがあるように思います。

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